第55回3・13重税反対全国統一行動 民主的な税制・税務行政へ|全国商工新聞

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全納税者の運動めざし

 「金権腐敗政治を正し、民主的な税制・税務行政の確立へ、全納税者が手を取り合おう」―。全国商工団体連合会(全商連)も加わる3・13重税反対全国統一行動中央実行委員会は13日、衆院第二議員会館で「第55回3・13重税反対中央各界代表者集会」を開き、57人が参加。終了後、財務省と国税庁、総務省に、強権的な税務行政の是正や自民党の裏金議員を調査し課税するよう要請しました。

中央各界代表者集会

裏金がゆがめた税制を正し、応能負担の原則を徹底させることを求めた第55回3・13重税反対中央各界代表者集会

 全商連の太田義郎会長がオンラインで主催者あいさつ。「確定申告期を迎え、消費税インボイス(適格請求書)による増税と、自民党の裏金議員への怒りが沸騰している。企業団体献金を根絶させ、税制に応能負担の原則を徹底させるために、全ての納税者と団結しよう」と呼び掛けました。
 日本共産党の小池晃参院議員が激励あいさつ。「献金額が多い企業ほど、大企業優遇税制の恩恵を受ける現状に、日本政治の病理が表れている。正面から切り込んでいきたい」と述べました。立憲民主党の櫻井周衆院議員も駆け付けました。
 「『裏金』と税制を問う」をテーマに、菅隆徳、湖東京至、浦野広明の3人の税理士が講演しました。
 菅税理士は「自民党への献金額が5千万円のトヨタ自動車は、減税の恩恵が5387億円に上る。献金額の1万倍以上のリターンを得る大企業が多数ある」と指摘(図)。「行き過ぎた大企業・富裕層減税が失敗したことは、与党の税制改正大綱も『成果を上げてこなかった』と認めている。彼らに応分の負担を求めれば、50兆円の財源を生み出し、消費税も減税できる」と強調しました。

 湖東税理士は「消費税を増税しても、社会保障の公費負担額は上がってこなかった」と告発。「逆進性の高い消費税は、社会保障財源に最も向いていない。景気回復には、超過累進課税を徹底するとともに、公費負担を拡大し、労働者の可処分所得を増やすことが大切」と述べました。
 浦野税理士は「企業献金は本来、政策的な見返りを求めれば賄賂、求めなければ背任に当たる行為だ」と指摘。「裏金集会(政治資金パーティー)の利益率は8割前後だ。適切な課税をしなくてはならないが、検察や国税庁は何もしていない。”強きを助け、弱きをくじく”税務行政をただすため、政治を変えよう」と呼び掛けました。
 6団体の代表が発言。全商連の中山眞常任理事は「電子申告の利用率は65%を超え、今後もこの流れは加速する。しかし、納税者の税金に対する怒りを総結集し、民主的な税制を求める『3・13重税反対全国統一行動』は、ますます大事だ。『申告書を集団で提出する日』だけにせず、全納税者が税金の集め方、使い道に異議申し立てする行動に発展させよう」と訴えました。

期限後申告でも適用 財務省・国税庁要請 2割特例で回答
財務省の担当者に要請書を手渡す東京土建の大木栄一・税金対策部長(右から2人目)

 財務省には、①消費税5%への減税とインボイス制度廃止②大軍拡路線の転換と軍拡増税の中止③課税最低限の引き上げ―を求めました。
 「年金生活者は、食事や入浴の回数を減らし、冷暖房の使用も控えている。貧しい人にも一律に課税する消費税は減税すべき」との訴えに、省側は「消費税の逆進性は承知しているが、社会保障の財源になることで還元されている。所得税の累進部分でバランスを取っている」と強弁。「物価高騰で利益が落ちているところに、消費税納税を迫られるインボイス制度は廃止すべきだが、制度が存続している間は『2割特例』を維持・恒久化すべきだ」との訴えには、「3年の時限措置であり、その後は未定」。「法人税減税が繰り返され、内部留保は555兆円と名目GDP(国内総生産)に匹敵するまで増えた。税制に応能負担を貫くべき」との要望に、「法人税の在り方は、与党税制調査会でも議論されており、課税ベースを広げることも進めている」と応じました。
 国税庁には、納税者の個々の実情を踏まえ、税務運営方針に沿った税務行政の徹底をはじめ、確定申告書の受付収受印廃止など納税者へのサービス切り捨てをやめること、自民党裏金議員への税務調査の実施など6項目を要請しました。
 「全国各地で強権的な税務調査が行われている。違法・不当な調査は是正せよ」とただしたのに対し、庁側は「個別案件には答えられないが、関係課に伝えるようにする。あらゆる研修を通じて、納税者の実情を踏まえた税務行政を行うよう指示している」と述べました。「政治資金収支報告書の収入、支出総額などを『不明』と訂正した議員がいるが、こんなことが認められるのか。国民は怒り心頭だ」と迫ると、「必要と認められれば調査し、課税することもある」と応じました。
 「インボイス登録したが、消費税申告が必要だとの認識がない事業者が多く残されている。期限後申告となった場合でも、『2割特例』は適用されるか」との質問に、庁側は「適用する。ただし、いったん申告が確定した後、2割特例に切り替えての修正申告、更正の請求はできない」と答えました。

納税者の状況に配慮 総務省要請 納付困難に見解

地方税の徴収改善を求めた総務省要請

 総務省には、①自民党の裏金議員の記載漏れや誤記載を「政治資金監査マニュアル」に沿って調査し、政治資金の収支状況を明らかにする②地方税の納付相談で、各自治体が納税緩和制度について説明し、申請を拒否しない③2024年度地方税務行政の運営に当たっての留意事項で、昨年まで記載されていた納税緩和制度の適切な運用についてを追記する―ことを求めました。
 省側は、政治資金に関し「個別の事案であり、政治資金監査マニュアルに沿っているかどうかを調査する立場ではないので回答は差し控える」「捜査の権限等がなく、収支報告書を訂正したいという申し出があったら、公表することしかできない」と回答。
 納付相談については「納付が困難との相談を受けた場合には、納税者の置かれた状況に配慮して親切丁寧な対応を行い、納税者の実情等を十分に把握した上で、法令等に基づき適切な適用をお願いしている」と答えました。
 納税緩和制度の適切な運用については「納税者から一括納付が困難との相談を受けた場合は、引き続き、納税者の置かれた状況や心情に配慮し、親切・丁寧な対応を行い、納税者の実情等を十分に把握したうえで、法令等に基づき制度等の適切な適用をする旨を、昨年8月23日に発出した通達『令和5年9月以降における新型コロナウイルス感染症に関する各種通知及び事務連絡等の取扱いについて』で明記した。徴収猶予や換価の猶予を知らせ、納税が困難な方への対応を柔軟かつ適切に行うよう示している」と答えました。

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