高すぎる国保料「もう限界」 払える金額に減免を|全国商工新聞

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民商の仲間とともに集団申請

 「高すぎて払えない」「所得100万円で20万円もの保険料なんて」-。2018年から始まった都道府県単位化の下で、約3000万人が加入する国民健康保険(国保)制度をめぐり、深刻な矛盾や切実な声が噴出しています。手元に届いた国保料・税の納入通知書を目にし、「払える額に減免を」と訴える各地の民主商工会(民商)会員の実情を聞きました。(関連ページ

年所得73万円で11万円 Aさん=婦人アクセサリー製造

 婦人アクセサリーを製造して40年になります。収入減に加え、今年は前立腺がんを手術。国保税や市・県民税の支払いが厳しくなってきました。
 7月10日付の通知書に書かれた国保税額は10万9600円。私は、いま「加入者1人」の状態ですが、昨年分の申告所得わずか73万円に対して11万円もの国保税がかかる。家族が多い人は、もっと負担が重くなるらしいですね。国保以外にも、市・県民税だってあるんですよ。払い切れる見込みはありません。
 7月24日に、川口民商の助けを借り、国保税の「徴収猶予」と「減免」を市役所に申請しました。もう限界。何とか減免を認めてもらわないと、いよいよ生活できなくなります。

目の前が真っ暗に

 ここ数年、景気はガタ落ちです。本業だけでは暮らせず、介護施設の送迎運転手のアルバイトを毎日朝夕2時間ずつ、3年前から始めました。それも月に3万円にしかならない。ついに昨年、国保税を何期分か滞納してしまいました。
 そんな中、今年1月、前立腺がんが判明。毎年1回3000円の検査料をこれまで惜しんでいたのが悔やまれます。「目の前が真っ暗になる経験」は初めてでした。2月に検査手術、3月に本手術をやり、合計20日間入院。仕事に復帰したのは5月の連休明けでした。これから放射線治療も始まり、まともに働き続けられるのか不安です。
 去年、国保税を滞納せざるを得なくなった時、市役所の窓口で「住宅ローンの返済は利子だけにして、滞納分の支払いに回せ」と言われ、途方に暮れました。
 支払い能力を超えた重い税額、劣悪な国保制度そのものが問題です。今の国保制度は「低所得者いじめ」以外の何物でもない。川口市の国保税滞納世帯率は3割という話も聞きました。一刻も早い制度改革に期待しています。

前年比2倍の26万円も Fさん=茶舗

 神戸市でお茶舗を経営しています。スーパーのテナントとして出店し、夫婦で切り盛りしています。
 今年届いた国保料の通知書の額を見て、何かの間違いかと思いました。昨年は保険料11万1000円だったのに、今年はなんと26万6780円。いくら何でも2倍半近いとは。昨年、一昨年と申告所得はほどんど変わらず、変化と言えば、同居している子ども2人のうち1人が働き始めたくらいでしょうか。
 なんでこんなことになるのか理解できません。民商とも相談し、9月に減免申請を出すつもりです。
 聞くところでは、数年前、国の方針で国保料の所得割部分の算定方式が旧ただし書き方式に変更になり、配偶者や扶養家族の控除がなくなったとか。神戸市では「当分の間、控除を維持する」としてきましたが、この負担軽減策も昨年から段階的に撤廃されてきているとのこと。「激変緩和措置」はあるそうですが、わが家では保険料が2倍以上にもなり、驚いています。

低所得者ほど重い

 阪神・淡路大震災の前年、1994年に開業しました。民商に入ったのも国保料がきっかけです。
 大震災から数年後、ようやく事業再建が軌道に乗り始めた時、60万円もの国保料の通知が届いた。その時民商に相談して減免を受けられ、大変助かりました。いまお茶の売り上げが低迷する中、海外向けの通販なども始めていますが、なかなか厳しいですね。
 低所得者ほど負担が重く、家族が多いほど負担が増える今の国保の仕組みはおかしい。おまけに、10月に予定されている消費税増税や複数税率導入は、商売人にとって大きな打撃です。たとえ国保料が減免されても、消費税増税でその分は吹き飛んでしまうでしょう。
 うちの一方の店舗にはカウンターがあり、買ったものを店内で飲むことができるのですが、消費税2%を別にいただくわけにもいかない。「導入費用や手数料はゼロです」と業者に言われてペイペイ(QRコード決済)も導入しましたが、実は「来年には入金手数料が有料化され、2年後には決済手数料が導入される」というじゃないですか。
 中小業者や低所得者層の負担が重くなる仕組みを変えてほしいですね。

家族5人で40万円以上 Kさん=建築塗装

相模原民商は毎年7月に市国保課と交渉し、集団減免申請を行っています。子どもの均等割の免除や、生活実態を無視した納付指導などを行わないことなどを要望しました

 ペンキ屋一筋32年、事業主になって15年です。集合住宅の外装リニューアルや修繕の仕事が多く、雨が降ると仕事ができないのが悩みです。
 独立直後、消費税の免税点が3000万円から1000万円に引き下げられて「課税業者」になりました。消費税の滞納に悩んでいた9年前、新聞の折り込みチラシで民商の存在を知り、公的融資を受けて苦境から脱することができた。それが民商と出会ったきっかけです。
 9年前まで建設国保に入っていました。しかし40歳になって保険料が引き上げられることを知り、市町村国保に切り替えたものの、夫婦と子ども3人で時に40万円以上にもなる市の国保税の高さに苦しむことに。そのため、これまで減免申請を4回やりました。
 今年も減免申請をします。というのも、今年に入って仕事の注文が激減し、加えて取引先の未納が重なり、厳しくなったからです。

「搾り取る」制度

 役所や国は、私たちが毎年のように減免申請をせざるを得ない状況になっていることを本当に分かっているのでしょうか。税金も国保税も、必要なものは払わなくてはならないし、払いたい気持ちはあります。でも、生活できなくなるほどの負担は困る。「払えない人からも搾り取る」のが今の国保制度だと思います。何とかしてほしい。切に願っています。

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