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  トップページ > 国保・年金のページ > 国民健康保険 > 全国商工新聞 第3117号4月28日付
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もう限界 国保負担 減免・猶予活用しよう

 「高くてとても払えない」と各地で悲鳴が上がっている国民健康保険(国保)料(税)。全国の民主商工会(民商)では高過ぎる国保料(税)の引き下げを求めるとともに、負担を軽減するための集団減免申請や納税緩和措置の活用を進めています。預貯金などの差し押さえにも抗議し、解除を実現しています。活用できる制度の内容や各地の民商の運動を紹介します。

国保Q&A 保険料(税)を払えないときは

Q1 国保料(税)が払えない
A 法律や条例で減免
 国保料(税)の負担を軽くするための制度として国が定める法定軽減と各自治体の申請減免制度があります。
 法定軽減は前年の所得が減額基準に達した世帯について、応益割(均等割、世帯割)の部分に実施されます。
 国保料の応益割合に応じて6割、4割や、7割、5割、2割などの軽減措置を自治体がとっています。申請をしなくても自動的に減額が適用されますが、確定申告が必要です。また、法定軽減は国保税で5年、国保料で2年間さかのぼって申請が可能です。
 申請減免は、各自治体が独自の条例で定め、基準が異なります。各地の民商では集団減免申請を行うとともに、減免制度の拡充を自治体に求めています。岐阜北民商では「市長裁量」を適用させ、毎年100人超が減免を実現しています。

▽国保料(税)の法定軽減の対象拡充 今年度から
 厚生労働省は今年度から「低所得者の保険料に対する財政支援の強化」として、国保料(税)の法定軽減の対象を拡充します(表1)。拡大されるのは所得に応じた応益割部分の2割軽減と5割軽減。
 2割軽減はこれまでの加入者1人当たりの基準額68万円以下が78万円以下に拡大されます。5割軽減は、これまで適用されなかった単身世帯についても対象となり、世帯人数に応じて対象所得額が加算されます。

表1

Q2 減免認められなかった
A 納税緩和制度を活用
 減免申請が認められなかったら、納税緩和制度を積極的に活用しましょう(表2)。この制度は地方税だけでなく国保料(税)にも適用されます。
 「徴収猶予」が認められると1年以内の納税が猶予され、延長(最大で2年)もできます。また、差し押さえの解除も申請でき、延滞金が減免されます。
 払える額で分納(納付誓約)している場合がありますが、担当者が変わった途端に一括納付を迫られ、納付できなければ預金などを差し押さえようとする場合もあります。
 また、単なる分納は延滞金が減免されることはありません。
 納税緩和制度に基づいて親身になって納付相談に応じるように主張することが大切です。

表2

Q3 差し押さえ通知がきた
A 差押禁止財産を守る
 憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と生存権を保障しています。また、国保料(税)の徴収は国税徴収法に準ずるとされています。国税徴収法では「差押禁止財産」(第75〜78条)が規定されており、生活に欠かせない衣服や寝具、家具、生活に必要な3カ月間の食料、給料・年金・手当などの一定額については差し押さえることはできません。
 鳥取県が税金の滞納を理由に銀行口座に振り込まれた児童手当を差し押さえたことに対し、広島高裁は昨年11月、「県の処分は違法」と判決。平井伸治鳥取県知事が謝罪し、滞納整理マニュアルをを改訂しました。
 その一方で国保料(税)滞納を理由にした差し押さえが急増しています。
 国保の収納率低下(12年度89・86%)などを背景に厚労省は「収納率向上」のための通達を出すなど、自治体を徴収強化へと駆り立てています。民商に相談し、差し押さえをさせないための対策を立てることが必要です。

Q4 保険証取り上げられた
A 事情示して交付を要求
 売り上げの減少など、国保料(税)が払えない事情を示して保険証を取り戻すことが必要です。
 納付期限から1年以上経過して払えない世帯には「特別の事情」などの理由がない場合は資格証明書が送られてきますが、高校生以下の子どもについては6カ月間有効の短期保険証が交付されるようになりました(10年7月から)。「子どもたちの医療を受ける権利を守れ」との運動が反映し、政府に国保法の一部改正を実現させたものです。また、政府は「家族が病気になって医療機関で支払いができない場合、世帯主の申請があれば短期保険証を発行できる」との答弁書を閣議決定しています(09年1月20日)。
 多くの自治体が保険証を取り上げて収納率を引き上げようとしていましたが、その数は減少しています(図)。これは保険証取り上げをやめさせる運動が広がっていることを示してします。
 同時に自治体が保険証取り上げが収納率の引き上げにつながらないことを認識し、預金などの差し押さえを強めて収納率を引き上げようとしていることを表しています。

