確定申告のワンポイントアドバイス(13) 2024年以降の申告を巡る問題|全国商工新聞

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 インボイス発行事業者登録をして、消費税の課税取引を行った方は、3月31日までに、消費税の申告と納税を行わなければなりません。「インボイス登録をしたら、消費税の納税義務者になる」という誤った解説も多く見られますが、給与所得者など消費税の課税取引が無かった方は、消費税の申告をする必要はありません。
 国が、インボイス導入の次に狙っているのが、納税者の情報収集です。手始めに、インボイスと電子帳簿保存法(電帳法)を組み合わせ、大量のテレビCMを流し、不安をあおりましたが、白色申告者は電帳法に全く対応する必要がなく、今まで通りの書類作成でいいことが知れ渡りました。電帳法に対応できない青色申告者についても、広範に猶予が認められたことにより、無理に対応する必要は無くなりました。
 今年の確定申告書の収支内訳書を見ると、インボイス番号を記載する欄が設けられています。税務署は空欄を埋めるように仕向けてきますが、全てに対応する必要はありません。「インボイス番号を確定申告書に記載せよ」という法律は一切存在していませんので、記載しなくても有効な申告書として取り扱われます。話は変わりますが、電子申告を推奨する国税庁のお願いを納税者や税理士が容認したばかりに、紙での申告書提出が不便になりそうな事態が起こっています。
 国税庁は2025年1月以降、窓口や郵送で送られた申告書、その他全ての文書に収受印の押なつを行わない、ということをもくろんでいます。明らかに国税庁の勇み足であり、行政サービスを切り捨て、低下させることになりますから、国民主権国家の形骸化を意味します。納税者が収受印の押なつを求めれば、すがすがしく応じるのが、「全体の奉仕者」としての公務員の重要な役割です。プレプリント申告書や納付書を送付しないことも検討されています。今年の3・13重税反対全国統一行動では、申告書等への押なつ継続や納付書の送付を強く求めなければなりません。
 最後に、4月1日より改悪される税理士法で「税務相談停止命令」制度が施行されます。税理士以外の者が税金の相談をした場合に、財務相が相談行為の停止を命じ、インターネット等で氏名等を公表しようとするものです。全国商工団体連合会(全商連)など自主申告運動の擁護・発展をめざす8団体の運動と日本共産党国会議員団との連携により、命令処分の要件が脱税指南や不正還付を指南するものである等の制約を課しましたが、自主申告制度の理念に反し、憲法違反の疑いが極めて強いものです。
 昨今の為政者は、国民を分断し、孤立化させることに重きを置いています。今こそ、納税者が適正な申告納税制度を実現するために集結し、憲法に基づく税務行政を求め、国家権力を監視していくことが重要となっていきます(図)。

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