「特例猶予」終了後も 「納税緩和制度」の活用を|全国商工新聞

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 コロナ禍で経営不振(おおむね20%以上の減収など)に陥った事業主への「納税の猶予の特例(特例猶予)」が、申請期限の2月1日をもって終了しました。しかし特例猶予終了後も、納期限までに納税できない場合、「納税の猶予」「換価の猶予」など通常の「納税緩和制度」を活用できます。税務署に申請して認められれば、1年間納税が猶予され、分割で納税でき、延滞税が減免されます。

職権型「換価の猶予」適用 群馬・高崎民商会員 延滞税が半額に

納税緩和制度の活用を呼び掛けている高崎民商の相談会

 群馬・高崎民主商工会(民商)の加藤浩さん(仮名)=電話工事=は仲間とともに高崎税務署と交渉し、2月4日、税務署長による職権型「換価の猶予」が適用されました。1年間の分納が認められ、延滞税は1%に減額されます。
 加藤さんは2019年7月、高崎税務署から税務調査の連絡が入ったことをきっかけに民商に入会。納税者の権利を学んで調査を受け、20年2月4日、仲間の立ち会いの下で修正申告を行いました。
 それに伴って、消費税や所得税が追徴課税となり、19年分の確定申告で発生した消費税を合わせて180万円の納付を迫られました。コロナ禍で売り上げが落ち込む中で「とても払えない」と、特例猶予を申請し、1月29日に申請が認められ、延滞税も発生せず、負担は軽減されました。
 ところが今年1月中旬、税務署から「特例猶予が2月4日で終了するので、2月5日以降は分割納付してほしい」と電話が入りました。加藤さんは民商の仲間と相談し、延滞税が減額され、差し押さえなどの心配がない職権型「換価の猶予」を申請することに。1月26日、仲間と税務署に出向き、高崎税務署長の職権で「換価の猶予」を認めるよう要望。署員は「コロナ禍で事業者は大変なので、許可する方向で検討し、1~2週間で許可通知を出したい」と回答しました。
 加藤さんは「延滞税が半額になったのは大きい。早く完納できるよう頑張りたい」と話しています。
 民商では、確定申告に向けた相談会などでコロナ禍の影響を受けて税金が払えない場合は、納税緩和制度を積極的に活用して、負担を軽減させようと呼び掛けています。

特例後「柔軟に対応」 全商連のヒアリングに国税庁回答

コロナ禍で納税が困難な場合の対応を求めた国税庁へのヒアリング

 全国商工団体連合会(全商連)は2月4日、国税庁にヒアリングし、特例猶予終了後の対応を確認しました。
 特例猶予を認められた人が納期限を迎え、納税できない場合には「通常の納税緩和制度を活用してもらいたい。納税者が新型コロナに感染した場合など、特別の事情の場合は『納税の猶予』を受け付ける。猶予期間中の延滞税は1%に減額される」と回答しました。
 「緊急事態宣言が延長される下、今年は、猶予された分と合わせて、2年分の消費税納税を迫られる人もいる。納税が困難な人には執行停止も含めた柔軟な対応を」と求めたのに対し、「個々の納付相談には、実情もしっかり聞きながら対応するよう『指示』文書を発出している。(執行停止の)要件に合致すれば対応する。納期限から6カ月を超える場合、税務署長の職権による『換価の猶予』など柔軟に対応する」と答えました。

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