消費税増税しなくても 社会保障は拡充できる|全国商工新聞

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富裕層に公平な負担を 山家悠紀夫さん(暮らしと経済研究室主催)

 「消費税は福祉の充実のために必要である」「消費税でなければいけない」と言う学者もいます。私も福祉の充実や学費、医療費を無料にすることは大賛成です。
 しかし、「消費税でなければ財源が確保できない」という考えは、私にはどうしても分からない。いま20%ほどの人が稼ぎだけでは生活できません。貯蓄の取り崩しや親からの援助、生活保護を受けるなどしなければ生活ができない状況です。
 また、消費税を実際に納める事業者、特に小規模な事業を営む小売店や飲食店は、お客さんや取引先との力関係で、消費税を十分に転嫁できない。「転嫁したもの」とみなされて税金が取られる。消費税は利益がなくとも税金が取られる非常に残酷な税だと思います。
 消費税に代わる税はいっぱいあります。例えば、応能負担が原則の所得税で徴収する。消費税率を5%に引き下げた場合、所得税で賄うなら3%程度の増税が必要ですが、年間の世帯収入が103万円以下は非課税になるので、消費税よりも負担は軽くなります。たくさん稼ぐ人には、消費税よりも負担が多くなりますが、全体の負担の公平性は保たれます。また、大幅な利益を上げている大企業の法人税、金融取引のもうけに対する課税が一律20%など、不公平な税制を正すことで財源は生まれます。
 消費税が10%に上がり、収入に制約がある貧しい人を中心に、お金が使えなくなり、消費が落ち込んだことが景気悪化の最も大きな原因です。消費税減税は、国会で決めればすぐにでき、すばやく効果が浸透します。感染症対策と併せて、いまの景気をなんとかするためにも消費税減税が最善の経済施策です。

 詳細は各界連の動画でご覧ください。
 https://www.youtube.com/watch?v=oAJ5FKyYx2k

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