国保料 延滞金催告書を一斉送付 大阪市に是正求める
亡くなった人にまで 市民に不安
大阪市内の各区が7月中旬、国民健康保険(国保)料を滞納した人に一斉に催告書を送付しました。しかも、数年前に完納したはずの国保料の延滞金の催告書を送りつける事例が多発。市民の間に不安が広がり、区役所でも抗議の電話が鳴りやまないなど、混乱が起こっています。
生野民主商工会(民商)の会員は1年半前、93歳で亡くなった父親宛に延滞金の催告が送付され、「なぜ、今ごろになって送ってきたのか。納得できない」と怒り心頭です。他にも、5年前の滞納分の延滞金の催告が届いた▽今年4月、滞納処分の停止が適用されているのに催告が届いた-など、ありえない事態が生じています。

1年半前に亡くなった生野民商会員の父親宛に届いた延滞金4400円を含む国保料催告書
多くの場合、分納相談で「延滞金はいらない」と職員から言われたり、完納した際、延滞金についての説明はなされませんでした。にもかかわらず、今になって突然、催告が届いたことから、「話が違う」と多くの市民が抗議。民商の問い合わせに対して区は、「市の福祉局の指示で送った」「国保のコンピューターのシステムを入れ替え、過去の未納分が判明したため」などと回答していますが、到底納得できるものではありません。
大阪商工団体連合会(大商連)も加わる「大阪市の国保をよくする会」は8月22日、大阪市福祉局保険年金課と協議。市は「例年は、前年分の滞納額と延滞金のみ催告を送っていた。しかし、“過去分については請求されない”との誤解を招く恐れがあるので、5年前までの未納分について送った」と説明。
会は、催告が届いた市民の多くが延滞金の存在を知らず、全国でも一斉に送るようなやり方はしていないことを示し、市の「国保料延滞金減免にかかる要綱」にある「納付義務者の責に帰さない特別の事由がある場合」の免除規定の活用を要望。市は「個別の事情に応じて対応するようにしたい」と回答しました。
また、20政令市のうち北九州市が延滞金の時効を2年で運用していることが判明。他の政令市は延滞金の時効は5年としていますが、大阪市のように、5年もさかのぼって一斉に催告を送っているケースは確認できませんでした。
全国商工新聞(2017年9月11日付)
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