22年度税制改正大綱の問題点 自主申告へ介入の危険性 財務省ヒアリングで明らかに|全国商工新聞

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全商連が財務省に行ったヒアリング=1月7日

 政府は「2022年度税制改正の大綱」(昨年12月24日閣議決定)に基づく「所得税法等の一部を改正する法律案」の年度内の成立を狙っています。「税理士制度の見直し」「円滑・適正な納税のための環境整備」「過少申告加算税等の加重措置」などは、民主商工会(民商)の自主計算・自主申告活動への介入・弾圧につながりかねない内容や、不当な税務調査が行われる危険性が含まれています。全国商工団体連合会(全商連)が行った財務省へのヒアリング(1月7日)で明らかになった内容と問題点を解説します。

違反者への調査を強化 税理士制度の見直し

 税理士法に違反する行為や質問検査などの対象に「税理士や税理士業務の制限または名称の使用制限に違反したと思料(思いはかる)される者」が加えられました。
 財務省は「無登録者やニセ税理士が対象」と回答しましたが、「税理士だけが対象なのか。民商は含まれるのか。税理士業務が行われていると思料された場合、対象になるのか」との質問に対し、明確に否定しませんでした。
 また、国税庁長官が税理士法に違反する行為または事実があると思料した場合、税務署員が官公署に対して協力を求めることができると規定しました。「これまで協力を求めても門前払いだったので、法律に定めて協力を得るよう措置した」と説明しました。「官公署」の中には警察も含まれています。
 これは、民商の自主申告活動に対して税務署が「税理士法に違反した」と思えば、官公署を巻き込んで調査ができるようにするものです。「税理士法に違反した」として3人の事務局員が逮捕・起訴された「倉敷民商弾圧事件」のようなことが、今後も起こり得る危険性があります。

不当調査で経費否認も 円滑・適正な納税のための環境整備

 隠蔽仮装行為に基づいて確定申告書を提出した場合、または無申告の場合、経費を否認すると明記されています。
 財務省は「取り組む背景として、適切に記帳義務を果たしている納税者とそうでない納税者との不公平感をなくすことが大前提」として、「記帳を適切にしている、または適切にしようとしている納税者を罰する意図はない。記帳漏れや、故意はなく“うっかりしていた”という納税者を対象にするものではなく、あくまでも悪質な納税者を対象にしている」と説明しました。
 具体的には「税務調査で、所得を打ち消すような間接経費があったと主張する納税者や、誰に払ったのかも分からない▽現金払いであることも証明できない▽反面調査でも取引が行われたと証明できない―などの場合、経費として認めない」とするものです。
 しかし、実際の税務調査では、「故意に所得を少なくした」として「質問応答記録書」に書かれて7年間さかのぼって調査が行われ、重加算税を課すなどの事例が横行しています。同省は「刑事告発するような大きな事案が対象」と強調しましたが、本来、認められるべき経費が否認され、不当調査が行われる恐れがあります。

記帳不備に罰則規定が 過少申告加算税等の加重措置

 修正申告書または期限後申告書の提出、更正もしくは決定がある前に、納税者が税務署員から「一定の帳簿」の提示・提出を求められ、帳簿の提示・提出をしなかった場合や、提示・提出した帳簿に記載すべき売上金額、収入金額が著しく不十分(2分の1以上が不記載)な場合は10%、不十分(3分の1以上が不記載)な場合は5%の過少申告加算税を加重します。記帳不備に対する罰則規定を盛り込むもので、2024年1月1日以後の申告期限の国税に適用するとしています。
 「一定の帳簿」について同省は「青色申告の場合は仕訳帳、総勘定元帳、白色申告の場合は売り上げや経費が分かれば、大学ノートへの記載や集計表でも構わない。形式は問わない」との見解を示しました。

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