旧統一協会とジェンダー問題 個人の尊厳を守る社会の実現を|全国商工新聞

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 旧統一協会(現・世界平和統一家庭連合)と自民党との癒着が大きな社会問題になっています。正体を隠した「伝道」や霊感商法、高額献金、集団結婚強要という反社会的行為が問題とされ、そのいずれも違法との判決が確定している団体と自民党が半世紀も関係を維持していることが、被害を拡大しています。
 こうした癒着が、日本のジェンダー平等施策の遅れにも影響を与えています。1990年代後半から00年代にかけて、男女共同参画の流れに反対する、反動・逆流がありました。個人の尊厳とジェンダー平等を求める世論や運動を攻撃するもので、その中心的役割を果たしていたのが、右翼組織「日本会議」系の団体と旧統一協会でした。
 選択的夫婦別姓や同性婚、性教育に反対し、性の多様性を攻撃しています。旧統一協会の教義では、神=文鮮明によって“清められた女性が子を産む”ことが人類を救済する「祝福」であり、男女の結婚を前提とした「家族」の秩序を脅かすものだからです。
 自民党の改憲草案(12年)24条は「家族は社会の基礎的な単位として、尊重される。家族は互いに助け合わなければならない」と、家族条項を追加。個人より「家族」を尊重し、家父長制が重要だという点でも旧統一協会と共通しています。
 家族を通じて国家的統制を行うために、女性の人権も家族を口実に押さえつけていく、まさに「家」制度と同じ構造です。こうした考え方と根っこでつながるのが、所得税法第56条の問題です。56条の廃止は、時代遅れの税制を是正するとともに、日本のジェンダー差別の根幹に関わる問題として、運動を強めることが大事です。
 政治家と選挙協力などで関係を強め、各地で制定された家庭教育支援条例も、旧統一協会が関わっています。この条例は、行政が家庭教育の在り方を画一的に定め、子どもの権利や自己決定権などを侵害しています。
 家族や子育てに行政が介入することは、「戦争する国づくり」と歩調を合わせる危険な動きです。改憲阻止の運動と合わせ、個人の尊厳が守られる社会の実現へ力を合わせましょう。

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