全国商工新聞

 「人の話をよく聞くことが特技」と語ってきた岸田文雄首相。しかし、政権発足早々に打ち出した19日公示、31日投開票という衆院総選挙の日程は、国民を代表する野党が強く求めた予算委員会での質疑を拒み、新政権への「ご祝儀相場」頼みで逃げ切ろうとする乱暴なものです。それを許さず、全商連「総選挙五つの緊急要求」を力に、総選挙で政権交代を実現しましょう。解説の第3、4回を併せて掲載します。

金融所得課税など累進強化へ

 「五つの緊急要求」の三つ目は「税金の集め方と使い道を正す」です。①応能負担によって財源を確保する②消費税収を使った病床削減をやめる③軍事費を削ってコロナ対策に回す―ことを求めています。
 緊急要求では「税負担の比重が高所得者から低所得者へ、資本から労働・消費へと移され、格差が拡大してきました」と指摘しています。
 消費税導入後、所得格差が広がり、所得上位1%の所得金額は、全体の20%を超え、超格差社会といわれるアメリカ並みの水準になっています。
 ところが、高額所得者の納税額は増加していません。その要因は、高額所得者の合計所得額のうち、金融所得の占める割合が高くなっているからです。株などで得た金融所得は、他の所得と分離して低率(株式等の譲渡益は15%)で課税されるため、所得1億円を超えると、税負担率は低下し、所得100億円超の高額所得者の税負担率は17.1%(2017年)になっています(図1)。

 「不公平な税制をただす会」は所得税や相続税、法人税、住民税の累進課税などを強化すれば、46兆円余りの財源が生まれると試算。大企業や富裕層への優遇税制を正せば、消費税率5%への引き下げ、課税凍結の財源を生み出し、廃止への展望を切り開くことができます。

軍事より医療を

 病床削減の問題では、2025年度までに救急を中心に約20万床を削減し、削減する1病床当たり114万~228万円の補助金を交付する方向です。その原資として、消費税増税分を充てようとしています。
 コロナ大失政の「人災」で医療崩壊が起き、「原則自宅療養」を押し付け、一時は全国で13万5千人が医療を受けられずに自宅に放置され、8月だけでも在宅死は250人に上りました。こうした事態を招いたのは、医療削減を進めてきた新自由主義政策によって、医師数が先進国平均より14万人足りない、感染病棟や保健所数が半減されたなど、脆弱な医療体制に問題があります。国民が安心して受けられる医療体制の強化が必要というのに、逆に医療体制を弱体化させようとしています。
 消費税増税分を補助金に充てることも大問題です。消費税を使って病床を削減するのですから、「社会保障のため消費税が必要」という口実は全く通用しません。緊急要求は「病床削減法」廃止を求めています。
 さらに、社会保障費を削る一方で、軍事費はうなぎ上り(図2)。来年度概算要求は、5兆4797億円の計上を決定し、年末の予算案編成で、過去最大だった今年度当初の軍事費5兆3422億円を上回ることを狙っています。従来の自民党政権でさえ軍事費の目安としてきた国内総生産(GDP)の1%枠を突破する可能性も指摘されています。
 「F35戦闘機105機の購入をやめて持続化給付金を再支給する」「アメリカを守るためのイージスシステム搭載艦を見送って、国民健康保険(国保)料・税の均等割と平等割を廃止する」「辺野古新基地建設を中止して、コロナ病床の確保や医療機関への支援を拡充する」など、不要不急の軍事費を削り、コロナ対策の拡充が必要です。



 >> 総選挙で一新!全商連五つの緊急要求④新自由主義路線を転換する

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