新型コロナ禍から業者青年の経営を守り、支援施策の柔軟な対応と拡充を求める要請と各府省庁の回答(要旨)について

全青協は6月21日、経産省・中企庁、厚労省、財務省、国税庁、国交省・林野庁の7省庁に対して、新型コロナ禍から業者青年の経営を守り、支援施策の柔軟な対応と拡充を行うよう改善を求めました。各省庁の回答(要旨)をお知らせします。

【1】経産省、中企庁

1.持続化給付金の対象・金額拡充と併せ、すべての業者に再給付を
2.事業存続のための固定費補助と休業補償を
3.コロナ対応資金繰り支援策の強化と資本性劣後ローンの拡充を
4.持続化補助金について
5.月次支援金の上限額引き上げと無料事前確認窓口の設置を

【2】厚労省

1.国保の傷病手当金支給の財政支援の対象に事業主も含めること
2.自営業者・フリーランスにも失業保険の適用を
3.コロナの影響による国民健康保険料減額・免除の適切な対応を
4.国保料、年金、社会保険料の減免措置創設を
5.雇用調整助成金・コロナ特例の延長を
6.保育所への支援強化を

【3】財務省、国税庁

1.コロナで打撃を受けた事業者への納税猶予・免除を
2.消費税の引き下げと複数税率・インボイス廃止を

【4】国交省・林野庁

1.ウッドショックへの早期対策を
2.多重下請けによる弊害を抑制し、適正単価の指導徹底を

【1】経産省、中企庁

1.持続化給付金の対象・金額拡充と併せ、すべての業者に再給付を

(回答)
 政府の全体方針の中で、対象を絞って給付するということが決まっている。その代わり、飲食には「協力金」、関連企業には「一時支援金」が用意されており、年間通して実施された場合、総額では持続化給付金より大きくなるようになっている。活用を検討してほしい。

2.事業存続のための固定費補助と休業補償を

(回答)
 飲食業の固定費に関しては協力金で十分と考えている。結婚式場などその他サービス業は一時支援金や月次支援金があるので使ってほしい。また、各地の事情に合わせて自治体が必要な支援策を打てるように地方創生臨時交付金を出している。自治体の制度も活用してほしい。

3.コロナ対応資金繰り支援策の強化と資本性劣後ローンの拡充を

(回答)
 現在まで250万件に50兆円以上を融資している。「新型コロナ特別貸付」も年末まで延長し、民間の事業を支えていく。当初3年までとしている利子補給期間は東日本大震災と同等の最大限の措置だが、コロナが長期化していることもあり、今後の影響を見たい。
 据置・返済期間延長のリスケジュールにも積極的に応じるよう要請しており、申し入れがあったものに関しては99%以上延長している。要望がなくても積極的にアナウンスすることも要請しているが、融資件数が膨大なため、一部に返済開始のお知らせが届いていない可能性もあり、情報の周知が不十分かもしれない、返済開始後でも相談いただければリスケに応じられるので、とにかくご相談いただきたい。
 資本性劣後ローンに関しては、最大20年後まで返済を延ばすことができ、借り手が返済期限を決められるという点では一定担保できると考える。

4.持続化補助金について

a.持続化補助金の採択拡大を
(回答)
 持続化補助金採択で第3回公募以降に採択基準を変え、足切りにしたということはない。採択率が下がったのは、必要な書類が足りない、補助金の趣旨を理解していない等、要項の基本的な条件を満たさない申請が増えたため。一定の水準を満たせば採択するよう運用している。成功報酬で申請を丸ごと請け負う業者の存在については、中企庁としても問題意識があり、事業者の経営発展に寄与しないような計画書作成については是正するよう関係団体にも求めている。

b.事業再構築補助金緊急事態宣言特別枠の延長と補助対象拡大を
(回答)
 現在第2回公募を行っており、通常枠等で3回目公募をすることも決まっているが、緊急事態宣言特別枠を継続するかは検討中。昨年度行った事業に遡って適用するのは、補助金の性格上難しいが、事務局から事前着手の承認を受けた場合は21年2月15日以降に購入契約した事業経費には適用できるようにしている。採択者には速やかに資金を供給できるよう概算払い制度も設ける。

c.採択決定後の迅速な給付を
(回答)
 採択者実績報告書の内容審査のマニュアル整備が行き届いておらず、要望書の指摘通り、給付が遅れている実態があることは把握している。給付が遅れていることは申し訳なく、改善を図りたい。

