後期高齢者医療負担2倍化 税金は軍事費より福祉にまわせ|全国商工新聞

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 日本は、65歳以上の人口が3621万人になり、総人口に占める割合が28・9%(内閣府2022年版「高齢社会白書」)と、世界でもトップクラスの長寿大国です。長寿社会を支えていくためには、高齢者が安心して医療を受けられるようにすることが大切です。
 欧州諸国では、医療費窓口負担は無料やわずかな定額が主流になっていますが、岸田政権は10月から、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の窓口負担2倍化を強行しました。単身世帯で年収200万円以上、複数世帯で同300万円以上の約370万人が負担増の対象になると見込まれ、大規模な受診抑制が起きることが危惧されます。
 100に近い国・地域がコロナ禍や物価高騰の対策として、消費税に当たる付加価値税を減税していますが、岸田政権は、「社会保障の財源」を口実に、「消費税減税を」の声に背を向け続けています。
 国の2023年度予算の各省庁からの概算要求が8月末に出そろい、一般会計総額は9年連続で100兆円を超えました。自民党が参院選で「GDP比目標2%以上の防衛予算も念頭に」とした公約通り、過去最大の軍事費とする一方社会保障など国民生活を支える予算は抑制されています。
 厚生労働省の概算要求は22年度当初比1・9%増の33兆2644億円ですが、肝心のコロナ対策の大半は金額を明示しない「事項要求」となっており、医療体制などの逼迫を招いた教訓を生かすものにはなっていません。コロナ禍でも、消費税を財源にして病床削減や医療機関の統廃合へと誘導する「病床機能再編支援事業」に固執しています。
 医療・介護現場の深刻な人手不足の問題でも、介護ロボットの開発加速などの事業の増加を掲げましたが、抜本的な増員は示さないままです。
 高齢化などで当然増える社会保障費の「自然増分」の削減路線にも無反省で、22年度の概算要求額6600億円から23年度は5600億円に圧縮されています。
 「全世代型社会保障」推進と称して、高齢者へのさらなる負担増を迫る予算編成は許されません。「軍事費ではなく、社会保障・国民生活に税金を使え」の声をさらに大きくしていきましょう。

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