確定申告のワンポイントアドバイス(7)社会保険料控除と医療費控除|全国商工新聞

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 所得控除の中で、控除の対象になるか判断に迷うことが多い、社会保険料控除と医療費控除について解説します。

 なお、配偶者(特別)控除、ひとり親控除は、次回で解説します。
 まず、社会保険料控除の対象は、健康保険や国民年金などの公的な保険料で、その年に支払った額です。納税者と生計を一にする親族の分も含めて、納税者が支払った分が控除の対象となります。また、前年分や翌年分の保険料でもその年に払ったものは対象となります。
 ただし、公的年金から天引きされる介護保険料などは、年金受給者自身が社会保険料を支払ったことになるので、他の者が控除することはできません。
 なお、「生計を一にする」とは同居に限らず、別居の場合でも生活費、学資金、療養費などを送金している場合が含まれます。
 次に医療費控除です。その年に支払った医療費のうち10万円を超えた分が控除されます(控除限度額200万円)。ただし、総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%の金額を超えた分が控除の対象です。なお、高額療養費などに対する払戻金や保険金等により補填された金額は、支払ったその医療費から差し引いて計算します。

 医療費控除を受ける場合は、「医療費控除の明細書」を作成して、確定申告書に添付します。また、医療保険者が発行する「医療費通知書(お知らせ)」を添付することで明細書の記載を簡略化できます。ただ、医療費通知書は9月か10月分くらいまでしか記載されていません。2020年中に払った医療費で記載のない分は、医療費の領収書を基に医療費控除の明細書に記載して計算しましょう。医療費控除の対象となるかどうかの判断は難しいものが多いですが、まずは「医師による診療や治療」であるかを考えてみてください。なお、診療等を受けるための電車やバスなどの通院費なども対象です。
 また、スイッチOTC医薬品の購入金額が1万2千円を超え、インフルエンザの予防接種や定期健診を受けている場合は、セルフメディケーション税制による医療費控除が受けられます。この制度は通常の医療費控除との選択制です。医療費の金額が高額でない場合は、こちらの制度に該当するかどうか、一度検討しても良いでしょう。


 >> 確定申告のワンポイントアドバイス(8)配偶者(特別)控除とひとり親控除

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