全国商工新聞

1、参議院選挙の2大争点

 コロナ禍や物価高騰、アベノミクス失政による円安、ロシアによるウクライナ侵略による影響が中小業者・国民を直撃しています。
 6月22日公示、7月10日投開票(予定)でたたかわれる参議院選挙は、営業と暮らし、平和をどう守るのかが問われる中でたたかわれます。
 全商連は、5つの要求を掲げ、悪政転換への審判を呼び掛けます。

争点1 富裕層・大企業優遇の継続か、中小業者・国民の危機打開か

 アベノミクスによる金融緩和・円安政策が輸出大企業を潤わす一方で、輸入品価格や生活必需品の高騰を招いています。消費者物価指数が賃上げ率を上回り実質的な賃下げを引き起こしています。消費は振るわず、営業と暮らしの危機が深まっています。
 ところが、岸田政権はガソリン税の減税を拒否する一方で、ガソリン価格の激変緩和対策として2022年度補正予算案を含め国費約1.8兆円を投入して石油元売り企業32社を支援しています。熊本工場を建設する台湾の半導体メーカー1社に4000億円もの助成を決定しましたが、その額は日本経済を根底で支える385万中小企業への対策費1745億円の2.3倍です。
 しかも、持続化給付金以来続けてきた中小業者への直接支援を3月で打ち切りました。税制でも富裕層・大企業を優遇する不公平な税制を続け、消費税減税やインボイス制度実施中止に背を向けています。
 強いものが勝てばいいという新自由主義に基づく悪政の転換が必要です。富裕層・大企業優遇を続けるのか、中小業者・国民の危機打開を最優先に力を尽くすのかが問われます。

争点2 「改憲し、戦争する国」か、「憲法を生かし、平和を広げる国」か

 ロシアによるウクライナへの侵略に対して国連加盟国の73%・141カ国が「国連憲章違反」と非難する決議を採択しました。「大国による力の支配」が通用しない時代が始まっています。
 戦争の犠牲になるのは国民・中小業者の命と商売です。憲法9条をもつ日本政府の責務は、平和外交を世界規模で展開し、紛争を戦争へと拡大させないことです。
 ところが、自民党や日本維新の会、国民民主党は、「憲法9条で国は守れない」「核武装しないから攻められる」といった軍事的対応をあおり、国内総生産(GDP)比2%へと軍事費の拡大を政府に迫っています。公明党は9条改憲に反対せず、憲法72条(内閣総理大臣の職務)と73条(内閣の職務)に、自衛隊の指揮・監督の権限を書き込むことを提案しています。
 憲法を改悪して日本を「戦争する国」にするのか、それとも憲法9条を生かし、「平和を広げる国」にするのかが大争点です。

2、中小業者の5つの要求

要求1 消費税率を5%に戻し、インボイス制度の実施中止を

 自公政権は軍事費をGDP比2%=11兆円規模へと倍増しようとしていますが、その財源を示していません。国の債務残高は増える一方です。岸田首相が消費税減税を拒否し、財政制度等審議会が消費税増税を求める建議を取りまとめるなど、インボイス制度の実施後の国政選挙がない時期に消費税率引き上げが行われる可能性が高まっています。
 消費税の引き下げは国民・中小業者の負担を軽減し、消費を刺激する効果的な経済対策です。世界では86の国と地域が消費税(付加価値税)の減税に踏み出しています。日本でできないはずはありません。大企業や富裕層の税負担を軽減する不公平な税制を正せば46兆円超える財源が確保でき、消費税の減税・廃止も可能です。
 インボイス制度は免税業者を課税業者に仕立て上げ、税率を上げずに新たな消費税収を国民から搾り取る増税策です。日本共産党国会議員の質問で、シルバー人材センターの会員がインボイスを発行しない場合、全国のセンターが負担する消費税額が200億円(1センター当たり1500万円)も増えることが明らかになりました。中小業者やフリーランスに「取引排除」「値引き」「課税業者になって納税」のいずれかを迫るインボイス制度の実施は中止すべきです。