図

Q5 医療費の負担が困難に
A 「理由」あれば減免申請を
 世帯主および世帯員の被災や失業など「特別の理由」があるとき、医療費の一部負担金を減額・免除できます(国保法第44条)。「規定がない」と申請を受け付けない自治体もありますが、厚労省は「条例になくとも44条に基づいて申請は受け付けなければならない」としています。
 厚労省が示している基準は(1)災害による死亡や、資産に甚大な被害(2)干ばつや冷害などによる農作物の不作や不漁による収入減(3)廃業や休業、失業などによる著しい収入減 ― などで収入が生活保護基準以下に急減し、預貯金が生活保護基準の3カ月以下である世帯で、入院療養の必要がある場合です(10年9月)。この基準は最低限のものであり、それ以上の自治体の基準を狭めるものではありません。
 また、仙台高等裁判所は医療費の一部負担金減免を認めるよう求めた裁判で画期的な判決を言い渡しました(11年1月19日)。(1)国保法44条1項に基づき、減免は法律に保障された制度である(2)同項にある「特別の理由」の判断については個別具体的な事情を総合的に考慮する必要があり、「収入が2分の1以上に減少した場合」などと限定する基準とその運用に合理性はない ― と断じています。

国保制度改善の課題
 「なぜ国保料(税)はこんなに高いのか」「役所で『国保は助け合い』と言われたが」など、国保制度への疑問の声が寄せられています。国保や地域医療に詳しく、『長友先生、国保って何ですか』(自治体研究社)の著者、長友薫輝・三重短期大学教授に話を聞きました。

続きは商工新聞で

国保料引き下げ さらに改善もとめて=岐阜
 岐阜市は新年度からの国保料を1世帯当たり5%、約9200円を引き下げることを決めました。岐阜北民商などが加盟する「岐阜市国保をよくする会」の長年の運動が実ったものです。
 民商は2月27日、「国民健康保険料の引き下げと高齢者医療費助成制度創設を求める請願」を提出しました。「請願」では国保基金の残高が計画を上回り、累積で38億円余りに達していることを指摘。国保基金を取り崩して1世帯当たり約10%、2万円の引き下げができることを示しました。
 また、4月以後に70歳となる高齢者の医療費の窓口負担が順次2割に引き上げられることに対し、近隣の大垣市では独自の助成を行って引き続き1割負担が維持されることを紹介し、岐阜市でも同様の措置を求めました。署名提出に当たっては日本共産党市議団の井深正美市議と2月の補選で当選したばかりの原菜穂子市議が同席しました。
 今回、国保料が引き下げられたものの、全国の中核都市を比較すると岐阜市は42市中で2番目に高い水準です。国保基金の残高は当初の計画額8億円の約5倍にもなっています。今回の引き下げで基金からの繰り入れは1億7000万円余に過ぎず、国保料のさらなる引き下げは可能。民商ではさらに国保料の引き下げを求めて運動を強めることにしています。

パンフで権利学習し集団申請で減免実現=兵庫

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減免申請書を市の国保課に提出する明石民商会員ら

 兵庫・明石民商は3月20日、明石市に対して国保料の集団減免申請を行いました。この日は介護保険料の減免も含めて11人が申請。全員が減免を実現しました。
 民商は1999年3月から毎月第4水曜日を「集団減免申請の日」として取り組みつつ、確定申告終了直後のこの時期は、所得減少などを理由とする減免のために集団申請を実施しています。
 当日は事前に市役所近くの勤労福祉会館に集合し、学習会を開きました。芝本泰文事務局長が全国商工団体連合会(全商連)作製のパンフ『税金(社会保険料・国保・年金)が払えず困っている人へ』などを活用し、市の国保減免制度を説明。国保や国民年金滞納者への行政による強権的な徴収の事例も紹介し、「納税者である私たちがしっかり学習と運動をしていこう」と訴えました。
 その後、市役所国保課の窓口で減免を申請。初めての申請者には民商法被を着た事務局員が寄り添いながらアドバイスしました。
 この日の申請では、市の独自減免基準である所得減少による減免に全員が該当し、減免を実現。介護保険料の減免申請をしたFさんも月約2500円の保険料がほぼ半額になりました。
 この日の行動には、生活苦を訴えていた会員の身内も同行。日本共産党の辻本達也市会議員に実情を打ち明けると、「この状況なら、すぐに生活保護が受けられます。今から一緒に行きましょう」と生活保護を申請しました。

国保滞納 差し押さえ解除させる=静岡
 静岡・清水民商のTさんと母のKさん=建築=は3月24日、静岡市が国保料の滞納を理由に差し押さえた預金を解除させ、約72万円と差し押さえ後の利息を返還させました。昨年3月末、Tさんの父親が急死した後、相続放棄の手続きをしたにもかかわらず、Kさんの預金口座を差し押さえるという不当性を追及して解除させたものです。「差し押さえ通知が来た時は『納めていなかったのだから仕方ない』とあきらめていたが、民商に相談して解除となり、感謝している」とKさんは喜んでいます。
 Tさんらが相続放棄を行ったことで相続人である遺族は故人の滞納分の納付義務はなくなります。ところが昨年7月、清水区役所国保課から「奥さんの預金通帳を見せてほしい」との連絡があり、通帳を見せてから数日後、72万円を差し押さえた旨の通知が送られてきました。
 「納めていなかったのだから仕方ない…」とあきらめかけていたKさんは、春の自主計算会に参加し、事務局員に相談。すぐに国保課と交渉しました。課長や職員らに「相続放棄したのだから、差し押さえは不当」と追及すると「相続放棄について確認していなかった。大変申し訳ない」と謝罪。同席した家族が「通帳を見せた途端に差し押さえるのは乱暴すぎる」と抗議すると職員は「国からの指導で本人に確認しなくとも差し押さえはできる」と暴言を吐きました。これに対して「差し押さえにも法的手続きが必要。こんなやり方は許されない」と厳しく批判。後日、職員から「これまでの利息を付けて差し押さえた全額を返金したい」との連絡が入りました。

