影響緊急調査2215人分 高騰8割、調達困難も半数
ホルムズ海峡封鎖などの影響で「シンナー類全般の価格が1.5倍から1.7倍にハネ上がり、仕入れできなくなった」(塗装)、「溶剤全てが値上がり、梱包資材は欠品。昨年末から融資返済が始まり、倒産の危機に」(電子部品製造)、「シャンプー・リンスの業者がプラスチック容器の値上がりを見越して廃業した」(美容室)―。米国とイスラエルによる無法なイラン攻撃が招いた燃油や資材価格の高騰と供給不足が、各地の民主商工会(民商)会員をはじめ多くの中小業者を経営危機に追い込んでいます(図1~2)。全国商工団体連合会(全商連)や全商連婦人部協議会(全婦協)は「取り返しのつかない事態になる前に、直ちに支援を」と国への要請を強めています。

30%超の値上げ通知が
三重・津民商会長 山口謙治さん=屋外広告

「アルミや塩化ビニール、プラスチック、アクリル製品など、10社以上の仕入れ先から一方的な『値上げのお願い』の通知が来た。中には、『4日後出荷分から30%以上』という乱暴なものも…。果たして、価格転嫁できるのか」―。こう憤るのは、三重・津民商の山口謙治会長=屋外広告=です。
材料メーカーや問屋から、3月末から4月上旬にかけて供給制限や値上げの通知が一斉に届きました。「便乗値上げもあるのでは、と勘繰りたくもなる」と不満を抱きます。「町の看板屋」として営業して41年。企業や店舗、工務店などから依頼を受け、屋外看板の企画・デザイン・製作・取り付けを行います。資材は、受注に応じて必要な分を仕入れるため、在庫はほぼ無し。今後の受注分は、値上げした資材を使わざるを得ないと言います。
「政府は、消費税の5%減税をはじめ、持続化給付金や雇用調整助成金の拡充などの手立てを早急に講じるべき。何より、戦争を止めなければ。高市早苗首相は、トランプ大統領に『無法な戦争はやめろ』と言うべきで、改憲に熱心になっている場合ではない」
施工中の現場ストップ
札幌東部民商 Kさん=建築塗装
「目の前に仕事があるのに、施工できない。コロナ禍よりもキツい」―。こう嘆くのは、札幌東部民商のKさん=建築塗装。3人の職人を使い、マンションの外壁や店舗の内装、デザイン性の高い特殊塗装などを手掛けます。
3月末からシンナーが全く入手できなくなりました。「シンナー不足で施工中の現場がストップ。仮に、シンナーが手に入ったとしても、5月中旬から水性塗料で15%、溶剤塗料で25%の値上げになる」と途方に暮れます。追い討ちをかけるように4月から、マスカーテープなども入手困難に。
「3人の外注を含めると、1カ月に250万円ほどの売り上げが必要なのに、シンナー不足で仕事をみすみす逃している。このままでは死活問題だ。政府に、資材の安定供給と、仕入れの値上がり分を補てんする直接支援を求めたい」
5月から仕事できない
静岡・沼津民商 金子春樹さん(仮名)=塗装・防水
「塗料のみならず、防水材も出荷制限になった。このままでは、5月から仕事ができなくなる。契約が白紙になるのが一番、怖い」―。こう話すのは、静岡・沼津民商の金子春樹さん(仮名)=塗装・防水=です。一般住宅の他、病院や大型商業施設の塗装工事や防水工事を手掛ける会社の2代目です。
「溶剤系シンナーは4月から出荷停止になった。水性系の材料で代用しているが、耐久性が劣るし、その在庫も、残り1カ月分ほどしかない。4月8日からは、建築用シート防水材やウレタン防水材、シーリング材に出荷制限がかかった。既に契約を済ませた現場の仕事が、できなくなるかもしれない。そうなれば、工事自体が中止になる可能性もある」と困り果てています。
「社員6人を路頭に迷わすわけにはいかない。政府が、いくら『備蓄石油を放出している、直ちに影響は生じない』と言っても、供給不安は払拭できていない。ナフサ由来の製品が『いずれ足りなくなる』という不安が消えないからだ。ナフサの安定供給は、政府の責任ではないか」
コロナ禍並み支援を 全商連が政府要請 影響緊急調査を突き付け

全商連は4月13日、政府に対して「ホルムズ海峡封鎖等の影響による中小業者の緊急事態の打開を求める要請」を行い、緊急対策を求めました。
内閣府と財務省、国税庁、金融庁、中小企業庁、厚生労働省、資源エネルギー庁に対し、消費税率5%以下への一律減税▽税金・年金・保険料の納付猶予・免除▽燃料・光熱費への直接支援▽家賃・リース料などの固定費補助▽コロナ禍に実施された「持続化給付金」「家賃支援給付金」のような支援策▽返済凍結、借り換え、新規融資などの資金繰り対策▽雇用調整助成金の拡充―などを要請。辰巳孝太郎、畑野君枝の両衆院議員(ともに共産)が同席しました。
全商連の藤川隆広副会長=梱包資材加工=が要請書を手渡し「『ナフサ』由来の製品不足は深刻で、当社も包装資材メーカーから30%の値上げ連絡を受けた。取引先との値上げ交渉は半年ほどかかり、その間は利益が落ちるか、赤字になる。国は対策を急ぐべき」と強調しました。
全商連の中山眞常任理事は「ホルムズ海峡封鎖等による影響緊急調査」の中間集計結果を報告し、「資材の高騰や供給不足によって、既に仕事が止まり始めている」と指摘。「最も望まれている燃料や光熱費への直接支援を直ちに行い、資材の安定供給を図るべく『川上』から『川中』を挙げた迅速で強力な”目詰まり対策”も必要だ」と強く求めました。
金融庁は「3月27日に、官民金融機関宛てに『中東情勢を踏まえた金融上の対応について』を発出し、事業者に寄り添ったきめ細やかな対応を求めた」と回答(4月27日号2面、3面「主張」既報)。しかし、他省庁は「コロナ禍の給付金は、政府が人流抑制や休業要請などを行った際の異例の措置」「影響を慎重に注視していく」などの回答にとどまりました。
藤川副会長らは「後手に回れば、日本経済に大変な影響が出る。手遅れになる前に、少なくともコロナ禍に行われた支援策は直ちに実施を」と重ねて迫りました。

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