国会に業者婦人の声を 全婦協 国会議員と懇談会・男女共同参画局などに要請|全国商工新聞

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軍拡ノー、インボイスは中止 「実態調査、論戦に生かしたい」

 全商連婦人部協議会(全婦協)は13日、国会議員との懇談会を参院議員会館で行い、22人が参加しました。国会開会中の多忙な中、日本共産党、立憲民主党、社民党から国会議員6人が参加。「2022年全国業者婦人の実態調査」の結果を示しながら、大軍拡・大増税阻止、消費税インボイス中止、ジェンダー平等実現に向けた切実な願いを伝え、意見交換しました。

日本共産党の伊藤岳参院議員(右端)、本村伸子衆院議員(その左)に「実態調査」を手渡す全婦協の役員

 全婦協の塚田豊子会長が主催者あいさつ。「岸田政権は、インボイスに税務相談停止命令と、業者婦人をこれでもかと押しつぶし、国民に手を差し伸べるどころか軍拡に回している。私たちが生きていけるよう、国会に声を持っていってもらおう」と呼び掛けました。
 日本共産党の伊藤岳参院議員が国会情勢を報告。「岸田政権は、専守防衛をやめ、平和国家の根底を覆えそうとしている。中小業者は軍拡増税に耐えられる経営状況にない。『実態調査』を国会論戦に生かしたい」と表明しました。
 インボイスについて、全婦協の川島文江副会長が「夫は電気工事の一人親方で、免税事業者。元請けから登録を求められているが、実務負担や物価高騰の中で消費税が払えるか、葛藤がある」。岩手県婦協の菊地ゆり子さん=美容=は「インボイスがあるから廃業するという業者や、『雇われた方が楽』と家業から離れる後継者もいる」。京婦協の十河恵美子さん=イラストレーター=は「35年余り、筆一本で仕事をしてきた。材料値上げの一方、単価は上がらず、消費税10%とインボイス制度で限界に近づいている。歯を食いしばって頑張っている小さな商売を、税金でつぶさないで」と訴えました。
 日本共産党の本村伸子衆院議員は「コロナ禍で大変な被害を受け、物価高で水道光熱費の負担も重い。本気の支援策が求められる」。同じく高橋千鶴子衆院議員は「インボイスでは、いろいろな立場の人が困っている。『反対』と言うと、保守層からも『よく言った』と言われる。中止に向け頑張る」と述べました。

停止命令に負けぬ

 実態調査に関して、愛知県婦協の遠山京子さん=賃貸=は「婦人科検診の未受診率が40%近くあり、全国的に低い。自分で予約するのは腰が重く、婦人科の病院も減っている。健康じゃないと商売は続けられない」。滋賀県婦協の大西里恵さん=電気工事=は「働いた分の報酬が得られない人が46%いる。私も、そう。夫と現場に出て、熱中症に何度もなるほど頑張っているのに、なぜこんな差別をされるのか」と切実な思いを伝えました。東婦協の後藤和子さん=市場調査=は「確定申告のサポートをする民商は税務署に表彰されてもいいと思っている。なのに、税務相談停止命令制度とは、なぜ?絶対に負けない!」と力を込めました。
 こうした声に、国会議員からは「56条は女性税理士からも廃止の要求が出ている。軍拡ではなく、生活が大事。女性の連帯のうねりをつくろう」(社民・福島みずほ参院議員)、「赤ちゃんが生まれたら負担が生じる国保の“人頭税”では、子どもを産めやしない。“何とかしろ”と迫ろう」(立憲民主・阿部知子衆院議員)と激励。倉林明子参院議員(共産)は「岸田首相は『LGBTQを認めたら社会が変わる』と言っているが、社会はすでに変わっている。変わるのは、首相!所得税法第56条も、もう一押し。一緒に頑張ろう」と力強く呼び掛けました。

56条廃止、出産手当創設を 男女共同参画局などに要請

ジェンダー平等の実現などを求めた全婦協の省庁要請

 議員懇談に続き、内閣府男女共同参画局などに要請を行い、22人が参加。所得税法第56条廃止や国民健康保険(国保)の傷病・出産手当の創設などを求めました。
 56条廃止について、財務省は「記帳と密接に関わる問題で、青色申告では高い水準の記帳を求めているので、給与の実額を控除できる。白色でも配偶者は86万円の控除は認めている」と発言。参加者は「白色申告でも記帳が義務化されているのに、なぜ給料が経費に認められないのか」「白色申告での控除は正当な給料ではないし、86万円では人間の尊厳が失われている。誰も家業を継げない」と反論。全婦協の門池美奈副会長は、給料が認められないためにフルタイムワークとならず、子どもが保育園に入園できなかった業者婦人の話に触れ、「白色の控除は最低賃金以下だ。弊害がいまだに起き続けている。働いた事実を法律が認めないという人権無視を正してほしい」と強調しました。
 国保の傷病・出産手当の創設について、同じく目黒千惠美副会長が「実態調査」で「5人に1人が産前休暇を取得できなかった」との結果を示し、「国保でも健保でも、出産は同じリスクがある。産前産後にゆっくり休めないのは、健康リスクを高める。ぜひ制度化を」と要望。厚労省は「市町村の条例で定めれば支給は可能だが、財源の確保や妥当な支給額の算出の問題から法定化は難しい」と回答。参加者は「健康保険との違いに差があり過ぎる。国保料・税の方が高いのに、保障はない。産み育てられる環境、出産手当を」と重ねて訴えました。
 「女性差別撤廃条約の選択議定書の早期批准を」との要請に対し、男女共同参画局は「国連の勧告には、外務省と取り組んでいく。6月のG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合に向けて、議長国として恥ずかしくないよう努めたい」と答えました。
 参加者は「56条は人権問題だ」「なかなか進展せず腹が立つが、地元での請願などを根気よく続ける」と感想を出し合い、「6月5日の業者婦人決起集会の成功へ、力を合わせよう」と確認しました。

女性差別撤廃条約の選択議定書

 女性に対するあらゆる分野、形態の差別をなくすことを定めた条約で、1979年に国連で採択され、日本では86年に施行されました。
 「選択議定書」は、一人一人の女性が抱える問題を解決するため、99年の国連総会で採択されたもの。「個人通報制度」と「調査制度」があり、条約違反の差別で被害を受けた女性が国連の女子差別撤廃委員会に通報することを認め、国連が通報に基づく調査・審査を行い、政府に意見・勧告を送付します。批准国は114カ国(20年7月)ですが、日本は未批准です。

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