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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第3306号4月2日付
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挑戦しよう 持続化補助金 申請のポイント解説

 販路開拓のチャレンジが採択されれば、上限50万円が補助される国の制度「小規模事業者持続化補助金」(持続化補助金)。2017年度補正予算の公募がスタートしました(5月18日まで)。「持続化補助金に挑戦したい」という人に向けて、中小企業診断士の上品忍さんがポイントを解説します。

中小企業診断士 上品 忍さん
 「もっと良いサービスがしたい」「お客さんに喜んでほしい」など、毎日の商売で感じていることと思います。そんな日々の思いから新事業を具体化して、展望を広げ、販路を伸ばしていく挑戦を支援するのが持続化補助金です。採択者の5割以上が従業員5人以下の「小企業」となるよう小規模業者は優先的に採択されます。経営の力を付けるきっかけにもなりますから、ぜひ挑戦してみましょう。

●ポイント1 まず公募要領をしっかり読み込もう
 応募は、商工会議所もしくは商工会のホームページ(HP)から「平成29年度補正予算 小規模事業者持続化補助金 公募要領」(全97ページ)をダウンロードすることから始まります。押さえるべき重要な事柄についてページも明記しますので、参考にしてください。書類はパソコンで作成するのが基本。持っていない人は民商の事務所やパソコンを使える家族や仲間に相談して始めましょう。
(1)締め切りや問い合わせ先を確認(表紙)
 窓口は事業を営んでいる地域の商工会もしくは商工会議所。申請には窓口で相談し、確認の書類をもらうことが条件ですが、会員でなくても応募できます。締め切りは5月18日(当日消印有効)ですが、相談と確認の必要がありますので、なるべく早く必要書類(6〜26ページ)を確認・作成して窓口に連絡し、相談の予約を取り付けましょう。
(2)持続化補助金とは(2ページ)
 持続化補助金は、商工会、商工会議所の助言を受けて経営計画を作成し、その計画に沿って販路拡大に取り組む費用の3分の2を補助するもの。上限額は3種類ありますが、まずは一般的な50万円がおすすめです(表1)。

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75万円以上の経費の場合、50万円が補助対象ということですが、注意しなくてはならないのは、3分の1は自己資金ということ。また、補助金が手元にはいるのは、計画した事業をやりきって、それが認められた後です(表2)。やりきれる計画と体力が求められます。また、事業承継を重視しているため、60歳以上の事業者が事業承継に取り組んだり、後継者候補が積極的に事業を行うことに審査で加点がありますが、何歳でも応募はできます。
(3)重要な注意事項(3ページ)
 補助金の不正受給が発生した場合は罰せられること、交付決定を受けても期日までに実績報告書などを提出しないと補助金は受けられないこと、補助事業関係書類は事業終了後5年間保存しなくてはいけないこと…など、しっかりチェックしておきましょう。
(4)あなたは補助金の対象事業者?(48ページ)
 この補助金は、小規模事業者が対象。個人・法人は問いませんが、常時使用する従業員の数が20人以下(卸売、小売、宿泊・娯楽以外のサービス業は5人以下)の事業者に限ります。従業員の中に、役員や事業者本人、所定労働時間に比べて短いパート労働者は入りません。また、医者や組合、NPO法人などは対象にはなりません。
(5)やりたい事業は経費に認められる?(54ページ)
 補助金は対象経費が決められていますが、その範囲はかなり広くなっています(表3)。自分の希望に沿っているか確認しましょう。

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●ポイント2 新事業の発想は「地域密着」が有効
 補助金は新しいことをして販路を拡大する事業者を応援するものです。
 新事業を周知するためのチラシや販促ツールなど経費も補助してくれますから、商売を良くしていくために挑戦してみたいことをイメージし、その実現に何が必要なのかを具体的に考えてみましょう。
 毎日の商売で「新しい機械や設備があったら」という願いがあれば、そこを出発点に、新しく手に入れたモノを使って、どうお客さんに喜んでもらい、売り上げを伸ばしていくのかのストーリーを膨らませていく方法も有効です。
 「駐車場の整備をしたい」からスタートして「整備した駐車場で住民が集まれるカフェをして商品もアピールしよう」と、計画したお茶販売店などの例もあります。
 発想のヒントとして、「地域密着」「少子高齢」など地域の業者ならではの視点を持つのもいいでしょう。地域の中で自分が何ができるのか、そのために必要なこととは…と想像してみてください。

●ポイント3 経営計画書と補助計画書は流れが大事 ストーリーに具体性を
 「自分が挑戦したいこと」「手に入れたものでやりたいこと」が見えてきたら、「自社がなぜそれをやる必要があるのか」を正確かつ説得力をもって伝えるのが「経営計画書」と「補助事業計画書」の2つの計画書です(図1)。

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 「経営計画書」(9ページ)は(1)企業概要(2)顧客ニーズと市場の動向(3)自社や自社の提供する商品・サービスの強みC経営方針・目標と今後のプラン―の4項目でいわば「会社の自己紹介」です。(1)〜(3)は3C(Customer=顧客、Competitor=競合、Company=自社)を意識して具体的に書くことで、(4)の方針の説得力が増します。
 「補助事業計画書」(16ページ)は、「新しくやりたいこと」の説明書。経営計画書の方針を実現するための新事業の効果や方法を説明します。ここでも審査員に具体的に伝えるために、ターゲットの絞り込みと4P(Product=製品、Price=価格、Promotion=広告宣伝、Place=流通)の視点が欠かせません。
 また販路拡大に加えて行う業務効率アップの取り組みも補助対象経費です(52ページ)。IT導入や専門家のアドバイスなどを視野に入れて考えてみましょう。
 公募要領では海鮮居酒屋を例に2つの計画書の書き方が紹介されています(28ページ)。最低限必要なことが書かれていますから、まずはまねして、自分の事業を当てはめてみてください。
 意識してほしいのは、全体の流れ。読み手があなたの仕事風景やお客さんの顔をイメージできるように考えてください。業界全体はこうだが、うちの地域はこういう実態、だから自社はこれをしたい、と大きな視点から絞り込んで書くのも良いでしょう。

●ポイント4 図や小見出しで分かりやすく、応援したくなる計画書に
 ある程度書いたら、「審査基準」(79ページ)で審査項目がきちんと書かれているか、空欄がないかチェックしましょう。その上で、「より分かりやすい計画書」をめざしましょう。
 新事業の必要性を訴えるために必要な数字のグラフ、イメージ写真など文字以外の情報を適宜入れることをお勧めします。
 重視してほしいのは、きれいにまとめるより、あなたにしか書けない「現場感」が伝わる計画書を心掛けること。今まで重ねてきた努力やお客さんに喜んでもらったエピソードを紹介したり、事業所内の写真を掲載するのもいいでしょう。審査員が読んだとき、「この人にぜひ新事業に挑戦してほしい。応援したいな」と思ってもらえるようなものが書けたら最高です。
 ぜひ、民商の仲間で集まって勉強会をしてください。講師などで専門家の力を借りるのもいいと思います。地域や商売の近況を出し合って、展望を語るのは楽しい時間になるはずです。

全国商工新聞(2018年4月2日付)
 
   

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