インボイス制度は拙速 市民連絡会 導入反対の声明|全国商工新聞

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公正な税制を求める市民連絡会が開いた記者会見

 「公正な税制を求める市民連絡会」(市民連絡会)は8日、「インボイス制度の拙速な導入に反対する声明」を発表しました。
 「消費税の免税事業者が事実上、取引から排除させられるなどの不利益を被る可能性がある」と指摘し、すでに、フリーランスなどに対し、インボイス発行事業者になることが発注の条件となっている事態が生じていると訴えています。
 インボイス制度の影響は幅広い業種に及び、低所得でやりくりしている者も多く、コロナ禍で大打撃を受けるとともに物価高が生活を圧迫していると指摘。インボイス制度の導入が追い打ちをかけ、さらなる生活困窮へと追い詰められる者が増大する可能性があることを懸念し、「来年10月の導入に反対するとともに、政府に対し、小規模・零細事業者が不利益を被る可能性、税負担の水平的公平性の棄損、帳簿作成の事務負担などの重要課題について、さらなる検討と説明・議論の場を設ける」ことを求めています。
 市民連絡会は同日、財務省に申し入れ、岸田文雄首相や鈴木俊一財務相に提出したインボイス制度導入に関する質問書に対しての回答を得て、その後に開いた記者会見でその内容を報告しました。
 申し入れでは、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で登録事業者の登録番号を入力すると、法人の場合は法人名や事業所の所在地、個人の場合は本名が公表され、その情報は全件一括ダウンロードでき、商用利用が可能になっていることについて疑問を投げ掛けました。
 要請に同席した「インボイス制度を考える市民の会」の小泉なつみさんは「情報を一括ダウンロードできるようにしたのは、取引先が多い大企業が、インボイス発行事業者かどうかを一括でチェックできるようにするためで、商用利用ができるのは、電子インボイスの普及を念頭に置いてか、会計ソフトを販売する企業が情報を活用できるようにとの説明があった。大企業や営利目的の企業を守るために、納税者のプライバシーが侵害されようとしている。財務省はそのことを想像することも是正することもしようとしない姿勢だった」と批判しました。
 共同代表の宇都宮健児弁護士は「質問書に対して期待した回答は得られず、財務省は法律で決まったこととして、来年10月1日に向けて準備を粛々と進めている。コロナ禍でフリーランスなどの収入が減り、物価高やウクライナ侵略の影響で食料やエネルギーが高騰し、低所得者の生活が脅かされている中で、このままインボイス制度を実施していいのか、国会での議論が必要。引き続き、実施延期を求めたい」と訴えました。

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