国際法人課税見直し 変化を確信に公正な税制実現を|全国商工新聞

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 経済協力開発機構(OECD)が国際的な法人税改革について、136カ国が合意したことを発表しました。各国共通の最低法人税率を15%にし、巨大IT企業などの税逃れを防ぐデジタル課税を導入するものです。
 GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)など多国籍大企業が、租税回避地(タックスヘイブン)を使って税負担を減らしてきたことなどに対応し、課税が強化されます。最低税率15%は、まだ低いなどの問題もありますが、国際法人課税のルールの大幅な見直しは約100年ぶりと画期的です。
 コロナ禍で新自由主義的な経済の在り方が、世界的に問われていることを反映したものです。
 日本では大企業の税負担率が中小企業よりも低いことが問題となってきました。不公平な税制をただす会の試算によると、中小企業の所得に対する法人税負担割合18・2%に対し、大企業は9・6%と約半分です。連結決算法人では4・6%との試算も出ています。試験研究費などの税額控除や受取配当に対する優遇措置など、大企業への優遇税制によるものです。
 世界は大きく変化しています。米国バイデン政権は個人所得税の最高税率を引き上げ、一定所得以上の株式等譲渡益課税を2倍の39・6%に引き上げました。
 英国では中小企業の税率を据え置く一方、大企業の法人税率19%を50年ぶりに25%に引き上げます。また、コロナ対策で消費税を減税しています。公正な税制を求める市民の運動が国際機関や政府を動かしてきました。
 日本の税制は大企業、富裕層優遇で格差を拡大し「遅れている」と言わざるを得ません。政府を変え、政治を変える近道は選挙の投票行動です。
 消費税をはじめ、不公平な税制を変え、インボイスなど、さらなる課税強化を止めることは、中小業者にとっても切実な要求です。
 若者たちの声が、気候危機を政治の中心的な課題とさせる変化も生まれています。小さな声でも積み重ねることが、変化をつくる原動力です。世界の変化を確信に、声を上げ続けましょう。

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