担い手広げ組織的な対応で「インボイスで初めて消費税申告する126万者の受け皿」に 自主申告運動を貫こう 全商連 確定申告対策交流会|全国商工新聞

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 「消費税インボイス(適格請求書)で、初めて消費税申告する人たちの相談に応えられる民商に」「税務相談停止命令制度(命令制度)と無縁の自主申告運動を貫こう」―。全国商工団体連合会(全商連)は12月8日、「組織的に取り組む確定申告対策交流会」をオンラインで開催し、全国320カ所から視聴されました。

全商連の「組織的に取り組む確定申告対策交流会」

 10月から実施されたインボイス制度により、新たに126万者を超える事業者が消費税申告を迫られる下、4月から施行される「命令制度」にひるむことなく、民主商工会(民商)の自主申告運動を推進するために開いたもの。
 全商連税金対策部長の服部守延常任理事が「インボイス登録をしたものの、どう申告したらいいか悩み、相談先を求める事業者が大勢いる。命令制度への反撃は、自主記帳・自主計算・自主申告を貫くことだ」と開会あいさつ。
 中山眞常任理事が「確定申告対策の留意点」を報告しました。「今度の確定申告は、大量の消費税初申告者が生まれるとともに、デジタル化を推進し、さらに“不親切”になる税務署が課税強化を狙う中で迎える」と指摘。「フリーランスの会の調査で、インボイス制度の相談先がないと答えた個人事業者は約34万者いる。『民商の事務局員が一人一人、対面で対応』していては間に合わない。民商が消費税申告の『受け皿』となるためには、組織的な対応がどうしても必要だ」と強調。班・支部での「『納税者同士の教え合い』は停止命令の対象である『脱税や不正還付の指南』とは無縁。自主記帳・自主計算活動を強化し、権力の不当な介入に反撃を」と呼び掛けました。「軍拡大増税反対をはじめ、消費税減税、インボイス廃止を大きな世論にするため、3・13重税反対全国統一行動を大きく成功させよう」と訴えました。
 実践報告では、新潟・魚沼民商の中澤俊彦会長、須田光則事務局長が「記帳・申告サポーターづくり」、大阪商工団体連合会(大商連)の廣瀬光徳副会長が大商連の「自主計算推進委員会」の取り組みをそれぞれ発言しました。

各地の実践

整理会や学習会で一人一人が力つけ

新潟・魚沼民商会長 中澤 俊彦さん
新潟・魚沼民商の中澤会長(右)と須田光則事務局長

 倉敷民商弾圧事件を機に、会員一人一人が自ら確定申告ができる力をつけようと、役員・会員で教え合う活動を始めた。
 支部ごとに、領収書整理会やパソコン記帳に取り組んだ。民商では消費税申告セミナーや青色申告セミナー、記帳・申告サポーター養成講座など学習会を開き、婦人部や青年部からの参加も含め、担い手を増やしてきた。
 全商連発行の自主計算パンフレットを活用し、経営対策や税務調査対策を学ぶことで、日常的な自主計算の重要さが浸透してきた。
 「春の運動(1~3月)」では、一人親方や飲食店を対象にした相談会などへの参加を広げる大量宣伝や、会員への「紹介」依頼を行う。税務調査で、自主申告を力に是認を勝ち取った成果も広げ、仲間を増やしたい。

自主申告を貫けば命令制度怖くない

大商連自主計算推進委員会 副委員長 廣瀬 光徳さん
大商連の廣瀬副会長

 私は「民商会員イコール自主計算会員」だと思っている。全会員が自主計算運動の推進者になることが重要だ。大商連作成の学習資料や計算シートを民商に配布し、インボイス学習に活用している。学習会に会外の業者も誘って、中小業者同士で教え合うことで記帳・申告をサポートする担い手を増やそうと呼び掛けた。
 消費税計算の複雑さや負担の重さに対する怒りを、消費税減税やインボイス廃止に向けた運動へとつなげたい。フリーランスとの共同をさらに広げることも強調している。
 命令制度への不安を口にする人もいるが、自主計算を通じ、自らの申告に自信を持つことが必要。税額などを決めるのは一人一人の会員だ。「自主申告を貫けば命令制度も怖くない」と伝えている。

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