新自由主義政策の転換へ地域振興策を提起しよう。 全商連会長 太田義郎|全国商工新聞

全国商工新聞

 全国の中小業者、民商会員、商工新聞読者の皆さんに、新年のごあいさつを申し上げます。
 コロナ禍の中で、各方面の有識者から「新自由主義の限界」が叫ばれています。
 資本主義は、この200年間で大発展し、人々の暮らしを豊かにしてきました。しかし、その発展の前提条件は“自然は無限にある”でした。自然=社会資本とは、地球の大気、海、氷、大地、河川、氷河などです。スイスの民間シンクタンク「ローマクラブ」が1972年に「人口増加や環境汚染などの現在の傾向が続けば、100年以内に地球上の成長は限界に達する」と警鐘を鳴らし、世界的に注目を集めました。
 ロシア・シベリアの永久凍土が溶け出し、北極、南極の氷河が崩落、消えつつあります。海面は上昇し、二酸化炭素は増加し続けています。山林火災は世界中で発生し、異常気象により「100年に一度」レベルの災害が毎年起こっています。これまで石油、石炭などの化石燃料を使い放題にしてきました。原発を推進し、大量生産・大量廃棄の政策を今も続けています。
 利潤最優先の新自由主義の弊害は、こうした自然環境破壊にとどまりません。
 菅政権のブレーンは、「もっと生産性(利益)を上げよ」と、ハッパを掛け、中小業者は非効率で生産性が低いから半分近くまで減らす、各県の地方銀行・信用金庫の大合併・統合で効率を高めるとしています。まさに新自由主義による“中小業者廃業政策”です。
 私たちは「一人も取り残さない社会」をめざし、1788自治体(県・市区町村)に対し、「小規模企業振興基本法」に基づいた振興策を具体的に提起し、懇談する必要があります。
 各地方には特産品、風土に合った「衣、食、住」があります。製造、加工、農林、漁業、小売流通、サービス業と、地域を循環する経済があります。「金は天下の回りもの」となる振興策を提起しましょう。
 街の灯を消すな! 業者は存在することで立派に社会貢献しているのです。2021年も元気で商売を!

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