失望広げたG7「広島ビジョン」 抑止力論を克服し核兵器廃絶を|全国商工新聞

全国商工新聞

 先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)が5月21日に閉幕しました。岸田首相は議長国としての記者会見で「核軍縮に関する広島ビジョン」の取りまとめを自賛しました。しかし、G7に都合の良い「核抑止力」論に固執する態度で、核兵器廃絶を求める被爆者や市民から、失望や怒りの表明が相次いでいます。
 「広島ビジョン」には「核兵器は非人道的」との確認がありません。「いかなる国であれ、人類と共存できない核兵器の使用も威嚇も許されない」という国際規範から逸脱しています。ロシアの非道や中国の核戦力増強に非難・懸念を表明する一方で、アメリカやフランス、イギリスには、核兵器が「防衛目的」で「侵略を抑止」するというのは詭弁に他なりません。
 「広島ビジョン」は核不拡散条約(NPT、第6条)に基づく「自国核兵器の完全廃絶の明確な約束」にも触れていません。廃絶を「究極の目標」へ遠ざけ、「全ての者にとっての安全が損なわれない形で」「現実的で、実践的な、責任あるアプローチ」と、義務を果たさない言い訳ばかりです。昨年8月のNPT再検討会議の最終文書で、G7各国が「明確な約束」を再確認した到達からも明らかな後退です。
 「広島ビジョン」は核兵器禁止条約にも、全く言及していません。同条約は、2017年7月に国連加盟国の6割以上の賛成で採択され、各国代表演説では、被爆者や市民社会を熱烈に賛辞しました。世界92カ国が批准し、国際法としての地位も確立しているだけに、G7が核に固執する態度を改めなければ、孤立は一層深まるでしょう。
 サミットでは今回、G7首脳がそろって原爆資料館を視察し、被爆者の証言を聞く機会も設けられました。しかし、資料館の視察は完全非公開とされ、首脳らが「被爆の実相」にどう触れたのかの詳細は明らかにされていません。同時に、ウクライナへの支援も協議され、声明に盛り込まれましたが、憲法9条を持つ日本の対応は国際紛争の助長を回避し、非軍事の人道・復興支援に徹するべきです。世界唯一の戦争被爆国として、「核抑止力」論の克服と核兵器禁止条約の批准を強く求める世論と運動を広げましょう。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから