小学生に工場見学 ものづくりの面白さを 子どもの感想文に励まされ|全国商工新聞

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子どもの感想文に励まされ

「ここでの体験を将来に生かしてほしい」と話す尾上さん

 「“ものづくり体験”を通じ、将来、製造業を志す子どもが生まれれば」と目を細めるのは、東京・玉川民主商工会(民商)の尾上芳明さん。尾上さんが世田谷区内で各種ネームプレートを製造する「(株)サンネーム」のプレス加工工場に6日、私立和光鶴川小学校(東京都町田市)の5年1、2組の児童62人が社会科見学に訪れました。見学の受け入れは、昨年に続き2回目。児童らは①ロゴマークなどのデザイン②同校のロゴマークのプレートのプレス加工③炊飯器部品のプレス加工④電子機器部品の検品作業―を興味深そうに体験しました。

従業員の監督の下、プレス機を操作して炊飯器の部品を作る児童

 「こんにちは!」「よろしくお願いしまーす!」。午前中、1組の児童31人が元気よく、バレーコートほどの工場の1階に入ってきました。上履きに履き替え、4グループに分かれて、大きなプレス機が10台ほど並ぶ工場内を慎重に移動しながら、各工程を20分ずつ体験。プレス機のボタンを押し、アッという間に加工された部品を見て「この一瞬で35トンの圧力がかかっているの?」「すごい!」と興味津々でした。
 工場2階のスマートフォン部品の検品では、はがき大ほどのシートに小さな部品が千個以上並んでいる様子を顕微鏡で確認。「1枚2分程度でやらないと終わらない。1日中、やっているんだよ」との説明に、「目が疲れそう…」と驚いていました。加工した部品などは、お土産として持ち帰りました。
 体験後は工場の屋上で、事前に授業で話し合って出した質問を、尾上さんと折戸兄典工場長にぶつけました。「従業員数は?」「炊飯器の蒸気口の部品の値段は?」「なぜ、この仕事を始めたの?」など次々と出される質問に、「現在は13人です」「1個50円だよ」「小さい頃から、ものづくりが好きで、仕事にしたいと思った」と丁寧に答えていました。
 尾上さんも「ものづくりが好きな人?」と逆質問。約半数の児童が手を上げたことに笑みを浮かべながら、「学校は多くの友達をつくれる場。私は、友達に『仕事を手伝ってくれ』と声を掛けられたのがきっかけで起業した。友達をたくさんつくって、将来の可能性を広げ、ものづくりにも興味を持ってほしい」と呼び掛けました。
 「社会貢献になれば…と、受け入れを決めた。従業員は昨年、学校から送られてきた子どもらの素直な感想文に励まされ、今年も楽しみにしていた。仕事が丸1日できなくなるが、子どもたちの将来につながったり、会社に活気が出てくれば、プラスになる部分も大きい」
 尾上さんと従業員は、今年も子どもたちの感想を心待ちにしています。

従業員からプレス機の操作法を聞く児童ら
「友達をたくさんつくって」と話す尾上さん。児童らはメモを走らせていました

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