全国商工新聞

 今回は事業所得や不動産所得で何が経費になるかを中心に解説します。
 まず、経費とは何かということですが、売上原価、販売費および一般管理費に記載される支出のことをいいます。「収入を得るために必要な支出が経費」と考えれば分かりやすいと思います。これとは反対に、自分の生活に必要な支払い(家事関連費)は所得税の計算では経費とはなりません。個人の確定申告では、この事業経費と家事関連費とを区分することが重要となります。個人事業主の方は事業用と生活用の財布が一緒だという方がほとんどだと思います。そうすると、領収書などを保存する、あるいは伝票などに記録しておくという日常の作業が重要となります。
 また、事業用として明確に区分して支出したものであっても、いったん資産に計上して、時間の経過に応じて経費としていくものもあります。例えば機械や事業用の車両の購入や、修繕費であっても価値を増加されるような支出がこれに当たります。前者を設備投資、後者を資本的支出と呼びます。
 設備投資と資本的支出は両方とも、減価償却計算を行い経費を計算します。減価償却とは、「固定資産の耐用期間あるいは有効期間にわたり費用配分をする」ことをいいます。所得税では、この償却費の必要経費算入は任意ではなく、必ず必要経費に算入しなさいと定められています。なお、減価償却の方法ですが、毎年同じ金額を減価償却費として経費に計上する「定額法」が原則となっています。
 減価償却の計算では少額の資産取得については、いくつか別の計算ができるものがあります。例えば、少額の減価償却資産(使用可能期間が1年未満、あるいは取得価額が10万円以下の資産)があります。このような支出については、事業に供した年の経費としてよいとされています(表の(1)、(2))。次に、取得価額が20万円未満の資産は、一括償却資産として、3年で均等に償却することができます(表の(3))。最後に、青色申告者しか使えませんが、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、支出した金額をそのまま経費とすることができる制度があります(表の(4))。例えば19万円の減価償却資産を取得した場合には、(3)(4)を選択することになります。

 次に減価償却費以外の経費について説明します。「自宅の一部を事務所としているが、少しでも家賃として経費にならないか」という質問を受けることがあります。現行の所得税法では、家事関連費と事業経費を合理的に区分せよとなっていますので、家賃相当額や固定資産税、電話代などは面積や使用割合などで合理的に区分すれば、事業経費としても構いません。
 コンビニであろうとスーパーだろうと事業に関係のある支出(例えば、接客用の茶菓子など)は経費となります。税務署の言いなりになってはいけません。
 具体的には、全商連作製の「自主計算パンフレット2020」にある経費早見表を参考に、支出の経費性を確認するとよいでしょう。
(税理士・佐伯和雅)

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