「ホルムズ危機の影響で多くの医療機関が減収・減益に。閉院も多い」(全国保険医団体連合会〈保団連〉)、「加盟店とフランチャイズ本部の裁判外紛争解決手続き(ADR)で合意したが、本部にひっくり返された」(全国FC加盟店協会)、「1月と比べて仕入れ値が1割以上、上昇した中小業者が約9割」(全国商工団体連合会〈全商連〉)―。臨時国会開会直後の7~8日、各地の中小業者が要求を持ち寄り、経産省・中企庁など8省庁に突き付けました。
消費税減税など署名提出
幹事会 苦境にあえぐ実態告発

保団連や全商連などが加わる全国中小業者団体連絡会(全中連)は7日、国会内で「2026年度幹事会」を開き、49人が出席しました。
森元主税代表幹事(保団連副会長)が主催者あいさつ。「ホルムズ危機で医療用品が逼迫し、大幅値上げとなり、多くの医療機関が苦しんでいる」と強調。「抜本的な税制見直しをはじめ、切実な要求実現を政府に迫ろう」と呼び掛けました。
牧伸人事務局長(全商連事務局長)は、全商連が9月1日から始めた「物価高騰影響調査」の途中集計(238者〈社〉、右下の別項)を紹介。物価上昇分を「ほぼ転嫁できている」は3割弱にとどまり「利益を確保できない」が半数を超える実態を示しました。
簗氏に辞職勧告

会場から「高市政権は、最先端半導体メーカー・ラピダスに湯水のように税金を注ぐが、波及効果は疑わしい」(北海道)、「国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金は、物価高に苦しむ中小業者に行き渡っていない」(長崎)など、苦境にあえぐ中小業者の実態を告発しました。
2月の総選挙で自身を応援しなかった首長の自治体の道路予算を大幅にカットしたとの発言を認め、1746万円もの不記載が発覚した裏金議員の「簗和生農水大臣の罷免と議員辞職勧告を要求する」決議を確認。高市早苗首相宛てに郵送しました。
税の使い道正せ
今期で退任する太田義郎代表幹事(全商連名誉会長)が「消費税の減税・廃止へ、地元の名古屋で活動し続ける」と決意表明。新たに選出された土谷洋男代表幹事(全商連会長代行)が閉会あいさつ。「大企業と富裕層を優遇する税金の集め方と使い道を正せば、業者への支援はできる。多様な個人、団体と共同し、世論と運動を広げよう」と訴えました。
この日までに寄せられた「消費税率一律5%以下への減税とインボイス廃止を求める署名」累計47万2206人分を、大門実紀史参院議員(共産)に提出しました。
全中連幹事会は1年間の活動を総括。大軍拡・大増税反対、改憲阻止や、消費税率5%以下への引き下げ、インボイス制度の廃止、診療報酬の大幅引き上げ、公正な取引ルールの確立とFC(フランチャイズ)法の制定など運動の重点や、今期、茨城県商工団体連合会が新たに加盟して、全47都道府県に活動の土台が築かれたことなどを確認。会計報告と会計監査報告を了承し、代表幹事などの役員を選出しました。
仕入れ値3~4割上昇が37.6%
全商連 物価高騰影響調査 途中集計
全商連の「物価高騰影響調査」の途中集計(15日時点)で「2026年1月と比べて、全ての仕入れ値を平均すると、どれくらい上昇していますか」では1割未満が、わずか10.7%。1~2割が43.4%、3~4割が37.6%でした。
「価格上昇が顕著な仕入れを三つまで」挙げてもらう項目では「生コンクリート1平方㍍当たり2万3200円が2万6200円に」「石膏ボード1枚540円が780円に」(建設・建築)、「エンジンオイル・作動油200リットル缶6万円が7万5千円以上に」(サービス)、「鶏肉100グラム当たり60円が87円に」「サラダ油一斗缶3600円が5千円に」(飲食)などの実態が明らかに。価格上昇分を転嫁できない状況も深刻です(図)。「上昇が早過ぎて転嫁できない」との回答が複数寄せられ「売り上げが上がらないのに、材料が上がり、最低賃金も上がるので、経営者はどうすればよいのだろうか」(サービス)といった嘆きも寄せられました。

