迫る発行停止期限12月2日 健康保険証の廃止撤回を|全国商工新聞

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 現行の健康保険証の新規発行の停止期限である12月2日が3週間余りに迫った11月7日、全国商工団体連合会(全商連)も加わるマイナンバー制度反対連絡会は東京・日比谷野外音楽堂で「マイナ保険証の押し付け反対 保険証を残せ! 11・7大集会」を開きました(医療団体連絡会議らが共催)。首都圏の民主商工会(民商)の役員や会員ら(下の別項)を含め全国から2300人が参加。集会後の銀座デモでは、「保険証の廃止を撤回しろ」などとシュプレヒコールを上げました。参加者はこれに先立ち、デジタル庁と厚生労働省に「健康保険証廃止の撤回」を要請しました。衆院で自公の与党が過半数割れに追い込まれ、政府の姿勢に変化も。厚労省は「( 12月2日を境に)医療現場が大きく変わるものではない」、デジタル庁も「( 12月2日以降も)これまで通りの医療を受けることができますので、どうぞご安心ください」と説明せざるを得なくなっています。「保険証を残せ」の世論を強める時です。

監視社会にするな 全商連などマイナ連絡会 集会・デモに2300人声上げ

集会で「健康保険証をのこせ!」のプラカードを掲げる参加者たち=7日、東京・日比谷野音
マイナ保険証押し付け反対とアピールした銀座デモ=7日、東京都内

 「健康保険証廃止方針を撤回せよ!」「余計なことするな!」―。晴れ渡った秋空に、日比谷野音に集った2300人の怒りの声が響きました。
 スタンダップコメディアンの清水宏さんがパフォーマンス。「まず、余計なことすんじゃねーよ。マイナ保険証で便利になったって宣伝するけど、めちゃめちゃ不便になってんじゃん」と切り出すと、会場を埋め尽くした参加者から「そうだ~!」の声が。「”マイナンバー”って言うけど、これは”俺たちのナンバー”なんかじゃない。”あいつらのナンバー”じゃねーか。政府は、俺たちの生活を勝手にいじんな。保険証廃止『納得いかねー』の声をガンガン上げていこう」との呼び掛けに、「健康保険証をのこせ!」のプラカードが共感で大きく揺れました。
 東京土建一般労働組合の中村隆幸委員長が「保険証の廃止は、仲間たちの医療アクセスを妨害し、私たちの団結の象徴を失わせる」と批判。東京地方労働組合評議会の山田博樹副議長は「与党が過半数割れに追い込まれた背景には『保険証を廃止するな』の怒りもある。確信を持ち、この声を広げよう」と訴えました。
 「マイナ保険証の利用率はわずか13%余り。マイナ保険証は欠陥だらけだ。現行の健康保険証を残させよう」と声を上げたのは全国保険医団体連合会の山田美香理事。共通番号いらないネットの原田富弘さんは「なぜ政府は、ここまでマイナ保険証を押し付けるのか。それは、企業の金もうけに利用し、社会保障費の削減に使って、監視社会をつくろうとしているからだ」と告発しました。
 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会の家平悟事務局長は車いすで仲間と共に登壇し、「人に本当に優しいデジタル化を実現したいのであれば、障害者や高齢者をはじめ、国民の医療を受ける権利を後退させるマイナ保険証への一本化を直ちにやめるべきだ」と主張。自由法曹団の瀬川宏貴弁護士は「現行保険証でうまくやっているのに、なぜ、これを無くそうとするのか」と憤りました。
 倉林明子(共産)、伊藤岳(同)両参院議員があいさつ。谷田川元衆院議員(立民)からメッセージが寄せられました。
 集会後、参加者は銀座周辺をデモ行進。「マイナ保険証への一本化反対」「保険証の廃止を撤回しろ」「12月以降も保険証を残せ」などと訴えました。「保険証を残せ」と訴える行進を、通行人がスマホで撮映する場面も。「(保険証が)無くなるんだって」との声も聞こえました。