民商など奮闘 各地で国保引き下げ実現
 高過ぎる国保料(税)に黙っていられないと、各地で民主商工会(民商)が中心となって引き下げ運動が取り組まれ、国保料(税)引き下げを実現しています。09年以降でも全国で17自治体が引き下げ・引き上げストップを実現(本紙紹介事例のみ・表3)。多くの住民の声が行政を動かしています。

表3

国保滞納処分急増の背景
10年で件数5倍
 国保料(税)滞納を理由にした滞納処分件数はこの10年間でほぼ5倍、5年間で見ると倍増しています(図)。
 その背景の一つは国保制度の都道府県一元化に向けての動きの中で、都道府県によって違いはありますが、国保料の収納率目標に達しない市町村に対して調整交付金を引き下げるなどペナルティーを与えるなどの動きがあることです。もう一つは都道府県一元化になったとき、市町村はそれまでの滞納分を負担をしなければならないのではとの懸念が広がったことです。
 この二つを背景にしながら滞納処分が強まり、市区町村では国保料(税)を払えない人たちに対しての制裁が、保険証取り上げから預貯金を中心にした差し押さえにシフトされるようになりました。預貯金中心なのはすぐに現金になるからです。
 区市町村では徴収にかかわる職員は数年で移動し、差し押さえに関するノウハウは蓄積されていませんでした。しかし、東京都主税局が07年からホームページ上で「徴収サミットオンライン」(542団体登録・13年3月現在)の運用開始したことなど、差し押さえをやりやすくするために財産調査を簡単にできるシステムが開発され、全国の自治体に広がりました。財産調査では預金口座の履歴も照会され、児童手当や年金、給料の入金額日付が分かります。徴収サミットに登録している542の自治体(13年3月末現在)をはじめ多くの自治体がこのようなシステムを差し押さえのツールとして活用しています。
 これまではいきなりの差し押さえではなく、支払い能力に応じて分納や徴収猶予などの相談に応じていましたが、最近は財産があればいきなり差し押さえるという事例が急増しています。その理由はいくつかあります。

十分な知識なく
 一つは自治体の財政がどこも厳しく、税収や国保料徴収確保の大号令が下りていることです。二つ目は職員への成績主義。徴収の仕事は職員の成績結果が一番出るところです。滞納整理の進捗状況が一覧表になり、毎日見ることができます。自分ができていないと職員は焦ってしまいます。成績主義の下でお互いの競争意識があおられ、業績によって評価されているのです。三つ目は若い人が、通り一遍の簡単の研修で第一線に立たされ、滞納整理というより差し押さえのノウハウを覚えさせられています。未納者を訪問する、あるいは納付を話し合うなど差し押さえをせずに徴収するというのが徴収職員の本来の仕事ですが、滞納整理=差し押さえという流れがつくられています。四つ目は滞納者に対する職員の担当量が多すぎることです。徴収困難事案を持つのは一人当たり80人が目安といわれていますが、多いところで300人、少ないところでも平均150人です。こうした中では払えない人たちの生活が確認できず、処理方針を立てられないまま、ともかく財産調査をして財産があれば差し押さえ、なければ執行停止をして数をこなす-という状況が広がっています。
 徴収に関わる自治体職員の多くは悩みながら日々、仕事をしています。しかし、国保料や税金を払えない人たちは増えているからこそ、生活実態を踏まえた適切な滞納整理を行うことが求められています。そのために地方税法や国税徴収法など専門的な知識が身に付く研修や在職期間を保証することが必要です。

図

暮らし守る行政を「対話と提言」運動

Photo

 地方税や国保料(税)の徴収を強化するため、地方自治体が差し押さえを乱発する中で、自治体労働者を組織する日本自治体労働組合総連合(自治労連)は、「地方税等の職場から『対話と提言』の運動を」を提起しています。
 「対話と提言」では徴収をめぐって自治体職場と住民の間で対立関係ともいえる状況がつくられ、住民の暮らしを守る自治体労働者の誇りや喜びが奪われていると問題提起。徴収行政などを住民の立場で改善するため、自治体労働者の仕事と職場を見直しながら住民との対話を進め、誰もが安心して住み続けられる職場・自治体をめざすことを呼びかけています。

全国商工新聞(2014年4月28日付)
 

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