事業再建へ直接支援を
経産省・中企庁要請 災害支援策の改善求め

経産省・中企庁には、大規模災害の事業再建や、物価高騰・賃上げへの中小業者支援などを求めました。
庁側は「日本政策金融公庫の『災害復旧貸付』を措置し、小規模事業者持続化補助金の『災害支援枠』『くまもと事業者再出発支援補助金』などで復旧を支援する」と回答。「取引適正化や生産性向上、『稼ぐ力』の強化を重視している」と、中小業者への直接支援に背を向けました。
熊本県の代表は「二度の地震や豪雨で、2重・3重ローンに苦しむ被災者もいる。持続化補助金(一般型・災害支援枠)は専門的で難しく、申請に不安を抱く被災者も多い。熊本県商工団体連合会の被災者アンケートには、借金ではない給付型の支援や納税の減免を求める声が根強い」と強調しました。
東京都の代表は、ホルムズ危機で追加融資を申請した事業者が、政策公庫から”預金残高は幾らか答えられないのか”と電話で聞かれるなど、政府が金融機関等に求めた「事業者に寄り添った迅速かつ柔軟な対応」と、かけ離れた実態を告発。庁側は「事業者に寄り添う対応を求める政府方針は変わらない。現場対応で配慮を欠いた可能性もある。引き続き、金融機関とコミュニケーションを図る」と答えました。
物価高、業者へ支援を 全中連が省庁要請
金融庁 資金繰りに支援要請
「金融機関に要請している」

金融庁では、資金繰り不安や、自然災害からの経営再建に応える施策拡充などを要請。全商連の「2026年9月物価高騰影響調査」で価格転嫁が厳しい状況を示し、「資材が高騰し、今後も見通せない。切り詰めるものはない」(建設)などと実態を訴えました。
庁側は、資金繰り支援や既往債務の条件変更、借り換えなどの要請項目について「依然、厳しい経営状況に置かれている事業者が多数存在するとの認識だ」と表明。①きめ細かな資金繰り支援②借り換えや条件変更など事業者に寄り添った迅速かつ柔軟な対応―について累次の文書を発出し、金融機関に要請していると答えました。
埼玉県の代表は、損害保険業界で小規模代理店が廃業に追い込まれたり、意に沿わぬ吸収合併が行われようとしていると告発。実態把握や、小規模代理店が生き残れるように保険会社への指導を要請しました。
総務省 強権的な徴収を告発
「実態を確認する」

総務省では、毎年、政府の「税制改正の大綱」を基に都道府県などに発出する「地方税制改正・地方税務行政の運営に当たっての留意事項等について」に滞納処分に当たって「売掛金の差し押さえを行わないよう加筆すること」や、大災害の被災者に地方税減免と納税緩和制度の適用を積極的に促すことなどを求めました。
省側は「5月の地方自治体向けの研修で、滞納処分は、滞納者の個別の事情に応じるように伝えた。熊本地震を念頭に、地方税減免を積極的に促すよう通知した」と回答。行政のデジタル化に当たって「個人の選択を尊重し”誰一人、取り残さない”姿勢は変わりない」と述べました。
参加者は「飲食店を営む事業者は、国税の徴収は執行停止になったのに、地方税滞納整理機構の強権的な徴収で事業継続を断念せざるを得なかった」と告発。「地方税は、国税徴収法に準じるはずではないのか」と迫りました。省側は「『留意事項』にのっとった対応がなされていない」と述べ、「実態をよく確認する」と回答しました。
国交省 万博未払い解決求め
「窓口開設し助言を行う」

