2023年11月26日 全商連第6回常任理事会 インボイス早期廃止・消費税減税を前面に危機打開と会勢の前進、運動の継承・発展を|全国商工新聞

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一、悪政の根源と民商の存在意義

 「『減税』を打ち出しても支持率が低下する」異例の事態が起きています。生活や営業に行き詰まる国民・中小業者の苦難を背景に、岸田政権への底なしの国民不信が表われています。
 コロナ感染の扱いが5類に変わっても、売り上げは回復せず、営業努力を上回る物価高が廃業の危機を深刻化させています。実質賃金が減り続け、消費に占める食費の割合が上昇するなど、生活苦が広がっています。超低金利政策による円安がさらなる物価高騰を引き起こす中、1兆円を超える消費税増税を招くインボイス制度を強行した政府に怒りの声が上がっています。
 岸田首相は、国民1人4万円の所得税減税や低所得世帯への7万円給付を打ち出しました。その後に待ち構えるのは、軍拡大増税と社会保障の改悪です。防衛力強化資金を含む補正後の軍事費は12兆円に達します。議論が始まった国民年金の支払い期間の5年間延長が実施されれば1人約100万円の負担増です。
 国民はアメリカと財界言いなりという悪政の根源を見抜き始めています。全国どこでも中小業者の苦悩に寄り添って助け合い相談を展開し、困難打開と悪政転換をめざす民商の存在意義が鮮明です。

二、要求運動の重点

 この間、インボイスの実施中止に力を合わせてきました。営業を守る立場で学習・相談に取り組む民商に信頼が寄せられています。
 「納税者の権利憲章」(第3次案)シンポジウムを開催し、業界団体との懇談を進めてきました。憲法理念を前面に、「税制で商売をつぶすな」「生きることが優先する」と主権者意識を貫く憲章案に、賛同の声が寄せられています。
 コロナ禍で延期していた第22回中小商工業全国交流・研究集会をオンラインで開催し、1300人の参加で大きく成功しました。商売の創意と工夫、研究者や同業者との交流を通じて、中小業者として生き抜く意欲を高め合ったことは重要です。
 物価高から経営を守る自治体施策を活用し、社会保険料の強権的徴収の是正を迫るなど、危機打開の運動でも前進を切り開いています。
 こうした成果を確信に、今後の運動の重点に基づく活動に力を合わせましょう。

1、「税の在り方と使い道」を正す運動を

 インボイスの実施強行から2カ月、免税業者への値引き強要や取引排除、煩雑な実務の押し付けに、混乱と怒りが渦巻いています。「売り上げを10%引かれた」との声も寄せられ、STOP!インボイスが実施したWEBアンケートでは、「やむなく登録した」「先行きが不安だ」という回答がともに6割を超えています。
 インボイス対策リーフ「民商なら自分でできる」を使って、商売を守る立場で制度を学習し、インボイス制度と消費税に怒りを湧かせます。中小業者一人一人がインボイス制度に対処できるよう、網の目で相談会を開催します。インボイス登録を余儀なくされ、初めて申告する中小業者やフリーランスの相談も、民商に寄せられるよう大きく知らせます。
 岸田政権の増税に怒る中小業者・国民に、「ガソリン税凍結、消費税減税、インボイス制度廃止を求める」請願署名を、1会員10人分をめざして広げます。世界107の国・地域が付加価値税を減税している事実も知らせて、「税の在り方と使い道」を正す世論を巻き起こします。

2、納税者の権利を守り重税反対統一行動の成功を

 税務相談停止命令制度(停止命令制度)の4月実施を目前に、確定申告期を迎えます。停止命令制度は、脱税や不正還付の指南を罰するもので、民商・全商連の「自主計算・自主申告」とは無縁です。申告する所得と税額を本人が決め、申告書を自ら書き上げることが、納税者としての自覚と権利意識を高めます。「自主計算パンフレット2024」を活用して、税金相談員を増やし、仲間同士の学び合いを徹底します。
 「納税者の権利憲章」パンフを活用し、先進国が当然、備えるべき制度(ミニマム・スタンダード)として「納税者の権利憲章」制定を求める団体・個人との共同を広げます。税務署の動きには警戒を怠らず、不当な介入には毅然と抗議して是正を求めます。
 不当逮捕から10年を迎える倉敷民商弾圧事件では、禰屋裁判勝利に向けて、署名30万人の達成や全県での支援組織結成、公判の傍聴参加などを強めます。
 2024年の3・13重税反対統一行動は、主権者として申告納税権を行使し、民主的な税制・税務行政を実現するよう声を上げる取り組みです。法人を含めた全会員に参加を呼び掛けて、集会・デモ・集団申告を大きく成功させます。

