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  トップページ > 税金のページ > 消費税 > 全国商工新聞 第3103号1月20日付
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消費増税ストップ 地域経済の回復を=全商連新署名

 「増税は絶対に中止」―。4月から消費税増税を強行しようとしている安倍政権に国民・中小業者の怒りが大きく広がっています。全国商工団体連合会(全商連)は、増税中止の要求と結んで内需主導の地域循環型経済を要求する「消費税の増税を中止し、真の景気回復を求める請願」署名をスタート。地域の隅々から運動を広げて「商売つぶされてたまるか」「地域経済が活気づく施策こそ」の願いを集めて、国会に切実な要求の実現を迫る力にしましょう。

>>全商連が始めた新署名(署名ページへ)

請願事項1=増税中止で景気回復
家計温める施策こそ
 「給与が上がっていないのに、増税されたら生活していけない」「年金が切り下げられた。この上、生活費にかかる消費税増税など許せない」-。消費税導入25年を迎えた12月24日の各界連の宣伝では、通行人が次々と足を止め、怒りの声とともにわずか1時間で100人を超える署名が集まりました。国民は断じて消費税増税を認めていません。この春、地域の隅々から署名を集め、国会に結集するとともに、3・13重税反対全国統一行動に増税中止の一点で広範な国民共同を広げることが大切です。
 安倍政権は国民の強い反対にもかかわらず、4月からの消費税率8%への引き上げを強行しようとしています。これがいかに道理がなく、国民生活と景気に悪影響を与えるものであるか三つの角度から見てみます。

消費増税中止こそ最大の景気対策
 第一は、景気回復を本格的な軌道に乗せるというなら、消費税増税中止こそ最大の景気対策であることです。
 税率が8%になると家計の負担は、社会保障の負担増などと合わせて10兆円超に。国民1人当たり年間5万円超の増税になる計算です。史上空前の負担増が景気に及ぼす影響は計り知れません。日本経済研究センターによれば、駆け込み需要はあるものの増税後の4〜6月期の実質成長率はマイナス4.6%と急落(図1)。主要企業321社を対象に行った景気アンケート(「東京」4日付)では、日本経済の懸念材料として「消費税増税」が63.2%とトップ、24.6%が「悪影響が出る」と回答しています。ところが安倍政権が打ち出す経済対策は、大企業減税や復興特別法人税の前倒し廃止、大型公共事業へのバラマキなど、大企業支援ばかり。GDP(国内総生産)の約6割を占める個人消費を喚起するために家計に軸足を置いた対策こそが真の景気対策です。

図1

 社会保障拡充 うそは明らか
 第二は、消費税増税は社会保障のためという口実が、大うそであったことです。
 「税と社会保障一体改革」で、社会保障充実のために消費税率を上げるとしていた言い分は、民自公の三党合意で完全に変質。「成長戦略」を名目に、増税分を大型公共投資に使う道を開きました。その一方、社会保障を解体する社会保障制度改革プログラム法が強行成立させられ、70〜74歳の医療費2割負担や年金給付の切り下げ、介護保険の要支援外しなど、国民への負担増だけが明白になりました(図2)。

図2

 営業を破壊し戦争する国へ
 第三は、中小業者の営業を破壊し、戦争する国づくりが狙われることです。
 転嫁できない消費税は、中小業者の営業破壊税です。全商連の営業動向調査(13年下期)は「完全に転嫁できない」と52.9%が回答し、「売り上げ・利益の減少」「廃業を考えざるを得ない」という深刻な声も寄せられました。「日経」(12月18日付)の調査でも、「すべて転嫁」は4割弱にすぎません。
 14年度政府予算案は国民生活に冷たい一方、軍事費が2年連続で増額されるなど、安倍政権の危険な本質を浮き彫りにしました。秘密保護法や国家戦略会議、靖国参拝や沖縄・辺野古への新基地建設の動きなど異常なタカ派路線を強行。戦争できる国づくりを狙っています。その財源が消費税であることは、大型間接税が戦争税として使われてきた歴史を見れば明らかです。
 財源は大企業の莫大な内部留保を吐き出させ、行き過ぎた法人税減税を元に戻すこと、軍事費を削減すること、投資家優遇税制を見直すとともに、所得税の最高税率を引き上げることで生み出せます。

請願事項2=地域経済の活性化へ
内需主導へ転換進め

中小業者へ直接支援を
商店・工場改修に助成

 中小企業・小規模事業者は全国に386万事業所があります(2012年2月時点)。企業数の9割を占め、文字通りわが国の経済および国民生活を下支えしています。そのなかでも小規模事業者(製造業で20人以下、サービス業で5人以下)は334万者います。
 この極めて多数の主体にこれまで有効な支援策が実施されてきませんでした。
 この流れを変えるきっかけになったのが2010年の中小企業憲章の制定です。この憲章を踏まえ、2013年、中小企業基本法が改正されました。
 1999年の基本法の目的は、「やる気と能力のある中小企業の支援」でしたが、「きめ細かな中小企業・小規模事業者の支援」と改められました。
 これを受け、次の通常国会では「小規模事業者の振興をはかる基本法」が提出される予定です。

