全国商工新聞

 自民党の安全保障調査会は4月27日、政府に「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」を提出しました。岸田首相は「しっかり受け止めて議論を進める」と応じましたが、「専守防衛」という建前さえかなぐり捨てて、事実上の9条改憲をたくらむ危険な内容です。
 提言は、ウクライナ危機に乗じて日本の軍備増強を一気呵成に進める狙いです。軍事費について、NATO(北大西洋条約機構)諸国の国防予算の対GDP(国内総生産)比目標(2%以上)を念頭に「5年以内に防衛力を抜本的に強化するために必要な予算水準の達成を目指す」と主張。軍事費が10兆円以上に倍増すれば、コロナ禍や物価高騰に苦しむ国民生活をさらに圧迫させることは必至です。
 「先制攻撃と誤解される」と与党内でも懸念されていた「敵基地攻撃能力」という名称を、「反撃能力」に変更して「保有する」としました。その対象範囲は、「相手国のミサイル基地に限定されるものではなく、相手国の指揮統制機能等も含む」とし、全面的な攻撃を可能とするものです。これは、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とした憲法第9条に矛盾し、事実上の改憲です。自民党や維新の会は、「9条で平和は守れるか」と攻撃しますが、再び戦争による惨禍を起こさないためには、9条を生かした外交に知恵と力を尽くすのが政治の役割です。
 東南アジアの10カ国が加盟するASEANは、友好協力条約(TAC)を結び、徹底した対話による平和の共同体をつくり、日本も40年以上にわたって協力関係を築いてきました。今、重視すべきことは、ASEAN10カ国プラス日米中ロなど8カ国でつくる東アジアサミットで平和の枠組みを強化するため、9条を生かした外交で平和な国際環境をつくることです。
 提言は、岸田政権が年末に予定している「国家安全保障戦略」、「防衛計画の大綱」、「中期防衛力整備計画」の3文書の改定に反映させることを目的にしています。危機に乗じた軍拡策動を止めるには、7月の参議院選挙で立憲野党を勝利させることが決定的に重要です。9条を守る運動に全力で取り組みましょう。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから