無許可でダンス 大阪高裁も無罪判決
控訴審判決でも無罪を勝ちとり、会見する金光さん(中央)と弁護団
無許可で客にダンスをさせたとして「風営法」(風俗営業法)違反の罪に問われた大阪市北区のクラブ「ヌーン」元経営者・金光正年さん(52、兵庫・西宮民商会員)の控訴審判決が1月21日、大阪高裁で開かれました。米山正明裁判長は金光さんに無罪を言い渡した一審・大阪地裁判決を支持、検察側控訴を棄却しました。「再び無罪」を勝ち取った金光さんは判決後の報告集会で「本当にありがとうございました」と喜びを語りました。
金光さんは12年4月、ヌーンで「許可なく客にダンスをさせ、飲食をさせた」として逮捕・起訴されました。14年4月の一審判決は、「ダンスの態様や密集度などで性風俗秩序の乱れにつながるかどうかを総合的に判断すべき」とし、ヌーンでのダンスは「性風俗の乱れにつながるような営業形態ではなかった」とし、無罪を言い渡しました。
控訴審判決で米山裁判長は「ダンスも多様化し…客にダンスと飲食をさせるという指標により、男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成するおそれのある営業とみなすことは実態に即さず困難」と指摘。風営法の規制対象となるのは「男女が組になり、身体を接触して踊るのが通常の形態とされている営業」と規定しました。
その上で、金光さんの店がそうした営業をした事実は認定できなかったとして、「客にダンスをさせ、飲食をさせる営業はすべて風営法による規制対象」とした検察側主張を退けました。
判決後の記者会見・報告集会で、金光さんは「無罪判決を聞けて良かった。この3年間支援してくださり、本当にありがとうございました」と謝意を表明。その上で「最終的な目標は風営法の改正」ときっぱり。弁護団からは「判決はダンスが多様化し、風営法制定時の売春の防止という因果関係が薄れ、規制根拠は希薄化し、必要性は低下したと指摘した。これはダンスを指標とする営業規制の撤廃を盛り込んだ風営法『改正』の後押しにもなるのではないか」との指摘も出されました。
会場からも「無罪判決を聞けてほっとした」「風営法そのものをなくすべき」などの発言が相次ぎました。
風営法をめぐっては14年10月、政府が飲食を伴うクラブについて店内の明るさなどに応じて規制する改正案を閣議決定。総選挙で廃案になったものの、通常国会で政府提出法案として審議される見込みです。
全国商工新聞(2015年2月9日付)
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