要求2 コロナ禍や物価高騰から中小業者を守る政策を

 コロナ禍がもたらした影響は大きく、「客足は戻っていない」など、中小業者の苦悩が広がっています。
 全商連が行った「原材料・仕入値の高騰・価格転嫁に関する緊急アンケート」(最終集約4月15日、回答数543)には「利益がなくなった」「転嫁できない」「買い控えが進んでいる」「資材が入らず仕事にならない」などの声があふれています。原材料・仕入れ値の上昇の影響について、「赤字になる」「経営が厳しくなる」の回答を合わせると84%に上り、42%が資金繰りに「影響がある」と答えています。新電力会社と契約している製造業者から寄せられる「電力料金が2倍超の値上げ。何とかしてほしい」との訴えは切実です。
 コロナ禍と物価高騰の影響受ける中小業者への支援策として、①固定費を補助する「直接支援の継続」、②「既往債務の返済凍結」と「20年返済・据置期間10年・無利子の緊急融資」、③適切な価格転嫁可能にする環境整備が必要です。

要求3 新自由主義政策を転換し、持続可能な地域循環型経済を
急激な価格高騰が営業と生活を脅かしています(記事とは関係ありません)

 新自由主義路線を強行し、大企業・富裕層に巨額の利益と富を蓄積させる一方、生産性の低い中小業者を淘汰する政策が推し進められてきました。
 地域経済を豊かに循環させるためには働く者の賃金の引き上げが欠かせません。大企業への内部留保課税で財源を確保し、賃上げに必要な資金を前払いし、社会保険料負担を軽減することで、従業員の最低賃金を時給1500円に引き上げる道が開かれます。中小業者を経済の根幹に位置付け、仕事と資金を回す地域経済へと転換します。
 性による賃金差別を禁止するなど男女平等を進めるアイスランドが経済成長しているように、ジェンダー平等の視点を政策に貫くことが重要です。所得税法第56条を廃止し、女性が多くを占める家族専従者の働き分を経費として認めることが必要です。
 食料、エネルギーを地元で賄う地域循環型社会は、気候危機打開や安心して暮らせる地域づくりと結びついています。37%まで落ち込んだ食料自給率の向上は急務です。水田活用交付金の削減を中止し、農業の再生を図るべきです。10%程度しかない日本のエネルギー自給率は先進国で最低水準です。再生可能エネルギーの大規模な普及とともに、省エネ設備・技術を導入する中小業者の負担軽減が必要です。ロシア軍がウクライナの原発を攻撃・占拠したことであらためて危険性が浮き彫りになった原発は即時ゼロにし、石炭火力発電からの撤退を決断すべきです。

要求4 改憲・大軍拡阻止、核兵器禁止条約に参加する政府を

 危機に乗じた敵基地攻撃、核共有に踏み出そうとしているのが自民、公明、維新、国民です。
 憲法に自衛隊の存在が書き加えられれば、憲法9条は死文化します(下の別項)。米国の戦争に協力すれば、日本が攻撃にさらされる危険が高まります。
  憲法9条を生かした平和外交で戦争を起こさせないことこそ政治の責任です。
 自民党は5年間で軍事費の2倍化を政府に提言し、維新の会や国民民主党も軍備拡大に前のめりです。岸田首相は5月23日の日米首脳会談でバイデン大統領に「防衛費の相当な増額を確保する」と約束しました。
 大軍拡は消費税増税と社会保障削減につながります。増加する軍事費を消費税(1%で約2.6兆円の税収)で手当するには2%の引き上げが必要です。
 日本共産党の志位和夫委員長は、「軍事費をGDP比2%にすると軍事費は11兆円以上となり、世界第3位の軍事大国になる。5兆~6兆円もの軍拡の財源をどうするか。消費税大増税か、社会保障の大削減になることは、誰が見ても明らかです」と強調し、「かりに軍事費増額分の5兆円を医療費の患者負担増で賄うとすれば、窓口負担が2倍になる。現役世代は3割から6割負担に、高齢者では2割から4割負担になる」と指摘しています。国民に負担増を迫る大軍拡は中止すべきです。
 核兵器で脅すロシア・プーチン大統領の言動によって、「核抑止論」が幻想にすぎないことが明らかになりました。
 ひとたび核戦争が始まれば勝者も敗者もなく、地球を滅ぼしかねない深刻な被害がもたらされます。被爆者と市民社会の長年の努力で発効した核兵器禁止条約を、唯一の戦争被爆国である日本政府が一刻も早く批准し、「核なき世界」の実現に貢献するべきです。核兵器禁止条約に日本政府が参加してこそ、核兵器を放棄させる国際社会で大きな役割を果たすことができます。
 アメリカ言いなりの政治を改め、日本の主権と国民の尊厳を守ることも急務です。辺野古新基地建設の中止、国民の生活や人権よりも米軍の自由勝手を優先する日米地位協定の抜本改正が必要です。

