石破茂内閣は13日、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太の方針)を閣議決定しました。大企業優先の経済政策や大軍拡を進めながら社会保障を削減する政策が貫かれ、来年度の政府予算案に反映されます。
食料・生活用品の価格高騰に苦しみ、消費税減税・廃止を切望する国民の願いを尻目に、「当面のリスクへの対応」として「減税政策より賃上げ」と一蹴。「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」を掲げ、「生産性向上」や「官公需の価格転嫁」などをうたいますが、目新しい具体策はありません。中小業者の賃上げを可能にする直接支援や社会保険料軽減、適正単価と公正な取引ルールの確立などが求められます。
「パワーポリティクス(軍事力中心の権力行使)の下で新たな国際秩序が形成されることにも備える」とし、ミサイルや軍用ドローンなどを活用した軍事力の抜本的強化を推進。その財源は「令和9(2027)年度に向けて複数年かけて段階的に実施し、令和9年度において、1兆円強を確保」とした「令和5(2023)年度税制改正大綱」を踏まえるとしています。
世代間対立をあおり、自己責任を迫る「全世代型社会保障」に固執し、病床数の削減や「OTC類似薬」の保険外しなど、患者負担増と医療の市場化を狙います。一方で「医療・介護・障害福祉等の公定価格の分野の賃上げ」や「処遇改善」が明記されましたが、医療や介護などの厳しい現状からすれば当然です。
東京一極集中や地方間格差の解消をめざすとした「地方創生2・0基本構想」は、高規格道路や整備新幹線などの大型開発やインバウンド需要頼みで、循環型地域経済の発展につながりません。原子力発電は「最大限活用する」とし、「再稼働」に加え、廃炉原発の「立て替え」まで打ち出す推進ぶりです。「水田政策の見直し」はあるものの、コメ価格高騰の根本原因である減反・減産政策への反省はありません。「骨太の方針2025」は、これまで自民党政治がすすめてきた大企業優先、大軍拡の悪政をさらに推し進めるものです。7月20日投開票予定の参院選で自民党政治に厳しい審判を下し、暮らし優先の政治に転換させましょう。