 小規模事業者支援名ばかり
 ところが、安倍内閣のアベノミクスの大企業中心の成長戦略の下では、小規模事業者の支援は名ばかりのものになる恐れがあります。
 「政府が中核となり、国の総力を挙げて、中小企業の持つ個性や可能性を存分に伸ばし、自立する中小企業を支え、困っている中小企業を支え、そしてどんな問題でも中小企業の立場で考えていく」(中小企業憲章)に沿った施策の具体化を求めることが必要です。
 民商・全商連は11年7月に「日本版・小企業憲章(案)」を提案していますが、この見地から、小規模事業者支援の具体化として以下の支援の実現を求めます。
 高崎市は2013年「まちなか商店リニューアル助成事業」を創設しました。これは店舗の改装や備品の購入などについて100万円を上限に半額を補助する制度です。
 現在、住宅リフォーム助成制度は全国533の自治体で創設され(12年7月1日現在)、仕事と資金を地域で循環させ十数倍にも及ぶ抜群の経済波及効果を発揮しています。高崎市のリニューアル制度は、このリフォーム助成を上回る効果が期待できます。(1)地域業者の仕事をつくり出し、仕事と資金を地域で循環させる(2)地域内での内需振興が図られ、地域を元気にする(3)業者を元気にし、経営を発展させ、町を活性化させる―。まさに「一石三鳥」です(下図参照)。この制度を「工場」にも適用できるように拡充すれば、さらに多くの小規模事業者に喜ばれ、地域経済も活性化します。

商店リニューアル助成事業 一石三鳥

 競争力強化に偏る経済対策
 一方、消費税増税に伴う「経済対策」として政府は、6兆円の補正予算を組み、中小企業対策としても5511億円の予算措置を講じていますが、「成長力を底上げするため」と述べているように競争力強化に偏った支援になっています。
 例えば、「ものづくり・商業・サービス革新事業」は上限1500万円で補助率は3分の2ですが、「革新的なものづくり・サービスの提供等にチャレンジする中小企業・小規模事業者」が対象で、このままでは生業的な小規模事業者は支援が受けられません。
 小規模事業者は、地域社会における雇用や大企業などでは賄えない需要を担っており、その存続そのものが地域に欠かせない価値を持っています。それだけに、経営持続への支援が求められます。

社会保険料の軽減で
雇用と経営守り滞納解消

 売り上げ減少に直面している中小企業にとって、社会保険料の軽減は切実な要求です。
 大企業は中小業者や労働者に犠牲を強いながら利益を積み上げ、266兆円もの内部留保を蓄えています。一方、中小企業者は不況に直面する中で従業員(その家族)を守るため、自らの給与を削り、雇用調整助成金などあらゆる手段を使ってしのいでいます。
 こうした中で社会保険料の負担が経営に重くのしかかっています。滞納を理由にした売掛金や預金などの差し押さえが広がり、全国の民主商工会(民商)には「社会保険料が払えない」との相談が急増しています。
 現在、社会保険料(厚生年金、健康保険、介護保険、労働保険)の負担は給与の30%近くを占めています(労使折半で負担)。給与支給額が30万円の場合、1人当たりの保険料は労使合わせて約9万円。保険料納付が3カ月も滞ると、1カ月分の給与に相当する金額となります。

 応能負担にし格差是正せよ
 社会保険料の最大の問題は、応能負担の原則が適用されていないことです。例えば、厚生年金保険料の標準報酬月額の上限は62万円。月に61万円の給与をもらっている社長と、1億円の給与をもらっている大企業の社長の保険料が同じです。
 また、健康保険料の負担にも格差が広がり、大企業の健保組合の平均保険料率が8.635%に対して、中小企業が加入する協会けんぽの保険料率は約10%(全国平均)。中でもNHKの健保組合の保険料率は5.35%と協会けんぽの約半分で、国会でも問題になりました(11年当時)。
 中小企業とそこで働く労働者の社会保険料の負担を軽減するためには応能負担にすることが必要です。

図

 手取り増やし消費喚起する
 フランスでは中小企業の社会保険料の事業主負担を2兆2800億円軽減し、03年から3年間で最低賃金を11.4%引き上げ、時給1084円(11年)を実現しました。社会保険料の賦課ベースとなる賃金の上限を廃止し、上限を超える報酬の保険料を引き上げました。それによって、中・低賃金労働者の負担を軽減できるようになりました。
 日本でも応能負担を適用し、国が補助すれば社会保険料の軽減は可能です。例えば中小企業が負担している健康保険料の総額は約7兆円弱と推計され、労使折半で負担しています。
 仮に3.5兆円を国が補助すれば、中小企業者の事業主とそこで働く労働者の社会保険料負担を半減させることができます。労働者負担が1.75兆円軽減されれば、給与の手取りが増え、消費を喚起する力にもなります。同時に、中小企業者の負担が半減すれば、滞納問題の解消にも役立ちます。
 その財源を確保するため、まずは社会保険料の賦課ベースとなる標準報酬月額の上限を廃止し、上限を超える報酬の保険料を引き上げること。同時に消費税増税や新たな大衆課税に頼るのではなく、大企業に社会的責任を果たさせ、富裕層への応分の負担を求める税制を確立すること。それによって約10兆円の財源を生み出すことができます。
 さらには不要不急の大型公共事業や軍事費などの支出を削減することで、社会保険料の負担を軽減することができます。

全国商工新聞(2014年1月20日付)
 

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