6/14(水)『STOP!インボイス全国一揆』 国会正門前で決行 全国で「インボイス反対」|全国商工新聞

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「私の声で止めるSTOP!インボイス全国一揆」の作戦会議=5月18日、東京都内。タレントのラサール石井さんも参加しました(後列右端)。

 「増税もう無理!!」―。「インボイスを考えるフリーランスの会」(STOP!インボイス)が14日、「私の声で止めるSTOP!インボイス全国一揆」を決行します。5月18日には東京都内の「新宿ロフトプラスワン」で、ラサール石井さんや国会議員らも参加した「作戦会議」をオンライン併用で開き、150席のチケットは前日に完売し、全国で約500人が視聴(5月29日時点)。インボイスの問題点を明らかにし、全国一揆を成功させようと知恵を出し合いました。全国一揆は、国会正門前の東京会場(18~20時・ユーチューブで配信予定)をはじめ47都道府県での一揆をめざし、富山や愛知、山形などは県商工団体連合会(県連)や民主商工会(民商)との共同で準備が進んでいます。

6.14集会の詳細は、STOPインボイスのHPを御覧ください。
https://stopinvoice.org/

STOP!インボイス作戦会議!インボイス作戦会議

STOP!インボイス大作戦のための作戦会議

 午後7時、和太鼓のBGMに乗って「史上最大のSTOP!インボイス大作戦……のための作戦会議」がスタート。会場は、インボイス制度を中止させたい人たちの熱い思いが渦巻いています。MC(司会)は、アニメ「機動戦士Zガンダム」のエマ・シーン役を務めた声優の岡本麻弥さんとSTOP!インボイスの阿部伸さん。タレントやミュージシャン、国会議員、アニメーター、声優、俳優など多彩な顔ぶれが登壇しました。

弱い者いじめだ 著名人らが検証

 第1部のテーマは「いろんな角度からインボイス制度を検証」です。経済ジャーナリストの荻原博子さんは「消費税は低所得者ほど負担が重く、弱い者いじめの税制で、増税には大反対。インボイス導入は、免税点をなくすため」と指摘しました。
 タレントのラサール石井さんは「アメリカから戦闘機を爆買いしている。税収が足りないなら、戦闘機を買わなきゃいいじゃないか」と怒り、「そうだ!」の掛け声が。「『インボイスって請求書のことでしょう?なぜ反対しているの?』と言われる。もっと分かりやすい表現は?」とも問い掛け、視聴者から「インボイスは“廃業促進税”」との書き込みがあり、拍手が沸き起こりました。
 シンガーソングライターの和さんは「音楽業界では、自分が当事者であることを知らない人が多いけれど、私たちが発信しなきゃ」と表明。政策コンサルタントの室伏謙一さんは「消費税は“預かり金”でない。価格の一部であり、“益税”は発生しない。財務省はうそつきだ」と批判しました。
 和さんと、スタンダップコメディアンの清水宏さんがライブパフォーマンス。和さんは「どうしてもどうしてもインボイスはいらない」「消費税はおかしくないかい?」と自身の曲「ピストル」の歌詞を一部変えて沸かせました。

誰も得をしない 国会議員座談会

 第2部は国会議員(元議員も含む)による座談会。立憲民主党の落合貴之衆院議員は「消費税は赤字でも納めなければならない。小規模事業者を守るために免税点制度が設けられたのに、インボイスで大企業と同じ条件で税金を払うことになるのが問題」と強調。日本共産党の山添拓参院議員は「インボイスはひと言で説明すると、消費税の増税。誰も得をしない。政府は軍拡財源のために消費税を必ず増税しようとする。インボイスは将来、二つ以上の税率で増税するための布石だ」と本質を指摘。れいわ新選組の、たがや亮衆院議員は「弱い人たちを助けるのが政治家の務め。インボイスは弱い者いじめの制度」と述べ、自民党の安藤裕前衆院議員は「消費税を価格に転嫁できない事業者は、懐を痛めて払っていることが伝わっていない。インボイスは、これまで消費税を納付しなくてもよかった小規模事業者から搾り取る、とんでもない仕組みだ」と批判しました。

