フリーランスや民商の運動でインボイス阻止へ 6月議会で意見書採択次々|全国商工新聞

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 岸田自公政権が10月から消費税インボイス制度を強行しようとするのに対し、各地の6月議会で同制度の中止や延期、見直しを求める意見書の採択が相次いでいます。東京都内では杉並区を皮切りに、渋谷区、中野区、三鷹市で採択。高知県では須崎市、中土佐町、いの町、本山町で採択され、採択自治体は計20となり、県内35自治体の過半数に達しました。群馬県中之条町は、県内初の採択となりました。各地の民主商工会(民商)が提出した陳情や請願、インボイス制度を考えるフリーランスの会(「STOP!インボイス」)が約1600の地方議会に送付した「全国お手紙リレー大作戦!」が実っています。

高知県
35自治体の過半数に 町議らへ働き掛け強め

いの町

いの町での意見書採択を喜ぶ(左から)山岡勉議員、仁淀川民商の上岡孝雄会長、山崎きよ議員、伊藤朋子事務局員

 高知県いの町は6月16日、「インボイス制度の延期・見直しを求める」意見書を本会議で採択しました。
 仁淀川民商が担当する4市町村のうち土佐市と日高村、仁淀川町が意見書を採択していましたが、いの町では否決や留保が繰り返されていました。
 民商は、6月議会に向けて、商工新聞読者でもある山岡勉、山崎きよ両町議(共に共産)に協力を要請。議会運営委員会では否決されたものの、前回まで反対していた議員1人が賛成に回り、山岡議員が本会議に陳情書を提出しました。
 質疑では、「インボイスによる税の公平性」や「産直や建設業界への影響」「物価高騰への影響」などの質問に、山岡議員が答弁。山崎議員が賛成討論し、賛成9、反対8で可決されました。

中土佐町/須崎市

 高知・須崎民商が担当する中土佐町、須崎市は「インボイス制度の延期を求める」意見書を立て続けに採択しました。
 中土佐町では2月、民商が提出した「インボイス制度実施の中止、延期を求める陳情」が6月議会に持ち越しに。
 町に住む民商会員や町議の協力の下、「延期」の採択で進めてもらい、6月16日の本会議で賛成9、反対2で陳情を採択。「延期を求める」意見書として国に提出します。
 須崎市では昨年9月、民商提出の「インボイス制度実施の中止、延期を求める陳情」が不採択となっていました。
 「STOP!インボイス」が5月に「インボイスの延期、見直しを求める陳情書」を提出。委員会で採択され、6月21日の本会議で、全会一致で採択されました。

本山町

 本山町では6月15日、「STOP!インボイス」が提出していた「制度の延期、見直しを求める」意見書を、本会議で全会一致で採択しました。

群馬県
県内初の意見書採択 吾妻民商が町議に要請

中之条町

傍聴後に群馬県中之条町での採択を喜ぶ吾妻民商の人たち

 群馬県中之条町は6月21日、吾妻民商が提出した「消費税インボイスの10月からの実施延期、制度中止の国への意見書を求める」請願書を、本会議で賛成多数で採択。民商提出の意見書も了承されました。
 同14日の産業建設常任委員会では、紹介議員の原沢香司町議(共産)が「インボイスは弱い者いじめの制度」と告発。議長でもある安原賢一委員(無所属)は「零細な業者が、廃業に追い込まれることにもなる」と賛意を表明し、賛成4、反対1で可決しました。
 昨年の6月議会で不採択になったことを受け、民商は町議への働き掛けを強化。青木庄一副会長=畜産業他=は、前出の安原議長や、本会議で賛成した小栗芳雄、剱持秀喜(いずれも無所属)両町議らに要請し、協力を得ました。
 本会議で、同委員会の関美香委員長(公明)が採決結果を報告。安原議長を除く14人のうち8人が賛成し、採択しました。

東京都
共同の力で提案進め 「お手紙」に市民ら賛同

杉並区

 東京都杉並区は6月19日、共産、立民、れいわ、などの賛成多数(自民、公明などは反対)で、東京23区で初めて「インボイス制度の延期を求める」意見書を採択。「STOP!インボイス」の「全国お手紙リレー大作戦!」に、同区在住の市民が賛同して陳情書を提出し、区議会各会派に働き掛けていたもの。陳情書は区民生活委員会での審査を経て、本会議に意見書として議員提案されました。

渋谷区

 渋谷区では同20日、「インボイス制度について延期も含め慎重に検討することを求める」意見書を全会一致で可決しました。インボイス制度に反対する声優らで作る「VOICTION」の要請に賛同した橋本ゆき区議(「シブヤを笑顔にする会」)が中心になって提案していました。

商工新聞参考に意見書を作成 エンタメ産業守る
会派「シブヤを笑顔にする会」 橋本ゆき渋谷区議

 商工新聞の記事を読ませていただき、意見書を作る参考にさせていただきました。
 渋谷区はエンタメの街です。他の議員の皆さんとも「エンタメ産業を廃れさせてはいけない」ということを重点にした議論ができると思っています。
 「VOICTION」の調査で、インボイスが導入されると、若い方を中心に廃業を検討している人が多いと知りました。そうした皆さんは、もうけは二の次で「いいものを届けたい」と思っています。私も以前、「仮面女子」というアイドル活動をしていたので、すごく共感できます。そんな若手クリエイターらがインボイスで、つぶされていく。こんな残念な話はありません。「インボイスの導入は、少なくとも今ではないでしょ」と言いたい。国は延期も含めて慎重に検討してほしい。

中野区

 中野区は7日、中野民商が提出した「インボイス制度の導入中止を求める意見書を政府に提出する」陳情と、新日本婦人の会中野支部が提出した「インボイス制度の導入延期を求める意見書を政府に提出する」陳情を区議会区民委員会で採択。同本会議で「延期を求める意見書」を賛成多数で可決しました。

三鷹市

 三鷹市は6月30日、「消費税インボイス制度の2023年10月からの実施について再考を求める意見書」を本会議で可決しました。
 三鷹民商も加わる消費税廃止三鷹各界連が署名76人分を添えて、意見書を政府に送付することを求める請願を提出するも同20日の総務委員会では、賛成2、反対4で否決。その後、民商や土建のメンバーらが市議に面談し、請願は本会議で共産や立憲会派、会派「きらりいのち・無所属・れいわ」、都民ファースト、維新、参政が賛成し、賛成15、反対12で採択。意見書は、共産、立憲会派など賛成15、自民、公明など反対11、退席1の賛成多数で可決しました。

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