岸田首相の所信表明 物価高騰対策は消費税減税こそ|全国商工新聞

全国商工新聞

 第212臨時国会が10月20日から始まりました。岸田文雄首相は同23日の衆院本会議の所信表明演説で、「物価高など国民が直面する課題に、不撓不屈の覚悟で取り組む」と大見えを切りましたが、説明する内容は、今まで失敗してきた政策を繰り返すものばかりでした。
 内閣改造後も岸田政権の支持率は低迷を続けており、同22日の衆参二つの補欠選挙でも、参院徳島・高知の補選は敗北、衆院長崎4区で辛勝と、厳しい結果となっています。
 首相は、国会論戦の中で、総合経済対策として「デフレ脱却のために供給力の強化」と、「物価高によりデフレに後戻りしない一時的な措置としての国民への還元」の二つを「車の両輪」として取りまとめると説明。「所得税の減税」や「児童手当の拡充」などを実行するとしています。しかし、実施の時期は、いずれも来年度以降の予定です。
 同13日に日銀が発表した生活意識に関するアンケート調査では、ゆとりがなくなってきたと回答した人の約9割が「物価が上がったから」を理由に上げています。この声に政治が今すぐ応える必要があるはずですが、岸田首相からは、その覚悟が全く見えてきません。
 今の物価高は日本だけの問題ではなく、すでに世界107の国と地域では、国民の生活を守るための緊急で有効な経済施策として、付加価値税(消費税)の減税が実施されています。
 消費税減税とインボイス制度の廃止を求める野党の質問に対し、岸田首相は「全ての世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置付けている消費税の減税は考えていない」と、かたくなに拒否。インボイス制度についても、「柔軟かつ丁寧に対応していく」とするだけで、廃止の声には耳を傾けません。日本国憲法から導き出される「生活費に税金をかけてはならない」(生活費非課税)、「能力に応じて公平に負担する」(応能負担)を原則とする税制を実現させなければなりません。この原則から外れた消費税の廃止を展望しつつ、当面、税率5%への減税、インボイス制度の廃止を求めて、署名を集めながら運動を大きく広げましょう。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから