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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第3190号11月2日付
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中小業者として生きる 地域に根差す“街の洋菓子店”旬の素材生かし理想の味を追求

ル・レガラン=フランス菓子店 八幡 幸治さん=長野・浅間民商

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お客さんに喜んでもらうため「本物」を追求してきたと、自慢のケーキを手に語る八幡さん

 「おいしいお菓子を食べたときの小さなぜいたく感で人を幸せにしたい」―。若き日に抱いた夢を胸に58年間、理想の味を追求する長野・浅間民主商工会(民商)の八幡幸治さん。1978年に、軽井沢町でフランス菓子のお店「ル・レガラン」を開店し、「素材を生かした、街の人たちに愛される味」をモットーに、洋菓子を作り続けています。

夢を与え愛されるケーキを

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季節に応じた旬の素材を生かして作るル・レガランのケーキ。右下が一番の自信作「レガラン」

客を裏切れぬと休みなく厨房に

 JR軽井沢駅北口から、モミジ並木の軽井沢本通りを旧軽井沢駅方面へ15分ほど歩くと、甘いバターの香りとともに、「ル・レガラン」と書かれた赤い看板が見えてきます。色鮮やかなケーキが並んだショーケースの奥にコック帽をかぶった小柄な八幡さんの姿がありました。12席の喫茶スペースもあり、妻・娘・従業員2人とともに営んでいます。
 店名の「ル・レガラン」とは“おいしいものを召し上がっていただく”という意味のフランス語。素材の味を最大限に生かし、甘さ、酸味、コク、香り、後味のバランスを追求する思いを込めました。一番人気は、店名を冠したチョコレートケーキ「レガラン」(340円)。濃厚なチョコレートの甘みとコクが口の中でスッと溶け出し、小ぶりながらしっかりとしたチョコのうま味を感じさせるケーキです。地元の農家が無農薬栽培で育てた紅玉だけを使い、10月初めからの約1カ月間しか店頭に並ばない「アップルパイ」(340円)も、多くのお客さんを引き寄せる人気商品です。
 「東京でもいろいろ食べたけど、やっぱりル・レガランのケーキが一番おいしい」「十数年ぶりに来ました。子どものころに食べたケーキの味がどうしても忘れられなくて」など、多くのファンが訪れます。
 八幡さんが70歳を超えて、現場に立ち続けるのは「ル・レガランのケーキを愛してくれているお客さんを裏切れない」という強い思いからです。
 午前7時から午後10時まで、繁忙期には休みもない激務ですが、「日々、現場に立ち続けなければ腕が鈍り、お客さんの喜ぶ味は分からなくなる。当たり前のものを当たり前に出し続けることが一番難しい」と語ります。

貧しい幼少期が店づくりに生き

 父親の大病による長期入院で、進学をあきらめざるを得なかった八幡さん。1957年に故郷・鹿児島県を離れ、手に職をつけようと兵庫県尼崎市にあった菓子店に就職。以来、尼崎と神戸で10年、東京・青山の名店で11年間、洋菓子職人として腕を磨きます。
 77年には、一流の洋菓子職人の証である1級洋菓子製造技能士の資格を取得。日本最大級の菓子品評会「全国菓子大博覧会」で技術優秀賞を受賞するなど実績を積みました。
 貧しさでいろいろなものをあきらめざるを得なかった幼少時代。その経験から「人々に夢を与えるケーキは、街に暮らす普通の人たちに愛され、どんな家庭環境の子どもでも買えるものでなければならない」という信念を貫いています。都会の一等地で、洋菓子の本場フランスから招いたパティシエたちと肩を並べ、華やかなケーキを作る日々の中でも、「自分が作りたいのは、街の人たちに愛されるケーキだ」という思いは揺るぎませんでした。
 その思いを形にしたのが「ル・レガラン」。澄み切った空気ときれいな水、大地の恵みを受けて育った新鮮な野菜や果実に出会い、「ここなら自分が理想とするお店と最高のケーキが作れる」と思ったといいます。
 「誰にでも買える値段で売りたい」と、開業当初からほとんど値上げせず、1個210円から500円以内という採算ぎりぎりの価格での販売。「もっと高くしても売れるのに」と言われることもありますが、「ル・レガランのケーキは誰でも、何個でも食べられる、多くの人に愛されるケーキだ」という誇りを持って営業しています。

仲間と助け合う民商に魅力感じ

 民商には税金要求で入会。自主記帳・自主計算を身につけたいと思ったことがきっかけでした。それまで、減価償却も知らずに申告をしていたため、納税額の多さにまいっていたといいます。民商では分からないことを丁寧に教えてもらえ、95年に税務調査に入られた時もいち早く仲間が立ち会いに駆けつけてくれました。「商売人同士が蹴落とすライバルではなく、助け合う仲間として存在する民商という組織に魅力を感じた」と当時を振り返ります。
 「仲間がいることは大きな喜び、自分と同じように、仕事で人を幸せにすることに誇りを持つ商売人が集まるのも民商の魅力」と現在、共済会会計の任を引き受けています。
 ひたすら“本物”を追求してきた八幡さん。「日本はお金ではなく、人の幸せを誇りとする本物の商売人が輝ける社会に変わっていくべきだ」と力を込めて語りました。

全国商工新聞(2015年11月2日付)
 
   

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