怒りのロゴ採用 エンタメ4団体など

STOP!インボイス大作戦のロゴを検討するメンバーら

 第3部は、STOP!インボイス発起人とエンタメ4団体の当事者たちが、これまでの活動を振り返りました。全国一揆で使用するロゴ案の投票も。圧倒的多数の支持で怒りの表情の「B案」に決定。最後に全員で「STOP!インボイス!」と声を上げ、終了しました。
 神奈川県横須賀市から駆け付けた、女子学生のNearさん(ツイッター名、20)は「就職する時にフリーランスを選択するかもしれないから、人ごとじゃない。『これはヤバイ!実施を止めたい』」とSNSでも発信しています。「たくさんの方の話を聞き、私の訴えが間違っていないと自信がつきました。次は、いよいよ一揆。一緒に声を上げよう」と張り切っています。

フリーランスらと共同広げ 県連・民商も成功へ連携

<富山県連>50人規模で視聴会を

「全国一揆」富山会場のチラシ

 富山県連は、県内在住のSTOP!インボイスのメンバーと連携を進めています。
 同会に参加する広告デザイナーの男性から5月15日、県連に「全国一揆の成功へ、一緒に何かやりたい」と連絡がありました。この男性と相談した結果、富山市内に50人規模の会場を設け、集会の配信を視聴する会を開催することに。
 企画内容と会場の手配は、広告デザイナーが引き受けてくれ、企画を案内するチラシの作成も担当しました。
 一方、男性は「県内に、つながりがあまりない」ことから、県連と県内民商が参加者を募ることになりました。
 能沢吉晴事務局長は、「三役会議でも、一揆を成功させようと確認しました。STOP!インボイスのメンバーと連絡を取り合い、成功させたい」と張り切っています。

<愛知県連>県連総会で呼び掛け

 愛知県連は、STOP!インボイス愛知支部と連携して、名古屋市内で「全国一揆・愛知会場」を開きます。国会正門前集会の中継やリレートーク、国会前とのエール交換を予定しています。
 きっかけは、5月1日の愛知県中央メーデー。STOP!インボイスのプラカードを掲げて参加していたメンバーに民商の事務局員が声を掛けました。翌日には、「協力してできることがあったらいいですね」「また何かやりたいですね」とメール交換。その話を聞いた県連の河村光哉事務局長が同日、「インボイス反対で頑張っているあらゆる人たちの存在を仲間に知ってもらいたい」と、県連総会(11日)に招こうと考え、「一度、お話しませんか」と呼び掛けました。
 同8日、会のメンバーが事務所を訪れ、総会であいさつすることと、「『全国一揆』で何かやりたいですね」と案内チラシや会場設営・飾り付け、運営を話し合っています。県連の機関会議などでも、STOP!インボイスとの連携が大きな話題になっています。河村事務局長は「企画の詳細はこれからですが、参加者一人一人が『インボイス反対』の思いを語れる場にしたい」と意気込んでいます。

<山形県連>地元で組織立ち上げ

らいだぁさんが考案した「STOP!インボイスやまがた」のロゴ

 山形市では、香澄町の山交ビル前(バスターミナル)で署名・リレートーク宣伝を計画。中心になっているのは、らいだぁさん=IT関係=です。
 2021年10月、インボイス発行事業者の登録が始まった時、「どんな仕組みで、どんな影響を受けるのか。どう対応すればいいのか」など全く分からず、ネットを通じてSTOP!インボイスの活動を知りSNSをフォローし、インボイス川柳に投稿したり動画企画にイラスト提供するなど、活動を盛り上げてきました。
 5月18日の「作戦会議」にも自腹で上京して参加。フリーランスの人たちが、めげそうになりながらも、国会議員に陳情に行ったという話を聞き、「地域で何かしなければ」と奮い立ちました。
 これまで地元でインボイス110番の活動を進めてきた山形県連の川田孝子事務局長に相談し、誰でも参加できるよう有志の「STOP!インボイスやまがた」を立ち上げ、署名・リレートーク宣伝、国会前とのエール交換を計画しました。
 「インボイスが実施されると、20万円ほど消費税の負担が増える。『五公五民』どころか『六公四民』になってしまい、耐えられない。これまで運動を引っ張ってきた民商の方々やフリーランスの人たちに声を掛け、全国から『一揆』を成功させたい」

