文化・芸術つぶすな! エンタメ4団体が会見 「インボイス実施で2割廃業危機」と告発|全国商工新聞

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 「日本の文化・芸術をつぶすな」―。VOICTION(声優)、アニメ業界の未来を考える会、インボイス制度を考える演劇人の会、インボイス制度について考えるフリー編集(者)と漫画家の会のエンタメ4団体が11月16日、「インボイス制度見直しを求める記者会見」を開き、それぞれの業界の実態を告発。4団体はこの日発足した「インボイス問題検討・超党派議員連盟」主催の公開ヒアリングにも出席し、インボイス制度の実施延期・中止を求めました。

エンタメ4団体が開いた記者会見。インボイスは駄目(×)と訴えました

 記者会見では、それぞれの団体が取り組んだインボイス制度に関するアンケート調査の結果を報告。「半数以上が年収300万円以下、インボイス実施で2割強が廃業の危機に追い込まれる」と、同様の結果が出ていることを明らかにしました。
 俳優の丸尾聡さんは「演劇に関わる人々の裾野は広く、若い人たちは明日を夢見て、自分の生き方として演劇に携わり、そこから日本を代表する演劇人が生まれている。日本の文化、芸術を先細りにするインボイス制度は反対」と声を大にしました。
 漫画家業界に無くてはならないアシスタントの問題を訴えたのは、漫画家の由高れおんさん。「アシスタントの収入は、現状でも年収200万円以下が半数だ。インボイス制度によって収入減少が加速すれば、アシスタントが減少し、漫画家の成り手がいなくなり、作品数も減って、漫画業界が衰退する。政府が世界に誇れる『クールジャパン』を守りたいなら、インボイス制度を直ちに中止・延期してほしい」と声を詰まらせながら訴えました。
 植田益朗さん((株)スカイフォール代表取締役)は「機動戦士ガンダムの制作をアニメ人生のスタートとして43年間、アニメ業界に携わり、インボイス制度ほど危機感を抱いたことはない。国はアニメ業界をつぶそうとしているのではないかと憤慨している。インボイスは、弱い者いじめの制度。クリエーターが免税事業者と課税事業者に分かれれば、仕事を振り分ける選別が始まる。何のメリットもない制度の実施は許しがたい」と批判。アニメスタジオの立場から話した大塚雅彦さん((株)TRIGGER代表取締役)は「インボイス制度は『フリーランスの問題』と捉えられがちだが、事業者にとっても仕入税額控除ができなくなるという問題がある。一部の人たちだけでなく、社会全般の問題」と強調しました。
 声優の岡本麻耶さんは「政治的な発言が嫌がられる声優がインボイス反対の声を上げたのは、それだけ業界に大きな影響を与え、衰退を招くから。インボイス制度は政治の話ではなく生活の話。免税事業者、課税事業者のどちらを選んでも豊かな未来は見えない」と訴え。“益税”問題に関わって「消費税は、消費者からの預かり金でなく、対価の一部だ。苦しい中で自分が選んだ職業を続けている人たちの間に分断を招いている」と強調しました。

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