全商連トップページ
中小施策 税金 国保・年金 金融 経営 業種 地域 平和・民主 教育・文化 県連・民商 検索
 全商連とは活動方針・決議署名宣伝資料調査婦人部青年部共済会商工研究所発行案内入会申込リンク
  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第3201号2月1日付
相談は民商へ
 
 
経営
 

まちの歴史を商売に生かせ 戦国甲冑で異業種コラボ=大阪・西成民商

Photo
甲冑や「らいすかつバーガー」を手に意気込む西成民商会員ら。(右から)殿井さん、眞砂さん、仲間さん(左から3人目)と成子会長(左端)

Photo
プラスチック甲冑はS(子ども用)・M・Lの3サイズを展開。問い合わせは「レンタル プラ甲冑」で検索し、メールで。甲冑を取り扱う代理店も募集中

Photo
食べやすい「らいすかつバーガー」(右)と開発中の「いくさ飯」(仮称)

 大阪・西成民主商工会(民商)は、経営対策部会の話し合いをきっかけに、「戦国時代」を軸にしたまちおこし・仕事おこしに奮闘中です。1月から始まったNHK大河ドラマ「真田丸」も追い風にして、「地元の歴史は消えない宝。会員の創意をこらして街も商売も活気づけよう」と力を合わせています。

レンタル始め注目度アップ

 「きのうは真田やったから、きょうは伊達や」。大阪市西成区の鶴見橋商店街のお祭り(昨年12月)で、子どもたちに大人気だったのが、戦国甲冑を身に着けるイベントコーナー。着用する甲冑は「モデル工房 和工」の眞砂慎吾さんが作成したプラスチック製です。
「真田幸村」の赤や「伊達正宗」の黒の鎧兜をかぶった子どもたちが商店街を走り回ると、買い物客や商店主も「何だ何だ」と大注目。大人用でも2キロ程度の重さで、5分もかからず着用が可能です。
 眞砂さんとコラボレーションして、百貨店や商店街などのイベントで甲冑のレンタルを行っているのは殿井尚さん=遺跡発掘。歴史に興味のある女性「歴女」への注目や、「大阪の陣」400年メモリアルイヤー(15年)などの影響で戦国時代をテーマにしたイベントが多く開催されている、と言います。「今まで歴史に興味がなかった年齢層の来場者も増えて、甲冑を借りる人の半分以上が女性ということもある。みんなが喜んでくれるのがやりがい」と笑顔を見せます。
 文化財保護活動を行う「NPO法人 歴史の語りべ」監事を務める殿井さんは、建設会社からの依頼で、工場やマンションなどの建設予定地での遺跡調査を行い、データ化しています。見つかった遺跡が工事で失われてしまうことに心を痛め、「遺跡を残すことはできなくても、地域の歴史に目を向けてもらえる機会がつくれたら」と5年前にNPOを立ち上げ、「城めぐりツアー」「歴史ハイキング」などを企画。各所で行われる歴史イベントでブースを出してきました。城郭研究者と協力して全国3カ所で行った「城検定」は計1000人以上が受験するなど、注目を集めました。

経営対策部で知恵出し合い

 殿井さんが、プラモデル甲冑を手掛けている眞砂さんと出会ったのは約1年半前。「お祭りで本物の甲冑を着て歩いたら1週間寝込んでもうた」という高齢者の声を聞き、数年前からプラスチックで甲冑を作成・販売してきた眞砂さん。「一緒に事業をして盛り上げられたら面白そうだ」とイベントでの甲冑レンタルに協力するようになり、民商にも入会しました。「レンタルを始め、より多くの人から使った感想を聞けるようになり、不具合などの改良も進んだ」と言います。
 「歴史好きのイベント来場者が食事でも楽しめれば」と、「とんかつ道場」を営む仲間孝治さんと戦国時代を意識したメニューも共同開発しています。試行錯誤の末、ジューシーな「らいすかつバーガー」などが完成。会場で甲冑を着たまま気軽に食べられるよう工夫しました。
 こうした取り組みは、民商の経営対策部の話し合いがきっかけでした。地域の歴史に興味があるメンバーが多く、「大阪や西成区の歴史を掘り起こして、今の時代に合った魅力で打ち出していこう」と話題が弾むなか、コラボレーションの輪が広がっていきました。
 「大切にしているのは、楽しむこと。来る人もやる人も、みんなが楽しめる仕掛けを作って、笑ってもらってこそ、文化財や歴史への意識が高まるきっかけにもなる」と殿井さん。「貴重な資源であるまちの歴史を活用した取り組みは全国どこでも挑戦できるはず。自分たちもノウハウを見つけて、全国の仲間を励ましていきたい」と民商の成子晶美会長も声をそろえます。
 大阪府の文化予算は過去20年間で10分の1まで激減し、町工場も少なくなる中、文化も経営も風当たりは厳しさを増しています。「でも、嘆いていても始まらない」と殿井さん。「何でもぶっちゃけて話せる民商の仲間と、『とりあえずやってみようか』と挑戦を続け、自分の地域に自信を持って商売頑張っていきたい」

全国商工新聞(2016年2月1日付)
 
   

相談は民商へ
ページの先頭