全国商工新聞

税理士 佐伯 和雅さんが解説

 酒税率が10月1日に改定されます。税率が引き上げられるものは、いわゆる「新ジャンル」といわれる第3のビール(1リットル当たり28円増税)と果実酒(1リットル当たり10円増税)で、その他の酒類はおおむね引き下げ(品目により1リットル10円から20円の減税)となります(表)。
 酒税率改定に伴い、流通段階にある課税済みの酒類に対して新旧税率の調整が行われます。この制度を手持品課税・手持品戻税といいます。

重い実務負担

 酒類製造者以外の事業者が初めて酒税の申告・納税を行わなければなりません。対象は、酒類の卸売・小売。酒場や料飲店も含まれます。申告期限は2020年11月2日、納期限は20年3月31日となります(図)。事業者は重い事務負担を強いられることになります。
 国税庁は、酒税法とその関連法にある記帳義務を根拠にし、申告が簡単にできると言っていますが、実体とあまりにかけ離れています。

届出が必要に

 手持品課税の対象者は20年10月1日午前0時現在、引き上げ対象酒類を1800リットル(ビール大瓶2843本分)保有している場合です。引き下げ品目の在庫を多く抱えている事業者や、引き上げ対象酒類の保有が1800リットル未満の事業者で手持品戻税の適用を受ける事業者も、20年11月2日までに手持品課税の適用を受けるための届出をしなければなりません。
 例えば、飲食店を数店舗経営している場合や、いくつかの店舗で酒類の販売を行っている場合には、全ての貯蔵場所で所持している引き上げ対象酒類の数量を合計して計算します。
 この後、23年と26年にも同様の調整が行われることになります。事業者の負担に配慮した申告納税制度とは大きくかけ離れており、制度の是正が必要です。

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