【国保提言要点解説】コロナ禍の教訓生かし 「国保は社会保障」の視点で改善を|全国商工新聞

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 全国商工団体連合会(全商連)の「国保提言2022~コロナ禍、痛苦の経験をバネに、受療権、健康権の拡充へ」は、コロナ禍で“保健所がほぼ半減、感染症対応の病床は8割削減”など、脆弱な医療体制が医療崩壊を招き、日本の「自助前面の政治」は「生活支援前面の世界的潮流に逆行」していると指摘。
 一方、支援拡充を求める国民の声が国保の傷病手当(被用者)や「コロナ特例減免」制度創設など「前向きな変化」を引き出し、その教訓を「コロナ禍が浮き彫りにした課題克服につなげることが大切」と強調しました。
 高過ぎる国保料・税の実態とその原因、生業と受療権を脅かす強権的徴収と正規保険証取り上げ、国保制度の改悪を招く「都道府県単位化」の問題点を明らかにし、「自己責任や相互扶助の立場ではなく、『国保は社会保障』という視点から、制度改善の必要と実現に向けた運動の在り方について、以下の7項目の提言」を行いました。国保提言を活用し、国保料・税の引き下げや改善を、統一地方選挙(3~4月)の一大争点に押し上げましょう。

【提言1】強権的徴収や保険証の取り上げ、「短期保険証」「資格証明書」の新規交付をやめる

 やむなく国保料・税を納めることができなかった人から、正規保険証を取り上げる制裁的な窓口行政が続いています。
 地方自治体の責務は「住民の福祉増進」であり、「加入者一人ひとりの事情に応じて減免制度や納税・換価の猶予、分割納付を適用することを第一にすべき」としています。

【提言2】国保料・税の減免と窓口負担の軽減を

 経済的に困窮し、窓口負担金を払えないことを理由に受診を控え続け、症状が進行し切った“手遅れ状態”で病院を訪れる事例が後を絶ちません。
 ①低所得者向けの国保料・税の減額・免除制度を拡充する②一部負担金の減額・免除制度を改善し、積極的に適用する③高額療養費制度の算定方法を改め、広く適用する―を提唱しています。

【提言3】傷病・出産手当の創設など 医療制度の改善を

 労働者が加入する健康保険では、けがや病気、事故、出産など収入が途絶える事態に際して「従前所得水準を維持」するという公的保険の理念に基づき、傷病手当や出産手当が実施されています。しかし、国保では「(保険者による)任意給付」とされ、国は「収入算定が困難」という理由で財政負担を拒み続けています。「法の下の平等」(憲法14条)に照らしても、加入する保険制度の違いによって保険給付が異なる事態は一刻も早く解消すべきです。①コロナ禍の前進(図1)を生かし、傷病手当の恒久化を②出産手当で、産前産後期間の生活支援を―求めています。

【提言4】国庫負担の引き上げを

 2014年に全国知事会は「協会けんぽ並みの保険料負担率まで引き下げるため、国保に1兆円の公費投入」を求めましたが、公費投入は約3400億円にとどまっています。1兆円は全国で「応益割」(平等割と均等割)を廃止した負担軽減額に匹敵します(図2)。21年には、知事会や市長会など国保関係9団体も「市町村においては被保険者にこれ以上負担を求めることは極めて困難」と宣言しました。多くの首長が、思想・信条を問わずに一致して、国庫負担の引き上げを求めている事実を重く受け止めるべきです。

【提言5】自治体の法定外繰り入れの継続を

 自治体が行う一般会計から国保会計への繰り入れの目的は「保険料・税の負担緩和を図るため」が94%(国保新聞22年8月1日付)です。
 しかし、国は「都道府県単位化」を機に、繰り入れの早期解消を執念深く求めています。地方自治体の自治権に抵触する繰り入れ解消を迫ることを国はやめ、今後も実施・継続すべきと提唱しています。

【提言6】応能負担の制度に改める

 国保料・税は、所得から基礎控除のみを差し引いて算定する「旧ただし書き方式」であり、世帯の課税最低限度額が一切考慮されていません。赤ちゃんなど無収入者にも負担を求め、家族が増えれば機械的に負担を増やす「応益割」(平等割、均等割)もあります。扶養や配偶者控除など各種控除を差し引く住民税方式に改め、「応益割」を廃止するなど、憲法が要請する応能負担原則の徹底を求めています。

【提言7】市町村の主体性を尊重し、安心して医療を受けられる制度に

 「都道府県単位化」の下で統一保険料をめざす府県では、過去最大規模の国保料・税の引き上げや、医療費の抑制策が押し付けられています。統一化の進む自治体で住民の運動でつくられてきた独自の減免制度が姿を消してしまう可能性があります。国や都道府県は自治体の主体性を奪うことをやめ、地方自治の原則を尊重した運営を促すよう提唱しています。


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