全国商工新聞

 厚生労働省(厚労省)は5月に国民健康保険(国保)の運営方針(要綱)案を示し、都道府県の運営方針の見直し・改定作業が始まっています。
 今回の方針案で重大なのは、「保険料は市町村ごとの設定を基本」としていた原則を削除し、「都道府県での保険料水準の統一をめざす」ことを明確な目標として掲げたことです。高すぎて払いきれない保険料を軽減する市町村の「法定外繰り入れ」の早期解消も強く求めました。
 厚労省はこれらを進めるため、来年度の「国保保険者努力支援制度」の評価指標をまとめました。保険料統一の具体的な議論を「評価」して交付金を増やす一方、法定外繰り入れが増えた場合や10%程度の削減にとどまった場合は、交付金を減らすペナルティーを科します。
 保険料の統一化は「高い保険料」に合わせ、保険料・税が引き上げられる危険があります。法定外繰り入れ解消は、加入者の負担をさらに増やすことにつながります。
 国保料・税が高い最大の原因は、国庫負担が大幅に削減されてきたことです。かつて医療費に対する国庫負担は45%でしたが、現在は30%程度です。また、加入者の4割を無職者が占めるなど、加入構成も大きく変化する中で、全国知事会は政府に1兆円の公費投入を求めてきました。
 この間、新型コロナ対策として感染者への傷病手当金を多くの自治体が創設したことは画期的といえます。人頭税と批判のあった子どもの均等割を減免する自治体も生まれています。また、政令市である横浜市、名古屋市が資格証明書の発行を取りやめるなど、国保改善を求める運動で、成果も生まれています。
 一方、コロナ禍でも強権的な徴収や、保険証の取り上げが行われており、各地の民商・県連では、地域の住民、団体と協力して是正を迫るとともに、払える国保料・税に引き下げる運動に取り組んできました。
 都道府県では運営方針改定に当たり、パブリックコメントも行われています。国保は憲法25条(生存権)が定める社会保障の柱です。国民の「受療権」を守る国保改善に向けた運動を強め、声を上げることが求められています。

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