マイナ保険証ごり押し反対Q&A

 石破茂自公政権は12月2日以降、現行の紙の健康保険証の新規発行を停止し、マイナンバーカードに健康保険証の機能を付加した「マイナ保険証」への一本化を強行しようとしています。しかし、9月末時点でマイナ保険証の利用率は13%余りで、医療機関の約7割で「資格確認ができない」などのトラブルが起きています。衆院で与党過半数割れの好機を生かして「紙の保険証を残せ」の世論と運動を広げつつ、マイナ保険証にどう対応すればいいか、Q&Aで解説します。

Q1 マイナ保険証、今すぐ作らないとダメ?

A1 今すぐ作らなくても大丈夫

 12月2日以降も、現在使っている健康保険証で最長1年間、有効期限が切れるまで、今まで通り、医療機関を受診できます。有効期限は、加入している公的医療保険(国保、後期高齢、社保【協会けんぽ、健保組合】、共済組合など)によって異なります(図1)。

Q2 情報漏えいが心配。マイナ保険証の利用はやめられないの?

A2 マイナ保険証の登録解除ができます

 10月28日から、マイナ保険証の登録解除ができるようになりました。
 健康保険証に記載されている「保険者」に「マイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除申請書」(図2)を提出することで、マイナ保険証の利用解除ができます。市町村国保や後期高齢者医療制度の場合は、各自治体の窓口で申請ができます。国保組合は、組合の窓口で申請することができます。
 申請書を提出後、1カ月程度(予定)でマイナ保険証の利用登録が解除され、資格確認書が保険者から交付されます。

Q3 保険証の有効期限が切れたら、マイナ保険証を作らなきゃダメ?

A3 「資格確認書」で受診できます

 今使っている健康保険証の有効期限が切れた後は、しばらくの間は特に申請しなくても、保険証を発行している保険者(市町村など)から「資格確認書」(図3)が交付されます。
 「資格確認書」は、現行の保険証と同様に医療機関の窓口で見せるだけで使えます。
 厚生労働省は「これまでどおりの医療を、あなたに」などと、「資格確認書」の利用の周知(図4)をしています。厚労省は「資格確認書」の廃止時期などは言及していません(資格確認書の交付終了時期は未定)。
 「資格確認書」の交付は、マイナ保険証を持っていない人に限定されるので、「マイナ保険証を持っているけど、資格確認書に切り替えたい」という人は、1面のQ2にあるマイナ保険証の登録解除を行ってください。

Q4 マイナ保険証の問題点は?

A4 7割の医療機関でトラブルや不具合が起きています

 全国保険医団体連合会が行った、全国の医療機関へのアンケート調査では、約7割の医療機関が、マイナ保険証によるトラブルや不具合が「あった」と回答しています(図5)。医療機関の窓口で、名前や住所の漢字が表示されない事例など、正しい情報が把握できず、現行の紙の保険証で確認しています(図6)。

 介護施設や障害者施設からは、高齢者や障害者にはマイナ保険証のカードリーダーによる顔認証や暗証番号の入力が困難な事例も報告されています。電子証明書の5年ごとの更新手続きや暗証番号の管理など、現行の保険証では必要のなかった情報管理がマイナ保険証には求められることにも、不安の声が上がっています。

Q5 いま私たちにできることは?

A5 「現行の保険証を残せ!」の運動を広げよう

 これまでは健康保険証1枚で医療機関を受診できていましたが、12月2日以降、健康保険の資格確認方法は、8通りの方法が想定されています(図7)。
 マイナ保険証によって起きる問題は、現行の保険証を残せば全て解決します。現行の保険証を残してほしいという声が広がり、37都道府県、210自治体で保険証廃止の見直し・延期を求める意見書が採択されています。「現行の保険証を残せ!」の声を、署名などで、さらに大きく上げていきましょう。

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