インボイス登録取り下げ増加 累計5千件に迫る勢い|全国商工新聞

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 消費税インボイス制度の登録取り下げ・失効件数が4700件(2日現在)を超え、5千件に迫る勢いであることが明らかになりました(図)。「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が、国税庁が公表したデータを基に分析しました。

 同会は、国税庁が公表しているインボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトのデータを基に、2022年5月以降の当月と前月のデータを比較し、インボイス制度の登録取り下げ・失効件数をカウント。直近のデータである4月の1カ月間で登録を取り下げ、もしくは失効した件数は718件となり、昨年5月以降の取り下げ・失効件数の累計は4735件に達しました。
 取り下げ・失効件数の中には、廃業、合併、企業統合などにより登録番号を失効したと考えられる件数も含まれています。
 国税庁の発表によると、4月末時点のインボイスの登録件数は約296万6千件となっています。

登録取り下げは抵抗の現れ インボイス取り下げの実態を分析

後藤 隆さん(仮名)=ウェブデザイナー

データを分析する後藤さん(仮名)=4月27日

 300万件近いデータを毎月照合し、消費税インボイス制度の登録取り下げ・失効件数の分析を行う後藤隆さん=仮名。コツコツと分析し続けてきた登録取り下げ・失効件数は4月末で累計4700件を超えました(右下に別項)。後藤さんがインボイス制度に反対する理由、取り下げ件数の分析から見えてくるものは何か―。愛知県内の仕事場で伺いました。

約300万件を分析し

 「300万件近いデータの分析です」と聞いて記者は、気が遠くなりました。「取り下げ・失効件数の照合には、このパソコンでも数十分かかります。重たい処理に常に冷却ファンが回った状態です」と語ります。
 個人事業主やフリーランス、税理士らがインボイス反対の一点で集まった「STOP!インボイス」のメンバーです。「インボイスに関する国税庁のサイトを眺めるうちに、前月と当月の比較から取り下げた事業者が分かるのでは?と、ひらめきました」。その思いつきは「インボイス制度ボイコット大作戦」を展開する税理士からもお墨付きを得ています。

中身知られ件数増

 4月末時点で4700件を超えた登録取り下げ・失効件数は「『インボイスは嫌だ』という制度への抵抗が現れた数字だと思う」。その数字は、右肩上がりで増加し、昨年末からは単月でも500の大台を超え、3月と4月の比較の数字では718件、2月と3月では800に迫る勢いとなりました。
 「制度の中身が知られるにつれて、取り下げ件数が増えているのではないでしょうか」
 ウェブデザイナーとしてフリーランスで活動しながら、友人とともにパソコン関連の仕事を扱う会社を経営しています。
 現在、40代の後藤さんが派遣社員として働いていた時に感じた低賃金への不安。だから経営者として、取引するフリーランス仲間の不安を取り除きたいという強い思いがあります。
 ところが、インボイス制度は、フリーランス仲間に容赦なく襲い掛かります。「仲間の賃金水準を引き上げたいと思っても、それをインボイス制度が帳消しにする。そこに腹の底から怒りを感じます」
 「STOP!インボイス」の活動に携わるようになったきっかけは、「何か、政治を良くする活動をしたい」と思ったことでした。
 折しも2022年の参院選。野党共闘を応援したかったのですが、「選挙事務所に行くのはあまりにも敷居が高かった」。その時に、「STOP!インボイス」の活動を知り、間接的に野党共闘を応援できるとの思いから活動に加わりました。

地域で活動進める

 今では、「STOP!インボイス」のSNSの運営や動画の編集、集会の配信解説などを、愛知県から全面的に後方支援しています。「東京にいる人たちは、国会への陳情や省庁のヒアリングなどをやってくれています。私はなかなか東京に行けないので、愛知で、自分のスキルを生かして活動しています。役割分担ですね」
 「インボイス制度の問題点や中止を求める運動を可視化し、反対の世論をもっと大きくしたい。インボイスを中止に追い込みたい」と話す後藤さん。「活動の中で、地方からも地方議会に働き掛けたりできることを知りました。自分の住む地域での反対活動もさらに進めていきたい。多くの皆さんにも地方から声を上げていただけたら」と呼び掛けています。

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