参院選(20日投開票)で消費税の減税とインボイス(適格請求書)廃止に決着を付けよう―。6月29日、東京・新宿、名古屋、大阪で「インボイス&消費税さようなら」を掲げた集会やデモ、宣伝が行われました。各地の県商工団体連合会(県連)や民主商工会(民商)も参加してフリーランスらと力を合わせました。
【東京・新宿】国会議員ら駆け付け

「STOP!STOP!インボイス」「STOP!STOP!消費税」「分断あおるな仲間つぶすな」「負担もう無理、今すぐ廃止だ」―。真夏のような日差しが降り注いだ6月29日、日曜・午後の東京・新宿の大通り。200人を超すフリーランスや中小業者、市民らがドラム隊のリズムに乗せてコールし、消費税インボイス廃止と消費税減税・廃止を訴え、デモ行進しました。インボイス制度を考えるフリーランスの会(「STOP!インボイス」)がJR新宿駅東口で開いた「インボイス&消費税さようなら」宣伝とデモの一こまです。
STOP!インボイス呼び掛け人の小泉なつみさん=ライター・編集者=は「今や自民党以外のほぼ全ての政党が消費税減税を打ち出し、野党のほぼ全てがインボイス反対を打ち出している。活動を始めた4年前には考えられなかった。皆さんの声が世間に届いたからだ」と強調。「参院選では、生活と商売を守り、人権を守ってくれる政治家を私たちの手で押し上げよう」と力を込めました。
宣伝・デモに賛同して立民、れいわ、共産の衆参国会議員と参院選候補者らが、あいさつ(参加した議員と候補者)。
インボイス制度で、自らの事業に悪影響を被ったライターや企業の経理担当者、建設業者、農家らがスピーチ。インボイスによる新たな税と事務負担増、仲間同士の分断などの実害を告発しました。
湖東京至税理士は「不公平な税制である消費税の一番悪い点は、輸出大企業への還付金があることだ。中小業者や国民が払う消費税の約3分の1が大企業に還付される。総額約10兆円の還付金が、トヨタをはじめ大企業に毎年還付されている」と強調(詳報はこちら)。「輸出還付金を維持するために導入されたのがインボイス制度だ。還付金がある限り、インボイス制度は温存される。消費税も、インボイスも廃止させよう」と呼び掛けました。
新宿駅東口広場で行われた宣伝には約400人が参集しました。X(旧ツイッター)でデモを知り、飛び入りで行進に加わった会社員は「インボイス廃止、消費税減税・廃止の趣旨に賛成です。消費税は不公平な税の徴収方法であり、所得税や法人税こそ上げるべき」と話しました。
宣伝・デモに登壇した衆参議員、候補者
末松義規衆院議員・立民
落合貴之衆院議員・立民
藤原規真衆院議員・立民
たがや亮衆院議員・れいわ
池沢理美参院比例第2政策委員・れいわ
岡本麻弥参院比例第3政策委員・れいわ
小池晃参院議員・共産
吉良よし子参院議員・共産
トヨタなど16グループに5兆円 湖東税理士が還付金推算
2024年度に、トヨタ自動車の連結企業グループ(585社)に国が還付した消費税額が1兆8431億円に達することが分かりました。
トヨタを含む輸出大企業16グループでは総額5兆3202億円の消費税が輸出還付金として支払われていました。
元静岡大学教授の湖東京至税理士が、2024年度分の各企業グループの連結決算書に基づき、各グループの輸出割合などを推計して算出しました。
還付金上位10グループには、1位のトヨタ自動車をはじめ、本田技研工業(2位)、日産自動車(3位)、マツダ(6位)、スバル(8位)、三菱自動車(10位)など、円安の恩恵を受ける大手自動車メーカーグループが並んでいます。
トヨタ自動車の連結企業グループだけで還付金額は約2兆円に達し、輸出大企業16グループの34・6%を占めています。

【名古屋・栄周辺】シールアンケートも

愛知県連も加わる「インボイスいらんがね実行委員会」は6月29日、14民商から100人が集い、「消費税&インボイスGOODBYE宣伝・デモ行進」を実施。「希望の広場」(名古屋市中区)の噴水前で「消費税減税インボイス廃止」と書かれた、うちわを配り、道行く人にアピールしました。
同実行委員長の森雅欣さん=溶接、名古屋西部民商=は「このままでは自営業者やフリーランスが、インボイス制度で、つぶされてしまう。廃止の声を大きく上げましょう」と開会あいさつ。
県連の服部守延会長=紙・紙製品卸=は「参院選で消費税減税、インボイス廃止を掲げる政党を伸ばそう」と訴え。沖縄民謡でのアピールもありました。
シールアンケートには75人が回答。望む消費税率は46人が「消費税0%」、25人が「5%」でした。
集会後、名古屋市内を巡回デモ行進。県連の榊原晋副会長=土木・舗装=が先導し、ドラムのリズムに合わせて「消費税なんて、いらんがね!」「今すぐやめろインボイス!」と声を響かせました。
【大阪・天神橋筋商店街】ライブ配信で呼応し

大商連も加わる「STOP!インボイス大阪」は6月29日、10人で宣伝署名に取り組みました。天神橋筋商店街(大阪市北区)で、署名とシールアンケートを訴え、大型テレビとスピーカーで、東京・新宿での集会をライブ配信。
対話した人の多くは自営業者で、ある女性は「売り上げは上がらず、負担が増えて大変。子どもが4人いて、今からお金がかかるのに…」と話し、インボイス廃止にシール投票。「インボイスを登録して課税事業者に。消費税で商売がつぶされる。経理の実務も大変」(印刷)、「インボイス登録してから税負担も、事務負担も大変。廃止してほしい」(インストラクター)など、困難な状況が寄せられました。
足を止めた人たちと新宿の集会を見守る中、「STOP!インボイス大阪」のTシャツを着た小池晃参院議員(共産)の姿に一同が沸く場面も。約1時間半の行動で20人以上と対話し、署名12人分を集めました。