宮城県大郷町 「消費税インボイス制度の廃止・中止・延期を求める意見書」採択 「地域に業者は不可欠」 仙台民商 議会で説明、理解広げ “益税”の疑問も解消|全国商工新聞

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 宮城県では、消費税インボイス制度の実施廃止・中止・延期を求める意見書を、35市町村のうち13市町村が採択しています。大郷町議会は3月議会で、実施延期を求める意見書を賛成多数で採択しました(3月16日)。仙台民主商工会(民商)が経済産業常任委員会の説明会に出席し、制度の仕組みや問題点、中小業者・農家に与える影響などを明らかにし、意見書採択への賛同を広げました。

大郷町議会でインボイスの廃止・中止・延期を求める意見書が採択され、笑顔の仙台民商の役員、会員ら

 意見書は「新型コロナ危機を克服し、新たな経済社会においても地域に根差して活動する中小業者等の存在は不可欠で、税制で商売や起業意欲を阻害することはあってはならないはず」と強調し、インボイスの実施延期を求めています。
 民商は12月議会に請願書を提出しようとしましたが、千葉勇治町議(共産)と相談した結果、千葉町議が意見書案を発議することに。
 しかし、経済産業常任委員会で「インボイスって何だ?」などの声が上がり、継続審議となりました。
 その後、町議会の石川良彦議長から、審査に当たって「経済産業常任委員会から制度等の説明依頼があった」ことを知らせる通知が民商に届き、三戸部尚一会長と能登泰広事務局次長が1月13日、同委員会に出席。委員7人の他、石川議長や他の町議、議会事務局の職員に対する説明会が開かれました。
 三戸部会長は制度の概要や問題点などを説明。「年間売り上げが550万円の農園が課税事業者になった場合、年間所得200万円程度で17万円の消費税を負担しなければならず、1カ月分の生活費が無くなってしまう」「町役場の隣にある道の駅に出店している農家も影響を受ける」などと訴えました。
 建築業や自動車整備業に携わる町議からは「だっちゃねえ」と理解が寄せられる一方、「消費税は“預かり金”ではないのか」「免税事業者は“益税”が発生するのではないか」などの疑問も出されました。三戸部会長は「消費税は事業者に課せられる直接税で『消費税は価格の一部』と裁判の判決でも確定し、財務省も『預かり金ではない』と説明している。消費税は事業における付加価値に課せられた『第2の事業税』だ」と質問に丁寧に答え、「よく分かった。ありがとう」と理解が広がりました。
 本会議では、同常任委員会の熱海文義委員長(無所属)が意見書案を提案。討論は行われず、和賀直義町議(公明)が反対しましたが、賛成多数で採択されました。
 三戸部会長は「6月議会に向けて、民商が担当する残り4自治体に働き掛け、県内でも過半数の自治体採択をめざしたい」と話しています。

各地の3月議会で次々

 各地の3月議会では、インボイスの中止・延期を求める意見書が続々と採択されました。
 宮城県亘理町議会は「インボイス制度の実施延期を求める意見書」を全会一致で採択しました(3月15日)。大槻和弘(共産)、鈴木俊一(無所属)の両町議が意見書案を提出し、大槻町議が提案理由を説明。「コロナ禍で地域経済が疲弊し、中小企業や個人事業主は経営難が続く中、インボイス制度に対応できない」などと訴えました。討論は行われず、17人の町議全員が賛成しました。
 高知県では、新たに4自治体が意見書を採択しました。
 香南市議会では馴田文雄市議(共産)が発議し、インボイスの延期を求める意見書を賛成多数で採択しました(3月24日)。
 越知町議会は、「インボイス制度の実施延期を求める意見書」を全会一致で採択(3月15日)。総務教育常任委員会で審議され、委員長の市原静子町議(公明)が意見書案を提案しました。
 佐川町議会では、無所属の町議が発議し、商工会のメンバーでもある保守系の若手議員も賛同。「中止・延期」の意見書を全会一致で採択しました(3月10日)。
 芸西村議会は、鮮魚店を営む無所属議員が中心となり、若手議員2人と一緒に「中止・延期」を求める意見書案を発議。総務常任委員会では委員5人のうち1人が反対しましたが、本会議では「消費税インボイス制度実施の中止、延期を求める意見書」を全会一致で採択しました(3月16日)。

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