「STOP! インボイス」の声集め 1200人が怒りのコール インボイス制度を考える市民の会主催『10・26 日比谷MEETING』|全国商工新聞

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登壇者全員によるフォトセッション。前列は第1部の国会議員と小泉さん(左端)、後列は第2部のゲストスピーカー

 「STOP!インボイス!STOP!インボイス」―。怒りのコールが夜空に響きました。「インボイス制度を考える市民の会」が主催した「#私がSTOPインボイスの声を上げる理由(わけ)10・26日比谷MEETING」。会場の東京・日比谷野外音楽堂には、アニメーターや漫画家、俳優、声優などのフリーランス、個人事業主、建築関連の一人親方、税理士、労働者、学生など1200人が集い、ユーチューブでも配信され、9千人が視聴(10月29日現在)。「今日の行動を力に、インボイス制度の実施を中止させるため声を上げ続けよう」と誓いを新たにしました。

制度への不安を可視化

主催者を代表してあいさつする小泉なつみさん

 会場には若い人たちの姿があちらこちらに。「この制度、まずいんじゃない」と半年前、ネットを通じてインボイス制度の内容を知ったイラストレーターのれいみさんは友人と参加。「インボイスによって個人事業主が淘汰されるのは許せない」と怒っています。
 「初めて集会に参加した」と話す美大生のそうかたさんは「フリーランスの道は卒業後の選択肢の一つ。インボイスによって、なぜ収入が減らされるのか」と疑問を感じて参加。母親はフルート教室を、祖母はパン屋を営んでいます。「母や祖母にも影響を与える。実施はやめてほしい」と訴えます。
 MEETINGが開かれたのは、インボイス制度に不安を感じる人々の存在を“可視化する”(目に見えるようにする)ためです。ネットでは「#私がインボイス制度に反対する理由」がつぶやかれました。
 主催者を代表してあいさつした小泉なつみさんは「インボイス制度は“税率を変えない増税”だ。生活を人質にして、貧しい人や立場の弱い人、ネットワークがない人たちを狙い撃ちにするもの。それは“いじめっ子”がやること。絶対に許せない」と声を大にしました。
 インボイス制度に反対するオンライン署名は前日の午後5時50分、10万人分を突破。MEETING成功のために呼び掛けたクラウドファンディングは250人が支援し、100万円を超えました。

来場者には若い世代が目立ちました
「#私の未来にインボイス制度はいらない」を掲げてスピーカーに拍手する来場者
「中小業者いじめのインボイス制度を中止せよ」と掲げるインボイス制度の中止を求める税理士の会のメンバー

消費税は預り金でない

 10人の多彩なゲストスピーカーがリレートーク。

 政策コンサルタントの室伏謙一さんは「インボイス制度は、全事業者に消費税を納めさせようとする制度。消費税は“預かり金”ではなく、価格の一部。財務省は誰のために働いているのか」と叫びました。

 俳優の清水宏さんはスタンダップコメディーを披露。「インボイス制度は、年間の売り上げが1千万円以下の小さな自営業者“下翼”を狙っている。一緒にたたかい抜こう」と訴え。大きな拍手が沸き起こりました。

 ラッパーのダースレイダーさんは「フリーランスや個人事業主と“ズブズブ”の大臣がいてもいい。『困っている人と政策協定結んじゃったよ』って。僕はそんな政権与党を応援したい。インボイスからボイスアウト=声を上げよう」と呼び掛けました。

 元静岡大学教授の湖東京至税理士は「実は帳簿方式でいいと思っている財務省が、仕入税額控除の時だけインボイスをしようとするのは、小規模事業者をいじめるため。絶対に許せない」。

 経済評論家の荻原博子さんは「ヨーロッパでは、国民の暮らしが大変だから付加価値税(消費税)を引き下げている。消費税は社会保障のためではなく、国の借金の穴埋めとして使われている。消費税は引き上げさせてはいけない。インボイス制度は、やめてほしい」と訴えました。

アニメは存亡の危機に

 アニメ業界の苦悩を語ったのは、アニメプロデューサーの植田益朗さん。「アニメスタジオの経営は厳しく、会社を守るため、課税事業者と取引せざるを得ないスタジオもある。世界に誇るコンテンツ、アニメをつぶすようなインボイス制度は止めなきゃいけない。私が初めに制作した『機動戦士ガンダム』の中に『君は生き延びることができるか』というセリフがある。生き残って楽しい世の中をつくろう」

 アニメ制作会社「トリガー」を経営する大塚雅彦さんは「インボイス制度は調べれば調べるほど『ヤバイ』と感じる。『もう止められない』という人もいるが、STOPインボイスの活動を知り、『まだ間に合う』と希望を感じた。インボイス制度によって、アニメが無くなるかもしれない。いい作品をつくるために努力していることをインボイスで台無しにしないでほしい」と語り掛けました。

 「日本での登壇は初めて」というアニメーターの西位輝実さんは「初任給は2800円だった」と切り出しました。「今は信じられないほど、もらっている(笑)。そうなるまで10年以上かかった。アニメーターの働き方を改善しようとしている時にインボイス制度で新人を刈り取ってしまうことは『やめたってくれ』。インボイス反対!」

 「10年後も20年後もいい作品を作り続けたい」と語ったのは、声優の甲斐田裕子さんと咲野俊介さん。「若い子たちは、ほぼ免税事業者。芽が出るまで10年はかかる。今を一生懸命に生きている若い子たちが声を上げるのは、はばかれる。私たち中堅が声を上げなければと、8月に『VOICTION』を立ち上げた。たくさんの人たちが集まった今日の行動が第一歩。中止させるため、声を上げればきっと変わると信じて、声を上げ続けよう」
 作家・演出家・俳優の丸尾聡さんと京都大学教授の藤井聡さんのメッセージが紹介されました。

参加者が一斉ツイート

 協力団体として、全国商工団体連合会(全商連)の中山眞常任理事と東京土建の熊切健二さんが連帯あいさつ。中山常任理事は「公共入札から免税事業者を締め出そうとする動きや、免税事業者の個人タクシーをJR駅構内のタクシー乗り場から締め出す動きも出ている。関係省庁に働き掛け、免税事業者を排除する動きを食い止めた。11月6日、東京・芝公園でインボイス中止を求める大集会を開くので、ぜひ参加を」と呼び掛けました。
 立憲民主党の末松義規、落合貴之の両衆院議員、国民民主党の浜口誠参院議員、日本共産党の田村貴昭、宮本徹の両衆院議員、山添拓参院議員、れいわ新選組の大石晃子衆院議員、社民党の福島みずほ参院議員が連帯あいさつをしました。
 最後に参加者は「#私がSTOPインボイスの声をあげる理由」を一斉ツイート。笑顔が広がりました。

1200人の来場者と一緒に「STOP!インボイス」コールで締めくくりました
「STOP!インボイス」のツイートを一斉投下

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