【2024年度政府予算案を考える(上)】軍事費1兆円超の増額で突出 消費税減税とインボイス中止こそ|全国商工新聞

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 岸田政権は12月22日に閣議決定した2024年度予算案を、能登半島地震を踏まえて1月16日に予備費を5千億円積み増しし、1月26日に国会に提出しました。
 一般会計歳出の総額は112兆5717億円で、23年度当初予算比で約1兆8千億円の減額となりましたが、2年連続で110兆円を超えました。
 一般歳出67兆8千億円のうち、最も多いのは社会保障関係費で37兆7千億円余り(33.5%)。軍事費が7兆9千億円(7.0%)と初めて7兆円を突破し、8兆円に迫る増額となりました。そのほか、国債の償還費用等に27兆円(24.0%)、地方交付税交付金等が約17兆8千億円(15.8%)です。

災害復興の拡充へ組み替え図るべき

 1兆1千億円以上の突出した増額となった軍事費ですが、敵基地攻撃能力の保有を打ち出した「安保3文書」の具体化を図るためのミサイル購入や研究開発費などに巨額の予算を計上しています。能登半島地震では被災者の捜索・支援などに自衛隊が重要な役割を果たしています。敵基地攻撃など不要不急の装備の調達は中止し、災害救援、復旧・復興に役立つ装備の充実や、自衛官の処遇改善などの組み換えを図るべきです。
 社会保障費では、「物価に負けない賃上げ」の実現を掲げ、診療報酬や介護報酬の引き上げを強調する一方、高齢化などによる「自然増」5200億円のうち3割近い1400億円を削減します。診療報酬は、薬価の引き下げなどで全体として0・12%のマイナス改定となりました。医療機関や介護事業所の経営改善が難しくなり、医療や介護の従事者の賃上げは「画に描いた餅」になりかねません。

少子化対策不十分第1子から支援を

 第3子以降の児童手当の拡充や「大学の無償化」など子育て政策の充実をアピールしていますが、少子化傾向は、多子世帯への手厚い支援だけでは改善は望めません。逆に、「1人目、2人目はなぜダメ?不公平すぎる」「無償化でなく差別化」などと反発が相次いだように、第1子から医療・教育などにかかる費用への十分な支援を行うことこそ必要です。
 一般会計歳出のわずか0.2%(1693億円)に過ぎない中小企業対策費については、次回で解説します。
 歳入では、税収が69兆6千億円。うち消費税収を23兆8千億円(21.2%)と見込み、過去最高となります。法人税は17兆円(15.1%)で、所得税は1回限りの定額減税を実施することにより、17兆9千億円(15.9%)となっています。円安による物価高騰が国民生活に多大な影響を与えており、能登半島地震の被災者の生活再建を支援するためにも、消費税の減税とインボイス制度の廃止こそ行うべきです。

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