要求5 税金の使い道を正し、社会保障の拡充を

 税金の使い道を正し、軍事費を削って、社会保障を充実させ、憲法25条を実現する政治こそ求められています。
 約1兆円の公費投入で国民健康保険(国保)料・税の均等割と平等割をなくし、大幅に引き下げることができます。105機導入するF35A戦闘機17機分で可能です。
 コロナ禍を機に実施した国保の傷病手当を事業主まで対象を広げ、全自治体で実施できるようにするべきです。
 社会保障を立て直し、医療や保健所体制を拡充すれば、感染症対策や大災害時の備えにもなります。「行政の効率化」を口実に減らしてきた保健所を増やし、保健・衛生体制を強化するとともに、75歳以上の医療費2倍化や消費税収を使った病床削減、公立・公的病院の統廃合を中止すべきです。
 公的年金は、この10年間で実質6.7%も減らされています。物価高騰の中、年金削減ではなく、「最低保障年金」と「減らない年金」の実現こそ必要です。
 厚生労働省は健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに健康保険証機能を持たせる「マイナ保険証」に一本化しようとしています。狙いは社会保障費の抑制です。個人情報を集め、管理・活用するマイナンバー制度の利用拡大を中止し、廃止すべきです。

憲法25条 すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

自民・改憲案の重大問題

 自民党がまとめている「改憲草案」には、軍隊の保持と交戦権を否認した憲法9条2項を削除して「国防軍を保持する」とし、緊急事態条項が盛り込まれています。日本を「戦争する国」にするための改憲案です。

1、憲法9条を壊し「戦争する国」へ

 自民党の改憲草案には、現行の9条2項の後に、「前条の規定は、…自衛の措置を妨げず」として、「自衛隊を保持する」と明記しています。
 これは、「戦力は保持しない」とした現行の9条2項の制約を自衛隊に及ばなくさせ、海外での無制限の武力行使を可能にするものです。まさに、9条2項の死文化です。
 「自衛隊の行動は、法律の定めるところにより」とすることで、その時の多数党と政府が、国会の2分の1以上の賛成で法律さえ通せば、自衛隊の行動を無制限に拡大できるようになります。

2、緊急事態条項で「独裁」を可能に

 緊急事態条項について自民党が改憲草案の第98条で真っ先に掲げているのは「外部からの武力攻撃や内乱等」です。緊急事態を宣言できるのは大規模災害だけではないということです。
 そして、第99条で①「内閣」だけで法律と同じ効力を持つ「政令」を作って予算を支出し、②国や公の機関の指示に従う義務を国民に負わせ、③国会議員の任期延長を可能にすること―を明記しています。
 かつて、ナチス・ドイツがワイマール憲法を破壊し、独裁・戦争へと突き進むことを可能にした「国家授権法」と“うり二つ”です。
さらに、自民党は改憲草案で、基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」と謳った現行憲法の97条を削除するとしています。
 どこから見ても、自民党が提案する改憲案の危険性は明らかです。

維新の会

自民案と同じ改憲「条文イメージ」を提示

 日本維新の会が5月18日に発表した、改憲の「条文イメージ」は自民党の改憲案とほぼ同じです。

国民民主党

打撃力整備を主張

 国民民主党は参院選の重点政策で「自衛のための打撃力(反撃力)」を整備、「必要な防衛費を増額」を主張しています。
 維新の会とともに、国会の憲法審査会での審議を進め、玉木氏は5月23日の改憲派の集会で「安全保障の議論の本質は、一体いついかなる時であればわれわれは戦争するかの覚悟を国民に共有する作業だ」「憲法審査会での新藤筆頭幹事(自民党)をサポートしたい」と述べ、改憲“翼賛”勢力の一員であることを認めています。

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