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  トップページ > 国保・年金のページ > 国民健康保険 > 全国商工新聞 第3289号11月20日付
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生活困窮者への滞納処分 国保税(料)も執行停止できる=税理士・角谷 啓一さん

徴収法基本通達生かそう
 高すぎる国民健康保険(国保)税(料)が払えずに生活困窮に陥った場合、国税徴収法(徴収法)の要件に合致すれば「執行停止」できる-。参院予算委員会(3月3日)での日本共産党の倉林明子議員の質問に、国税庁が「執行停止処分の基準」を明確に答弁した意義と、運動の課題について税理士の角谷啓一さんに寄稿してもらいました。

倉林明子参院議員の質問に国税庁が答弁
 倉林議員は、国保税徴収の根拠法規は徴収法であることを示しながら、同法に定める「執行停止」の要件である「生活困窮に関する規定はどうなっているのか」と、実際のモデルケース(2人世帯、年収計240万円、国保税27.8万円、税その他の社保料等47.2万円)を示しながら国税庁にただしました。
 国税庁次長(飯塚厚委員)が「徴収法153条に『執行停止』の定めがあり、同条1項2号において『滞納処分の執行によってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき』は、執行を停止することができる」と答えたのを受け、倉林議員は「それを判断する具体的な基準は何か」と追及しました。

月収14.5万円(2人世帯)以下は該当
 国税庁次長は「生活を著しく窮迫させるおそれとは、徴収法基本通達で『生活保護の適用を受けなければ生活を維持できない程度の状態になるおそれ』と規定している」旨を述べた上で、その金額的な基準は「個別通達で、徴収法76条1項4号(徴収法施行令34条)に定める金額、すなわち1カ月当たり納税者本人につき10万円、生計を一にする親族1人につき4.5万円』(例えば、倉林議員が示したモデルケースでみると、2人世帯なので10万円+4.5万円=14.5万円)」であることを明らかにさせました。
 国税庁答弁の意味をモデルケースにあてはめると、1カ月当たりの収入合計(月額20万円)から、国税・住民税・社会保険料(国保税含む)の合計(月平均6.25万円)を差し引いた金額(13.75万円)は、前述の基準額(14.5万円)以下になるので、執行停止の基準に該当する、すなわち、納税義務を消滅させるべき対象者であるということです。

市町村は該当住民を調査、停止すべき
 国税庁の回答を受けて倉林議員は、質問の矛先を塩崎恭久厚労相に向け、国保税未納者への執行停止の適用および市町村への徹底を求めました。厚労相は「生活困窮者の場合の滞納処分の停止制度が適切に(国保税でも)活用されることは重要」とした上で、「低所得者の方に配慮したきめ細やかな対応を、市町村にも徹底したい」との回答を引き出しました。
 (注:倉林議員は、6月8日の参院厚労委員会でも、この問題で各市町村への周知徹底を求め、「滞納処分の執行停止ができる具体的な金額(基準)も含めて、市町村に周知をしたい」旨の回答を厚労相から得ています)
 この政府回答によって、(1)本来は、徴収法の執行停止に該当するような住民を、国保税の課税世帯にすること自体、違反であり、是正すべきであること(2)各市町村は、モデルケースに該当すると思われる国保税未納者を調査し、行政の責任において執行停止の扱いをすべきであること(3)市町村が執行停止の扱いをしない場合には、市町村に対して適切な扱いを求める必要があること-が明らかになりました。
 この3点が倉林質問を生かすための実践的な運動課題となるといえそうです。

全国商工新聞(2017年11月20日付)
 

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