マイナンバーカード強要するな 健康保険証廃止に反対世論広がる|全国商工新聞

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マイナンバー制度反対連絡会などが国会内で開いた緊急集会にはオンライン含め400人超が参加しました=17日

 「任意のはずのマイナンバー(個人番号)カードを、健康保険証と一体化し、事実上強制するなんて許せない」―。政府が10月14日に打ち出した“2024年秋に保険証を廃止して『マイナ保険証』に一本化する”方針に、反対世論が急速に広がっています。全国商工団体連合会(全商連)も参加するマイナンバー制度反対連絡会は17日、国会内で緊急の反対集会を開催。13万1千人(17日現在)を超える署名(ネット署名)を国会に提出しました(写真)。全商連は「憲法違反のマイナンバー制度の利用拡大をやめ、廃止する」ことを求め、粘り強く交渉し、確定申告など番号記載が求められる行政手続きで「不記載でも受理」させ、制度を形骸化させてきました。運動の先頭に立ってきた各地の民主商工会(民商)会員の怒りの声を紹介します。

番号の記載も強制に

鳥取・米子民商婦人部 西田 美津子さん=工務店

思いを込めたプラカードを手にする西田さん

 マイナンバーカードは、作りたい人が作る「任意」ですよね。それなのに、保険証を廃止してマイナンバーカードと健康保険証、運転免許証を一体化するという。こんなことを政府が言うこと自体、国民を脅し、愚弄していますよ。民主主義の破壊です。
 そもそも、カードにしてなんのメリットがあるんでしょうか。カードが健康や資産の情報とひも付けられ、丸裸にされるデメリットの方が大きいのに、そっちは一つも言わない。まるで詐欺です。
 政府が、国民を脅し、馬の鼻先にニンジンをぶら下げるがごとく、ポイントをばらまいていますから、「よく分からないけど…」とカードを作ってしまう人もいます。制度が始まって以来、私も全商連婦人部協議会の中小企業庁交渉や民商の県交渉などに参加して、マイナンバーを書かなくても確定申告書や雇用の書類などを受け取らせるよう求め、形骸化させてきました。でも、カードを持つ人が増えれば、これまで「提出しなくても不利益はない」と言っていた税務署などでも、強制になるかもしれません。
 商売をしていたら、「怪しいな」と思った書類には判を押しませんよね。マイナンバーカードも同じです。とにかく学んで、政府の狙いを知り、運動を広げて絶対に止めないと。
 マイナンバーもインボイスも、私たちの情報が全て管理されて奪われる、大変な世の中になってしまいます。

紛失時など リスクが心配

千葉・佐原民商青年部 橋沢 大輔さん=機械製造

「カード取得義務化が既定路線のように報道するマスコミも許せない」と話す大輔さん(左)と全商連副会長の父・政實さん

 個人番号に対するこの間の国の不誠実な姿勢には、怒りを覚えています。マイナンバーカード普及のために、高額なポイント付与や豪華なテレビCMなど、税金を湯水のごとく使っているからです。その上、健康保険証を廃止し、カード一本化を企むなど、絶対に許せません。
 私が総務経理部長を務める(株)ハシザワでは2017年、当時26人いた従業員の「個人番号を取り扱わないでほしい」という思いに応え、個人番号が記載された住民税特別徴収税額決定通知書を各自治体に返送。不記載を求めました。
 そうした運動が実り、同年12月には総務省が自治体に、「通知書に当面、個人番号を記載しない」旨を通知。現在も記載されておらず、制度を形骸化させてきたと自負しています。
 個人番号は、漏えいしたときのリスクが測り知れません。カード申請手続きが簡素化され、不正取得のリスクも増大。健康保険証や運転免許証を集約してしまって、紛失や更新忘れなどの場合は、どうするのでしょうか。他の身分証明も無く、何もできなくなることが想定されます。国は、そうした不安に全く答えず、メリットばかり強調し、カード普及を推し進めています。本当に無責任です。
 「2024年秋には義務化」と報道されていますが、取得が任意であることは、法律で定められており、義務化するには法律を変えなければなりません。そんなことを許さない運動が必要です。

情報のだだ漏れ怖い

大分民商常任理事 林 力さん=鉄筋

「中小業者にデメリットしかないマイナンバー制度は反対」と訴える大分民商の林さん

 2018年4月に雇用保険手続きの個人番号届け出問題で、労働局に申し入れし、「煩雑な実務を押し付けられ、報酬もない」など、「中小業者にデメリットしかない制度」と伝え、不記載でも受理させました。
 あれから4年以上たちますが、生活の中で、今でもマイナンバー制度は必要ないと思っています。マイナンバーカードで、コンビニで住民票や印鑑証明が取れると言われても、年に何回も利用しません。それよりも自分の情報がだだ漏れになる方が、よほど怖い。
 政府は安全だと言いますが、個人番号で銀行口座や取引情報など照会できるようになれば、なりすましで借金をさせられたりすることが、絶対に無いとは言えません。
 河野太郎デジタル相は健康保険証を2年後に無くしてマイナンバーカードにひも付けすると言いますが、国民皆保険制度のある日本で健康保険証の廃止などあってはなりません。マイナポイント2万円をばらまいても発行が思うように進まないマイナンバーカードこそなくすべきです。「申請しないと困りますよ」という脅しは絶対にいけないと思います。
 最近、何を話していても最後には政治の話になります。信頼の置けない政府がやろうとしていることには不安ばかりです。軍事費を5年間で2倍にするための福祉削減や、消費税インボイス導入を中止し、8時間働けば普通に暮らせる世の中にしなければなりません。そうしないと将来の日本を背負っていく今の子どもたちに申し訳ない。
 マイナンバー制度は絶対反対です。

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