国土交通省には、全中連代表幹事の鈴木正彦さん(千葉県)ら3人が参加。大規模自然災害、建設資材の不足・高騰、大阪・関西万博未払い問題について、対応をただしました。
省側は「国土強靭化に取り組み、切れ目なく施策を行えるよう概算要求で事項要求している。物価高騰も反映するように予算を確保する」と表明。「建設業団体へのヒアリングを実施するなど資材の供給安定化に取り組んできた」「万博は”民・民の問題で関与しない”との立場ではなく、許認可権者として助言し、解決をめざす。国は相談窓口を開設し、助言を行う」などと回答しました。
参加者は、全商連の物価高騰影響調査の中間集計を示して「価格転嫁できているのは3割弱。過半数が利益を確保できていない」「千葉では豪雨水害後、修理を頼もうにも、地元に業者がいない」などの実態を示し、対策を要求。省側は「(転嫁対策など)実効性が課題だ。標準見積書の内訳明示の取り組みを強めたい」と答えました。
厚労省 国保に傷病出産手当創設を
実施例示し「検討する」

厚労省では、国民健康保険(国保)料・税の引き下げや、物価高騰の影響を受けた医療機関への診療報酬の大幅引き上げ、OTC(市販薬)類似薬の負担増などによる医療費削減の撤回などを求めました。
都道府県での国保保険料の完全統一化で、大分県の代表は「県の試算では、低所得者ほど負担が大きい。激変緩和措置も5年間と限定的だ」と指摘。省側は「自治体の取り組みを見て進めていく」と推進の立場を表明しました。
国保の傷病手当の創設では、岡山県の代表が「京都の八幡市では一律5万円を支給している。国も前向きに考えてほしい」と要請。省側は「検討する」と答えました。
全中連の森元主税代表幹事(保団連副会長)は「医療機関の診療報酬は、物価高に全く追いつかない。診療に必須のゴム手袋など、どんどん上がっている。ぜひ期中改定を」と訴え。省側は「11月上旬まで調査し、状況把握に努める」との回答にとどまりました。
財務省 消費税を一律5%に
「引き下げ困難」と強弁

財務省では、消費税率の一律5%以下への引き下げや、インボイス(適格請求書)制度廃止、青色申告制度の改悪の撤回などを求めました。
大阪の代表は、高市政権がもくろむ飲食料品の消費税1%への引き下げで、「外食業者がテイクアウトとの税率差で大打撃を受ける」と指摘し、直接支援の必要性を強調。一律減税を求めました。参加者は、高市「消費税減税」がまだ決まっていないにもかかわらず、国税庁が特設ページを設け、広報していることに抗議しました。
省側は「消費税は安定財源であり、税率5%への一律減税は、行政サービス低下につながるため困難」と強弁。インボイス制度は「複数税率下での適正な課税や仕入税額控除を担保するために不可欠。廃止は困難」と開き直り、中小業者の要求に背を向けました。
国税庁 収受日付印復活せよ
不利益の実態を無視
国税庁では、確定申告書の収受日付印の押印復活や強権的な税務行政の改善などを要請しました。
高知県の代表は「2024年の収受日付印が押された簡易課税制度選択届出書の控えがあったことで提出した事実が証明された事例もある」と告発し、収受日付印の押印復活を求めました。庁側は「提出した事実は、各種手続きで確認できる」と述べ、押印復活に背を向けました。
福岡県の代表は、税務署の事務が業務センターなどに集約されたことで税務署から「オンライン申請を優先しているので直接来た方は後回しになる」などと言われた事例を紹介。事務効率を優先する姿勢を改め、納税者に寄り添った対応を求めました。
沖縄県の代表は、税務署員が予告なしで税務調査に訪れ、身分証の提示もないまま自宅兼店舗に押し入り、子ども部屋やタンスを捜索した事案を告発。調査中止と謝罪を求める請願書を提出しました。

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