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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第3194号11月30日付
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中小業者として生きる=苦難乗り越え30年 歌って踊って明日へパワー

人を包み込み地域も元気に
 北の大地・帯広市のカラオケスナック「ときお」が11月、オープン30年を迎えました。経営者兼マスターは、帯広民主商工会(民商)の会長・志子田英明さん。市の産業振興会議メンバーとして、地域経済活性化に尽力する一方、夜は店でカツラをかぶり、変装して歌うエンターテイナーです。「飲んで飲まれた」人生を支えたのは、お客からもらった「明日からまた元気に働ける」の言葉でした。

200人が集まった記念パーティー
 「ときおのマスターの登場です」―。司会者の声に姿を現したのは、マウンテンバイクにまたがり、競技用のユニフォームに身を包んだ志子田会長。おちゃめなメガネに大きなちょうネクタイ。会場は大きな笑いに包まれました。
 11月8日、帯広市内のホテルで行われた「ときお30周年パーティー」には約200人が参加。スナック、バーのママやマスター、常連客、サッポロビールの飲み仲間「あすなろビール会」、「チームときお」の自転車チーム、バーテンダー協会、酒屋さん…。日本共産党の議員や帯広市内の唯一のデパート「藤丸」藤本長章社長、そして十勝町村会会長で本別町の高橋正夫町長と、実に多彩です。

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島倉千代子さんに扮した志子田さん。

 高橋町長の乾杯の音頭が終わると、マスター志子田のショータイムがスタート。きらめくスポットライトに照らされ、往年のグループサウンズ「タイガース」のボーカル、沢田研二さん(ジュリー)の衣装で「君だけに愛を」などを歌い上げました。さらに井上陽水さん、谷村新司さんのものまねを披露。厚手の化粧と着物姿で島倉千代子さんの「人生いろいろ」を歌いながらテーブルを回ると、参加者は横に並んでカメラのシャッターを切ります。歌詞もいつの間にか「男もエロエロ、女もエロエロ」に変わり、会場は一気にヒートアップしました。
 ショーの締めはジュリーの歌。マスター志子田の十八番です。その中で「今日はこの歌を聞いてほしい」と歌ったのは、ジュリー作詞の「我が窮状」でした。
 ♪麗しの国日本に生まれ…英霊の涙に変えて授かった宝だ この窮状救うために 声なき声よ集え 我が窮状守りきれたら 残す未来輝くよ♪
 憲法9条にかけた「我が窮状」。歌い終わると、会場に静かな拍手が広がりました。

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大ファンの沢田研二さんに扮し、熱唱する志子田さん。「我が窮状」を歌い憲法への思いも伝えました

 「きょうのパーティーは自分のことのようにうれしい」と話すのは乾杯の音頭をとった高橋町長。他の自治体の首長や議員を誘って「ときお」に通うお客の一人です。「人を楽しませながら、やらなければいけないことを先頭に立ってやってきた人」と志子田さんを評します。
 パーティー前日の7日には、「TPP問題を考える十勝管内関係団体連絡会議」(30団体)の代表として高橋町長は、志子田さんらとともに記者会見し、TPP合意内容の詳細な説明を求めたばかりでした。
 デパート「藤丸」の藤本社長も「まちづくり、人づくりを30年間やってきた。党派を超えて帯広に元気を与えてきたすごい人ですよ」と語り、東京・銀座に美容サロンを開いている飯尾憲子さんは「もう20年来の付き合い。いつも人を包み込んでくれ、本当に人間味のある人です」と話してくれました。

支えられたから自分も返したい
 「ときお」のオープンは、1985年。当時、知り合ったスナックの経営者から勧められ、この商売に。「当時はバブルのはしり。貯金もなかったけれど、だめだったら辞めればいいという気持ちだった」といいます。
 店の名前はファンだったジュリーの歌「TOKIO」から拝借。しかし、知り合いがほとんどいない帯広でのオープン。銀行から融資を受けたものの経営は楽ではありませんでした。店のスタイルをめぐっても悩み、試行錯誤を繰り返しました。そして、たどり着いたのが、自身の歌を生かしたショーを披露するカラオケスナックでした。
 「『ときお』に行けばショーが見られる」と、お客も増えました。しかしバブルが崩壊すると、借金返済も困難になり多重債務に陥ったことも。それでも笑って歌う日々。「地獄のようだった」と振り返ります。民商に入会したのは95年。資金繰りの相談がきっかけでした。
 たくさんのお客が店を訪れました。その出会いを大切に披露するマスター志子田のショータイム。「声をあげて笑って、『これで明日からまた働ける』と言ってくれる。これが最高の言葉です」
 志子田さんは民商の会長に就任した02年、商工交流会や商工フェアに取り組みます。「一人ひとりの業者の要求実現だけでなく、地域を変えないと要求も実現できないと考えたから」でした。
 さらに大きな転機となったのが、帯広市の中小企業振興基本条例の制定(07年)。「地域産業の発展に重要な地位を占める中小企業の振興が帯広・十勝の発展に欠かせない」と、「その基盤の強化及び健全な発展を促進する」と定めたものです。
 条例制定後、志子田会長は、市の産業振興ビジョン策定のための「提言」を取りまとめた振興協議会の委員、ビジョン策定後は、その推進を図る振興会議の委員として中小企業の強化・発展に関わってきました。「立場や信条を超えて地域づくりをどうするか激論を交わした」と志子田さん。力を入れたのは、中小業者の置かれている実態調査で、2000事業所の調査として結実。今年5月に小規模企業振興基本法が制定された時は「わが意を得たり」と感じた、と言います。
 多彩な集まりに参加し、地域を支える志子田会長は言います。
 「私自身、周りの人たちに支えられてここまで来た。だからこそ、『地域のため』に民商や会員が何ができるか。その言葉を語る人を増やしていくこと。それが私のもう一つの仕事です」

全国商工新聞(2015年11月30日付)
 
   

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