事業復活支援金 「不備ループ繰り返すな」 公正審査と再審手続きを 全商連が中企庁に要請|全国商工新聞

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 「『不備ループ』が解消しないまま、年の瀬を迎えるのか」―。コロナ禍に対応する国の経済対策の裏付けとなる2021年度補正予算案が審議される臨時国会を前に、全国商工団体連合会(全商連)は2日、国会内で中小企業庁に要請。「事業復活支援金」の制度設計について、一次・月次支援金の審査の問題点を改善することを求めました。首都圏をはじめ兵庫、大阪、広島などから民主商工会(民商)会員ら45人が参加しました。

「これまでの問題点を踏まえ、迅速・公平な審査を」と要望する全商連の星実副会長

 冒頭、全商連の星実副会長が、自らの経営実態にも触れ「2年前と比べ、売り上げは半分だ。事業復活支援金は、コロナ前の売り上げと比較できるものにしてほしい」と述べ、「コロナ禍で落ち込んだ景気回復の起爆剤となる支援を。これまでの問題点を踏まえ、迅速・公平な審査を実施すべき」と要望しました。
 中企庁の担当者は「大枠が決まったばかり。詳細はこれから検討する段階」と説明しました。
 参加者は「一時・月次支援金で“不支給”にされた人に道を閉ざすことがないよう明言を」「不支給となった場合、明確な理由を申請者に説明し、再審査などの救済策を設けてほしい」などと要望。担当者は「補正予算成立後に制度設計するので、要望も含め、検討していきたい」と述べました。
 11月12日の中企庁交渉に続き、「不備ループ」から抜け出せない各地の参加者が、審査事務局(デロイトトーマツ)の、ずさん極まりない審査の実態を告発しました(左の別項)。
 日本共産党の笠井亮衆院議員、岩渕友参院議員が同席。笠井議員は「不備ループを一つ一つ解消し、審査も改善し、必要な人に支援金が渡ることが大事だ。コロナ禍で困っている業者に寄り添う気持ちが問われる」と指摘しました。
 要請後、参加者は手分けし、衆院経済産業委員40人に、事業復活支援金のスムーズな支給などを求め、要請しました。

ずさんな審査を告発 「段ボール何箱分も」

Oさん

 兵庫・灘民商の松尾健事務局員は「サポートセンターに相談すると、とにかく書いてある通りに出してくれと言われ、売り上げや経費の資料をそろえたら、これだけになった」と数㌢もの書類の束を突き付け、「電子申請のファイルに、とても貼り付けられない。本当に見て、審査しているのか」とただしました。
 東京・世田谷のOさん=イベント関連フリーカメラマン=は、「コールセンターの指示が間違いで、不備が繰り返されたと分かった。提出済み書類は管理していると言いつつ、同じ書類を再三求めたり、フリーなのに店舗の写真を出せと言ったり。こんな審査実態なのに、事業復活支援金もデロイトに委託するのか」と疑問を投げ掛けました。

Iさん

 新宿で印刷業を営む、Iさんは「父の代から72年。過去30年、法人決算をしてきたのに事業性を疑われ、9月に不給付に。要求された資料を出すと別のものをと、段ボール何箱分も平気で求める。審査が問題ないなら、説明すべき」と憤りました。
 足立西民商の小林芳一郎事務局長は「月次支援金の7~9月分で同じ資料を提出したのに、8月だけ不備メールが来た。審査基準が月ごとに違うのか、全く解せない。中企庁が引き取り、責任を持って審査してほしい」と求めました。
 中企庁は「個別案件は答えられない」としつつ「事務局は提出された資料を確認しながら審査していると承知している。追加資料は多いと認識しているが、必要なものと考える。改善はしているが、指摘された問題は引き続き改善したい」と応じました。
 全商連の中山眞常任理事は「担当者によって、出るものと出ないものがあるのは、おかしい。不給付事案を中企庁が再審査し、審査の妥当性・公平性などを検証すべき。『不備対応している間は不給付にしない』と改めて明言を」と迫りました。
 要請後、Oさんは「中止が続いたイベントも8月ごろから再開し、仕事も出てきたが、まだ時間はかかると思う。中企庁の答弁には責任感を感じなかった。本当に支援する気があるのかと思った」。
 Iさんは「指示通りに書類をそろえても、説明も無く、不備メールしか返って来ない。デロイトも下請けに出しているのではと思う。一体どうなっているのか解明してほしい」と話していました。

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