NPT再検討会議が閉幕 核兵器廃絶めざし運動強めよう|全国商工新聞

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 8月1日から約1カ月にわたりNPT(核不拡散条約)再検討会議がニューヨークの国連本部で開かれました。核保有国を含む191の国と地域が加盟する核軍備問題最大の会議は、最終文書を採択できずに閉会しました。
 今回の再検討会議は、ロシアがウクライナを侵略し核兵器の威嚇で世界を脅す緊迫した情勢の中で行われました。最終文書はザポリージャ原発の占拠を「重大な懸念」とする文書の変更などを要求したロシア一国の反対で合意が得られませんでした。
 ロシアに問題があるのは明らかですが、「核兵器のない世界」の実現を妨げているのは核抑止論です。核保有5カ国(米英ロ仏中)がNPT第6条の核軍備削減義務を果たさないばかりか、新型核兵器の開発・増強を行っていることにあります。
 討論では、全商連も加盟する日本原水協など市民社会や核兵器禁止条約締約国からの発言、145カ国を結集した「核兵器の非人道性に関する共同声明」の採択など、多くが核保有国とその同盟国を追い詰めました。
 採択できなかった最終文書案には、2015年の再検討会議で採択された自国の核兵器の完全廃絶を達成する明確な約束の再確認、核兵器禁止条約の発効と第1回締約国会議を「認識」するなど、核保有国が抵抗した点にも言及がありました。会議全体は、核兵器廃絶が世界の流れであることを太く示しました。
 再検討会議には、日本の首相として初めて岸田文雄首相が参加し発言しました。しかし、NPTの要である第6条にも、核兵器禁止条約にも一切触れず、「保有国と非保有国の橋渡し」と言いながら、米国の「核の傘」政策を続ける態度に、失望の声が広がりました。
 8月の原水爆禁止世界大会は「禁止条約を力に、核兵器のない世界への展望を切り開く」広島宣言を採択し、被爆地から再検討会議に市民社会の強力なメッセージを届けました。
 NPTへの信頼が揺らぐ中メキシコ代表は「NPTに新しい勢いが必要」と禁止条約の有用性を訴えました。変化をつくるには、「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」など、国内の運動がますます重要です。

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