3、経営対策と自治体要請を強め危機打開を

 商工交流会には、中小業者の役割発揮と地域経済の活性化をめざす多彩な実践報告が持ち寄られました。商工交流会報告集や経営対策交流会も参考に、経営を学習・交流する多彩な取り組みを、民商や県連で旺盛に行います。班・支部でも商売や業界の話題を語り合い、商売の知恵と工夫を交流する気風を民商活動に根付かせます。業者青年やフリーランスに魅力ある、経営対策にも強い民商をめざします。
 特別融資の返済開始や税金、国保、社会保険料の納付猶予の打ち切りで切実さを増す経営・金融相談を強め、使える施策の活用を進めます。相談活動への協力を会員に呼び掛け、民商運動への理解と共感を広げて担い手を増やします。
 すべての自治体を対象に懇談・交渉を行い、中小業者の実態と要求を知らせ、地方創生臨時交付金・重点支援の増額も活用して、役に立ち、使い勝手の良い施策の創設・拡充を求めます。
 全中連が主催する国会議員・省庁要請と全国中小業者決起大会(2月7日、東京・砂防会館)にカンパを集めて予算を組むなど、全組織が要求と署名を携え参加者を送り出せるようにします。

4、平和・民主主義の破壊を許さず悪政転換を

 ロシアやイスラエルによる国際法違反の軍事侵攻など、戦争・紛争が相次ぐ中、即時停戦を求める国際世論が湧き上がっています。日本政府は大軍拡ではなく、憲法9条を生かした平和の国際秩序の実現に役割を発揮すべきです。
 しかし、政府は沖縄・辺野古新基地建設のために、自らの設計変更をごり押しする「代執行」訴訟を始めました。平和を求める民意に背を向け、県民の自主性・自立性を否定し、地方自治を破壊する暴挙を断じて許すわけにはいきません。
 国会では、岸田首相が「自民党総裁任期中の改憲実現」を繰り返し表明し、日本維新の会と国民民主党がこれを煽り立てる状況です。一方、徳島・高知の参院補選勝利を受けて「市民と野党の共闘」再構築への機運が高まりつつあります。地域の運動と国会論戦がかみ合えば、政治転換への展望も開かれます。野党4党などが提出した「消費税5%減税とインボイス廃止」法案が継続審議になっています。消費税減税とインボイス即時廃止の運動を強め、国政の一大争点に押し上げます。
 岸田政権を解散・総選挙に追い込み、厳しい審判を下すため、政治と商売の話し合いの機会を日常的に増やし、選挙戦をたたかえる民商の力を強めます。

三、組織建設の重点

 全商連は10月22日、地方別会長・事務局長会議を全国7会場で同時開催し800人余が参加しました。午前中は全商連会長のあいさつや記念講演、報告と問題提起をオンラインで配信し、午後は分散会やまとめ集会でリアルな活動交流を行いました。「基本方向」の確立から30年余の運動の前進と組織建設の探求に確信を深めるとともに、直面する危機打開の運動高揚と会勢の新たな前進をめざして、会長と事務局長が実践の先頭に立とうと決意を固め合いました。
 この会議の報告集には47都道府県連からの活動報告も掲載されます。秋の運動の前進面と課題、教訓を深め、「反転攻勢の持続拡大」に踏み出す力にします。