 → 商工会を通さずに申請を出し、採択された事業者が、給付の手続き書類を提出しに行ったところ、商工会を通していないことを理由に受け取りを拒否された。このような対応が許されてよいのか。
(回答)
 採択者への公平性は必要で、そのような対応があるのであれば、こちらからも確認を取るので個別に教えてほしい。
 ※交渉終了後、当該の商工会を伝え、事情について報告を受けることとした。

5.月次支援金の上限額引き上げと無料事前確認窓口の設置を

(回答)
 年間通じて給付した場合、総額では持続化給付金を上回るよう設計している。無料の事前確認はオンラインで実施しており、コールセンターで紹介している。優先的に近隣の登録確認機関を紹介するが、どれも駄目だとなった場合、最後は必ずオンラインで受けられるようにする。
 きめ細かく多くの相談者に対応できるよう全国に50カ所のサポートセンターを設けているが、持続化給付金の際に多くの批判にあったことで予算を削られ、窓口が持続化給付金時の10分の1に削減され、限界がある。一方で、現状の相談稼働率はそこまで上がっておらず、さらに削れるのではないかという財務省からの突き上げも受けている。一部で報道されている予算に対する給付額が低いという指摘については、予算は一時支援金で全てを使い切ることを想定したものではなく、支援不十分だから出ていないということではないと考えている。

 →必要なすべての事業者に支援金が行き届くよう、窓口を広げて相談体制を充実させてほしいということも加えて要請した。

【2】厚労省

1.国保の傷病手当金支給の財政支援の対象に事業主も含めること

(回答)
 国として事業主の所得の算定基準を出すことが難しく、そこが壁になっている。省内で非公式に各地の事業主も対象とした傷病手当制度なども調べ、検討したことはあり、3パターンほど事業主の収入を算定する方法があると認識しているが、現時点の結論は難しいということ。事業主の休業理由を傷病によるものという証明も誰がするのかが難しい。

2.自営業者・フリーランスにも失業保険の適用を

(回答)
 コロナ禍での事業者への失業保険(収入補填)という意味では、持続化給付金を支給しており、これで補償できたと考えている。フリーランスの失業状態というのをどのように証明するのかも難しい。ただ、政府の骨太の方針2021でフリーランスのセーフティネット強化という方針は示されており、どのような対応ができるか検討を進めていく。

3.コロナの影響による国民健康保険料減額・免除の適切な対応を

(回答)
 国からの財政支援の基準については令和3年3月12日付の事務連絡「新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等に係る国民健康保険料(税)の減免等について」の中で、周知しているとおり。経費の記入など、自治体独自のものは国が指示しているものではない。2021年度のコロナ減免で、昨年すでに収入が落ち込んでいる事業者がさらに3割以上収入減にならないと減免対象にならないことについては、20年度の落ち込んだ収入を基準に低くなった保険料が算定されており、問題ないと考えている。

4.国保料、年金、社会保険料の減免措置創設を

(回答)
 安定運営のために公費を手厚くしている。社会保険料はみんなで支えるというものという考えから、事業主負担を求めている。
 →企業規模を考えず、一律に負担させる現在の社会保険料が小規模企業の負担になっていることは小規模企業基本法の付帯決議で示されており、同決議に示された支援策の実現を速やかに図るよう求めた。