<渋川北群馬民商>渋川市議に手紙出す

作戦会議をオンライン視聴する狩野会長

 渋川北群馬民商では5月18日夜、狩野哲夫会長=鉄工=と生方大輔事務局長が、STOP!インボイスの「作戦会議」を民商事務所で視聴しました。
 2時間余り企画を視聴した後、狩野会長は「笑いの中にも、真剣な話がたくさんあって分かりやすかった」とニッコリ。「芸能界の人たちにも危機感が表れていました。インボイスが実施され、小規模事業者がいなくなると、大変なことになります。大手が受注しても、実際に仕事をするのは、中小業者です。私たちも一緒に反対していきたい」と決意を語りました。
 生方事務局長は「STOP!インボイスの中心は、子育て世代の若い女性たち。若い人も参加しやすいように、歌などでインボイスの問題点を伝えるなど、楽しく運動しようと心掛けていた」と感心。「『作戦会議』では、『小さなことでもよいので、アクションを起こしてほしい』との呼び掛けもあった。緊急に行動提起したい」
 県内では、意見書を採択をした自治体はありません(5月22日現在)。民商では、「お手紙リレー大作戦」に呼応し、地方議員への働き掛けを強めようと、渋川市の保守系議員に早速、手紙を出しました。また、全国一揆に連帯し、県連総会(4日)に参加する役員・会員らと地域での宣伝などを具体化します。

「漫画家の会」と連携 東京・玉川民商 励まし合って

玉川民商が作製したインボイスの延期・見直しを呼び掛けるチラシ

 東京・玉川民商は、「インボイス問題を考える編集者・漫画家の会」の漫画家の男性とつながり始めました。
 当初、「STOP!インボイスと連携したいが、どこに連絡を取ったらいいのか…」と悩んでいました。それでもSTOP!インボイスのツイッターに賛同のリツイートなどを発信してきました。
 男性は、世田谷区議会に編集者・漫画家の会として「インボイスの延期、見直しを求める陳情書」を提出。そのことを知った民商事務局長が、陳情が審議される5月29日の区議会(企画総務常任委員会)の傍聴に参加し、その後、この男性と名刺を交わし、エールを交換しました。
 民商は、区内の中小業者・フリーランスに向けて「一緒にインボイス制度延期・見直しを」とのチラシを6千枚作製し、配布。この中で、「区内に住まわれている俳優、マンガ家さん達も延期・見直しを求めてます」と紹介しています。

6月議会で意見書を 各地の民商 請願提出へ学習会も

陳情書を手渡す今口秀明・江津民商副会長(右)と大屋光宏・邑南町議会副議長

 各地で、6月議会での意見書採択を広げようと、自治体への働き掛けも強まっています。
 宮城では、7月の仙台市議選に向けて、請願書採択に賛成・反対した市議を明らかにする取り組みを予定。仙台民商が担当する大和町では町議会議長と懇談し、「影響はどのくらい出るのか」との質問に、三戸部尚一会長が「多くの小規模事業者や農家に多大な影響を及ぼす」と訴え、議会で陳情書が審議されることになりました。
 兵庫では、インボイス中止・延期の請願を出そうと5月9日、県連が「請願提出運動学習会」を開催。この学習会を受け、各民商で「請願を出そう」と動き始めています。
 島根では、これまで陳情・請願を出していなかった自治体への働き掛けを強化。江津民商は、5月18日に邑南町に、同22日に川本町に、「インボイス制度の実施延期を求める意見書を政府に送付することを求める陳情書」を提出しました。

各界連も呼び掛け 宣伝やスタンディング

 県連や民商が加わる消費税廃止各界連絡会が呼び掛け、全国一揆に呼応して宣伝に取り組む地域もあります。
 京都では、京都市役所前で、宣伝とアピールデモに取り組みます。別会場では「全国一揆京都会場」の集会も開かれます。
 大阪では、難波の大阪高島屋前で「大阪一揆」に取り組みます。
 宮城では、仙台民商が中心になり市の中心商店街でスタンディングを計画。
 埼玉、東京、神奈川の各県連は「国会前に集結しよう」と呼び掛けています。

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