1、力を合わせて年度末と第56回総会の全国増勢を

 10月末現勢で、商工新聞読者を2023年2月末以来の増勢としたものの、会員は8カ月間にわたって退会・廃業が入会を上回る、悔しい状況を脱していません。会勢の後退がこれ以上続けば、多彩な要求実現でも悪政転換への共同でも、民商・全商連が担ってきた役割を果たせない事態に陥りかねません。仲間を増やす実践を通じて民商・全商連の存在意義を深め、暮らしと商売、平和を守る世論と運動を広げることが大切です。
 全商連第56回総会の「表彰基準」に基づき、節目ある拡大目標と活動計画を充実させ、読者と会員の年度末増勢と第55回総会時現勢の突破に挑戦します。民商と県連でよく相談して新春決起集会を成功させ、読者前面の拡大と「読者から入会へ」の取り組みを推進します。全ての会員と家族、読者に署名への賛同を求め、打って出る取り組みで民商への信頼を拡大運動に結実させます。
 中小業者の困難打開の報道で、他の追随を許さない商工新聞の紙面を紹介する機会を増やします。商工新聞宣伝紙や民商の実績チラシなどの紙媒体と宣伝カーでの音出し、HP・SNSなどのウェブ媒体を組み合せて「目に見え、耳に届き、口コミでも話題となる」宣伝を広げます。インボイス対策の学習・相談を自主申告運動とも結んで発展させ、春の運動DVDの視聴も組織して、全ての会員に拡大対象者の紹介を呼び掛けます。班・支部を中心に新会員歓迎学習会を増やし、民商の要求運動と組織建設、財政活動への理解と納得を広げます。
 拡大統一行動で、民商として「役員会のある支部」の力を引き出すことに努め、行動後の懇親や交流も位置付けて楽しく取り組みます。また、県連として拡大リレーや拡大駅伝などでの民商間連携を生かし、拡大運動の独自追求に足並みをそろえます。

2、班・支部と連携し、商工新聞中心の活動促進を

 助け合い相談を展開できる「中小業者運動のナショナルセンター」を地域で代表するのが民商です。同時に、会員同士の結び付きを育む班・支部活動を日常的に援助することができるのも民商しかありません。
 全会員対話でも、機関役員と班長・支部役員の連携が求められます。班・支部を基礎に営業と生活に密着した活動を強めてこそ、道理に合った要求を民商で取り上げ、解決・実現に向けた相談活動で、仲間の知恵と力を集めることもできます。
 民商の機関会議で「全会員の活動参加にどう接近するか」を深めることです。班・支部活動を「学びの場」として、インボイスや税務調査の対策などを強めます。同時に、商工新聞を「よく読み、増やし、配達し、集金し、通信・ニュースを送る」ことで、民商・県連・全商連が力を合わせる連合会組織への信頼を高めます。
 運動をけん引するのは役員会と事務局の団結です。「基本方向」に学び、使命感を培って運動と組織の発展に力に尽くします。「民商・全商連の70年」を新しい歴史を作る力にします。
 年末・年度末を節目に、一人一人の会員を大切にして未収克服を進めます。

3、運動の継承・発展を進め、総合力発揮への支援を

 経済センサス活動調査の独自集計で、2021年迄の5年間に小企業・家族経営の個人事業所が31万件減り、法人事業所が13・5万件増えました。同時に、「統計」に現れない一人親方やフリーランスが膨大に存在します。「自営業・小企業、フリーランスも相談は民商へ」の呼び掛けと助け合い相談の充実が待たれています。
 親からの独立開業や事業継承など、法人成り要求での若手の入会が増えています。「インボイス対策の同業者交流」「法人のメリット・デメリット」などの学習会の積み重ねが、班・支部活動の成功体験と併せ、業者役員の世代的継承を進める力となっています。新たな役員の育成に踏み出すことが大切です。
 2024年は全商連共済会が4月に40周年を、全婦協が12月に50周年を迎えます。
 全商連共済会は慶弔見舞を届けて助ける喜びと助けられる喜びを分かち合うとともに、感染症対策に配慮しつつ、民商健診や健康祭り、医療機関との懇談を再開させ、11月11、12日の第14回いのちと健康を守る学習交流会を成功させました。
 全婦協は日本婦人団体連合会の70周年記念事業の成功に貢献しつつ、「婦人部活動の手引き」の改訂を進め、業者婦人の要求を丸ごと受け止める仲間づくりを進めています。
 民商・全商連運動の豊かな発展へ、共済会と婦人部が独自の役割を発揮してきた歴史に確信を深め、新たな前進へ支援を強めます。
 全青協は1925人分を結集した業者青年実態調査を分析しつつ、青年共同の「反戦行進1103」街頭宣伝でも力を発揮してきました。11月19日の第48回定期総会を成功させ、実態調査結果を生かす要請や業者青年の仲間づくりを発展させています。
 運動の継承・発展へ「業者青年に魅力ある民商建設」をあらためて探求し、架け橋となる青年対策部の確立と民商青年部への支援に取り組みます。

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