5.雇用調整助成金・コロナ特例の延長を

(回答)
 現在、緊急事態宣言延長やまん延防止措置再発動と連動し8月末まで延長したところ。今後さらに延長するかは状況を見ながら判断していく。緊急事態宣言等が延長されれば必ず連動するとは言い切れない。

6.保育所への支援強化を

(回答)
 医療者への慰労金に関しては、感染すると重症化するリスクが高い患者との接触を伴うことから、相当程度心身に負担がかかる中、強い使命感を持って、業務に従事していることを慰労するために支給しているものであり、保育所で従事者が接触する児童の重症化リスクが高いとは考えていないことから慰労金は支給していない。園への支援として、感染症対策に伴う消毒や清掃など、時間外や休日労働への手当てや対策グッズの支給といった費用を定員数に応じて支給している。

【3】財務省、国税庁

1.コロナで打撃を受けた事業者への納税猶予・免除を

(回答)
 納税の猶予特例は打ち切ったが、個別の事情に即して通常の換価の猶予や納税の猶予が適用できる。給付金は事業収入の失った分への補填と考えているため、見舞金などとは違い、課税対象としている。換価の猶予の申請期限は納期限から6カ月以内としているが、それを超えても税務署長の職権で猶予することもできる。

2.消費税の引き下げと複数税率・インボイス廃止を

(回答)
 消費税は社会保障に必要であり、軽減税率は逆進性の解消を目的とした低所得者対策、インボイスの導入によって下請け企業が消費税を転嫁しやすくなるメリットもあると考えている。免税業者が全て影響を受け、取引排除されるかのような誤解があるが、BtoC(対消費者取引)の事業者には影響がなく、BtoB(対事業者取引)であっても簡易課税業者が主な取引相手であれば、免税業者のままでそのまま商売ができると考えている。
 →現時点でも多くの事業者がインボイスの導入に伴い、労災加入強化の際に起きた現場入場拒否で起きたことと同様に実質免税でいられなくなることや、現在付き合いのある多くの職人との対応をどのようにしていったらよいか苦慮している課税事業者の実態などを訴えたが、財務省は消費者から預かっている消費税が転嫁できていない現状が問題であり、インボイスはそれを正すために必要だと強弁した。

【4】国交省・林野庁

1.ウッドショックへの早期対策を

(回答)
 世界的な木材需要の高まりやコンテナ不足などもあるが、米国の着工戸数の上昇をはるかに上回る価格上昇が起こっており、商機と見た投機マネーの流入などが起こっているのではと認識している。グローバル市場の中で日本企業が買い負けているということが実態。市場価格である以上、木材を持ってくるにはグローバル価格で買うしかない。
 特に中小工務店への影響が大きいことも承知している。
 どこかで買い占めがあるのではないかとの指摘もあるが、現状は確認できていない、あれば対策を取りたい。
 国内メーカーは増産体制を整えつつあり、民間での中期的契約締結による連携も始まっている。1年前にはコロナ禍の不透明さもあり、メーカーが在庫を減らしていたところにこのような動きがぶつかったこともあり、いまの状況は考えられなかった、いつまで続くか見通しを示すのは難しい。
 事業者を支えるための資金繰り対策については、政策公庫と相談したところ、ウッドショックに直接対応する制度はないが、経営状態悪化を理由とし、例えば「新型コロナ特別貸付」なども使えるのではないかと思う。その際、ウッドショックをコロナの直接的な影響理由とするのは難しいので、総合的に説明してもらう必要がある。

2.多重下請けによる弊害を抑制し、適正単価の指導徹底を

(回答)
 問題は認識しており、書面回答による調査も引き続き行いながら、対策検討していきたい。
 →現場入場の際などに何次下請けか書く欄などあるが、自己申告でその後の確認もされない、調査が実効性を持っていないことを認識し、ぜひ現場に足を運び、実態を直接確認するなど、実効性のある対策をとってほしいと要望した。